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10月31日()

 今日は、周星馳主演の『チャイニーズ・オデッセイ 西遊記 part1,2』を観る。いやあ、評判通り凄いわ、これは。タイムスリップあり人格転移ありの複雑怪奇な中華SFファンタジーラブロマンスアクションコメディ映画。よく考えればタイムトラベルのロジックはよくわからないし、ストーリーはかなり破綻しているように思えるのだが、猛スピードの展開とアクションで有無を言わせず押し切ってしまう。それにしても二郎真君弱すぎるぞ。
 私としては、第1部のヒロイン、カレン・モクよりも第2部のアテナ・チュウの方がはるかにかわいいと思うのだがどうか。

 続けて『バフィ』の続きを観たのだが、日本で出ているビデオの2巻目はいきなり第2シーズンの途中の回になってしまっているので、1巻目とは人間関係が変化しているし知らないキャラクタも出てくるしでよくわからない〜。

 きのう借りてきたビデオは6本。貸し出し期間は7泊8日なので、私は1週間かけてちびちびと見ていけばいいと思っていたのだが、妻がどうしてもすぐ見たいと強く主張するので、6本のビデオを2日間で消化するはめに。改めて、妻の欲望の激しさに慄然とした私である(笑)。
10月30日(土)

 以前観た『リバーダンス』が素晴らしかったので、ローソンまで行って、1月に来日するアイリッシュ・ダンス・ショウ『ロード・オブ・ザ・ダンス』のチケットを取る。近所のコンビニでチケットが取れるのは確かに楽でいいものの、ローソンでは席の確認ができないのが難点。これならちょっと遠くてもチケットぴあで取るんだった。

 レンタルビデオで『スクリーム2』を観る。あいかわらずの楽しい学園メタホラー映画。女子友愛会の寮で女子大生が殺されるあたりは、テッド・バンディのパロディなんだろうな(殺される学生の恋人の名前が「テッド」だし)。ほかにもいろいろと過去の犯罪や引用があるんだろうけど、ホラー映画にはあまり明るくないのでぴんとこないのが残念。犯人の正体には全然納得いかないが、まあそういう映画じゃないからいいか。

 サラ・ミシェル・ゲラーつながりで、というわけではないが、続けて見たのは『ナイトフォール〜真夜中のデート』。腑抜けた邦題がついているが、全米大ヒットのドラマ『バフィ・ザ・ヴァンパイア・スレイヤー』の第1シーズン1話2話のビデオ化である。これ、ずっと見たかったんだよなあ。
 学園生活を送りながらも、ヴァンパイア・スレイヤーとしての使命を帯び、襲いかかる魔物たちとたったひとりで戦う女子高生、という日本のマンガやアニメにありがちな設定を実写でていねいに描いているのが見物。日本じゃありふれている戦闘美少女ものだけど、アメリカじゃ珍しいのでは(『エイリアン2』とか『ターミネーター2』はどちらかというと戦闘おばさんだし)。まさに日本アニメそのままのノリで、期待通りの面白さ。サラ・ミシェル・ゲラーかわいいし。
 ビデオの終わりにはデンゼル・ワシントン、ブルース・ウィリス主演の映画『マーシャル・ロー』の予告が。そういやこの映画の予告、今年初め頃にも何度か見た覚えがあるが、いったいどうなったんだろう。かなりの大作のようなのだが、今まで日本公開されてないよなあ。何か公開できない理由でもあったんだろうか。
10月29日(金)

 午前中は外来で、午後は新入院で、二組の夫婦を診る。夫婦というもののあやうさについて考えさせられる一日。

 藤崎慎吾『クリスタルサイレンス』読了。作者は聞かない名前だけど、「宇宙塵」に掲載された中篇「レフト・アローン」で日本SFファンジン大賞を受賞した方だとか。商業出版ではこれがデビュー作。
 凄いぞ、これは。
 「凄い。凄い。凄すぎる。日本SFに超弩級の新人が現れた」とか「十年に一度の傑作」とか帯に書いてあっても、今どき誰も頭から信じたりはしないものだけど、この作品に限っては、驚いたことに帯の文句にはまったく嘘はない。最近じゃ、帯の誉め言葉がインフレぎみなので、本当に傑作が出てきたときに区別がつかなくて困ってしまう。
 私としては、十年に一度どころか、ここまで本格的なSFが今まで日本で書かれたことがあっただろうか、とまで思ってしまうのだが、これはちょっと言いすぎかな。ともかくここ最近では、これ以上にSF度の高い作品はまったく思い浮かばないことは確かだ。SF冬の時代といわれる今、ここまで直球のSFが書かれ、しかも出版されてしまうとは信じられない思いである。ありがとう、朝日ソノラマ。
 火星の北極冠で発見された生物死骸の謎とサイバースペースでの攻防をからめた骨太のストーリーは、日本SFというよりは海外SFに近いだろう。私は『火星転移』や『極微機械ボーア・メイカー』といったところを思い出したのだけど、単に海外大作SF風というのではなく、作者の描く火星にはどこか光瀬龍の東キャナル市の面影も感じさせるのがまたうれしい。設定が複雑なので最初はちょっととっつきにくいけど、それはSFであれば当然のこと。
 ただ、もちろん欠点もないわけではなく、北極冠の中の生物死骸の謎がいつのまにかフェードアウトしていってしまうのはちょっと腑に落ちないし、サヤとケレンの出会いがはっきり描かれていないので、ケレンがこれほどまでにサヤを愛している理由が今一つ胸に迫ってこないことも気になる。
 とはいえ、この作品が今年の日本SF最大の収穫になるだけでなく、ここ最近の日本SFシーンを書きかえる大傑作なのは間違いない。SF者は『カムナビ』を読むヒマがあったら『クリスタルサイレンス』を読め! あ、SF者以外にとっては『カムナビ』の方がはるかに面白いと思いますが。

 夜は来年のSFセミナーの打ち合わせ。私は読み終えたばかりの『クリスタルサイレンス』の凄さを語ったものの、みんなあまり期待している様子なし。そりゃそうだよな。日本SFに期待の新人、とか言われても私だって実物を読まなきゃ眉唾だと思うからなあ。
10月28日(木)

【告白体験談】私は3秒後には二重になっていた?

 と、借りているt-cup掲示板の広告欄に書いてあったのでしばし悩む。
 「3秒後に二重」ってのはどういうことなんだろう。クローンが出現したり転送事故が起きたりして自分が2人になってしまったということだろうか。でもそれはあくまで「二人」であって「二重」とは言わないよな。
 3秒前の自分が残像のように今の自分に重なってるのなら確かに「二重」といえるだろう。あるいは、『宇宙消失』的に二つの可能世界の自分が重なってるっていう場合も考えられるなあ。じゃなかったら「私」はすでに肉体を捨ててデジタル化されており「全二重」で通信可能になった、ということかも。3秒後に二重ログインで落とされたってのがいちばんありそうな線かな。
 いろいろ想像を膨らませてからリンク先に飛んでみると、そこは美容整形のページ。
 あ、二重(にじゅう)じゃなくて二重(ふたえ)だったのか。

 貴志祐介『青の炎』(角川書店)、中公新書の復刊から吉田禎吾『日本の憑きもの』購入。この本、欲しかったんだよ。
10月27日(水)

 最近風邪引きの日記者が多いようだけど、どうやら私も風邪を引いてしまったようだ。うう、体がだるい。

 誰が喜ぶんだ、こんなもん、と思いつつも作成したスイート・ヴァレー・ハイのリストが、意外にも一部で好評だったようなので、今度は「ハィ!ブックス」(「ィ」は小さく)完全リストをお届けします。
 だいたい、ハヤカワという出版社はどうも流行にうとい傾向があるようで、ブームが終わりかけたころになってようやく参入するので結局どれも短命に終わってしまうようだ。ほら、ロマンス小説(YR)もヤングアダルト(HB)もゲームブック(GB)も、みんなそうでしょ。この文庫が成功していれば、『星界の紋章』もハィ!ブックス(「ィ」は小さく)で出てたことだろうに。
 さて、ラインナップを眺めると、その後名前を聞かない作家が多いような。羅門祐人のシリーズは現在の作風とはかけ離れたメディカル・コメディ。イラストにけっこう力が入ってますな。

タイトル著者イラストシリーズ名
HB12×殺人事件豊田淳子小島文美
HB2都市に降る雪波多野鷹ひろき真冬
HB3花輪竜一郎さんの優雅な生活神月摩由璃吾妻ひでお
HB4自殺の楽しみ方達井彬仁イラ姫
HB5元祖羅門堂病院羅門祐人弓月光
HB6飛べ雷光の翼!浅香晶柴田昌弘SUPER NOVA
HB7トヴィウスの森の物語井辻朱美中山星香
HB8逆バレンタインの逆襲豊田淳子小島文美
HB9虹色のリデル松本祐子竹田やよいシエナ国物語
HB10悪い夏松村光生笠井あゆみアーマゲドン2000
HB11爆走! ガンナーロード浅香晶柴田昌弘SUPER NOVA
HB12怒りの日松村光生笠井あゆみアーマゲドン2000
HB13元祖羅門堂病院2羅門祐人弓月光
HB14リュスリナの剣1 暁の書神月摩由璃あしべゆうほ
HB15セイレンの末裔富樫ゆいか田村由美
HB16冒険! 恋の楽園島浅香晶柴田昌弘SUPER NOVA
HB17元祖羅門堂病院3羅門祐人弓月光
HB18目醒めの時松村光生笠井あゆみアーマゲドン2000
10月26日(火)

 そういや私もみらい子さんと同じように、鼻で呼吸をしたことがあまりない。普通の人は鼻で息をしている、と知ったときにはカルチャー・ショックを受けたものだ。私の場合、子どもの頃からアレルギー性鼻炎で年がら年中鼻が詰まっていたので、当然ながら口で息をするしかなかったのである。
 鼻が詰まっていていちばん困るのは、食事をしながら息ができないことですね。鼻で呼吸ができないから、噛んでいる間は息を止めていなければならない。おかげであまり噛まずに急いで食事をする習慣がついてしまった。
 歯医者でも困ったなあ。大きく口を開けて歯を削られていると、だんだんとのどのあたりに唾液がたまってくるのですね。唾液がたまるとたいがい歯科衛生士のお姉さんがドレーンで吸いこんでくれるものだが、なかなか吸いこんでくれないときは飲みこんでしまうほかはないではないか、窒息しないためには。
 小中学校の長距離走のときにも困ったなあ。走るときには鼻から息を吸って口から吐けと体育教師はいうのだが、そもそも鼻から吸うことができないのにどうすりゃいいんだ。おかげで長距離走はいつも後ろから数えて1ケタ以内の順位であった。
 学生時代の耳鼻科実習のときには、指導医に鼻鏡(「鏡」とはいっても鏡ではなく、金属性の鼻の穴を押し広げる道具である。鼻版の「クスコ」みたいなものだ)を鼻に突っ込まれ、「お、鼻硬介が青白く肥厚しているねえ、典型的なアレルギー性鼻炎だよ」とか言われた経験がある。そのあと同じグループの学生全員が私の鼻の中を覗き込んだから、私のグループにいた学生はアレルギー性鼻炎の所見には詳しくなったことだろう。私以外は。
 最近は鼻炎も少しはよくなってきたようで、鼻で息ができることが多いのだが、それでも気を抜くとぽかんと口を開けてしまっているし、無理に口を閉じて鼻で呼吸しているとなんだか息苦しくなってきて、結局は口で息継ぎするはめになる。ちゃんと空気は鼻から入ってきてるはずなのに。変だなあ。
 さて、私が今真剣に心配しているのは、テロリストか反政府ゲリラに襲われて人質になったときのことである。手足を縛られるのはいいとして、口にガムテープ貼られたらきっと死ぬよ、私は。
10月25日(月)

 日刊スポーツによれば、ジョン・トラボルタが来年生まれる第2子に「スパム」と名づけるとか。なんでまたスパムかというと、スパムがトラボルタ家の大好物だから。ちなみに長男の名前はジェット君。なんでジェットかというと、トラボルタはジェット機が大好きだから。そんなんでいいんかい。好きなものの名前つけていいんなら、私も子どもに「SF」ってつけるぞ。「洞窟」でもいいかも。
 まあ、ジェットはいいわな。ジェット・リーって人もいるし。しかしスパムはないだろ。ネット界でスパムがどういう意味で使われているか知らないのか、トラボルタ。モンティ・パイソンも見てないんだろうなあ。
 しかし、スパムが大好物って……アメリカ人の味覚はよくわからん。

 ニュースで話題の虐待日記のページを見るが、こりゃ十中八九フィクションだろう。だいたいこういうページを作る人が本名や家族構成まで公開するとはとても思えない。
 ページ作者は、幼児虐待に罪悪感を持つ必要はないと主張しているのだけれど、その論拠があまりにも未熟。「ゲームで主人公キャラをわざといじめちゃったりしませんか? あれに近い感覚です」と書いているように、この人は子どもを自分の所有物としか見てないのですね。これなら簡単に反論可能である。もうちょっと論理があるものと期待したのだけれどなあ。『スイート・リトル・ベイビー』くらいの超絶論理をとはいわないが(笑)。

 どうしても表紙を見ると笑ってしまう幻想文学56SFマガジン12月号、ストレンジ・デイズ編『遊佐未森』(BNN)購入。BNNもいろんな本だしてるんだなあ。私にとってはいまだにBug Newsのイメージが強いんだけど。
 あとは、エドワード・ショーター『精神医学の歴史』(青土社)も買う。精神医学史のまとまった本ってのは意外に珍しい。精神分析の立場から見た通史にはエレンベルガーの大著『無意識の発見』(弘文堂)があるがあれはあれでけっこう偏ってるからなあ。今回出た本も精神分析に批判的な生物学的精神医学の立場から書かれた本なのでこちらも偏ってるようなのだけど。二冊とも読めばバランスがとれるかな。
10月24日()

 久しぶりに読んだ光瀬ジュヴナイルがなかなかよかったので、本棚のすみに転がっていた角川文庫の『明日への追跡』も読んでみた。これは以前読んだ覚えがないのでたぶん今回が初読。
 『夕ばえ作戦』と『暁はただ銀色』が本格的なSFだったのに対し、これは比較的SF味の薄いサスペンス小説。出来も前の二作に比べるとやや落ちる。ただ、細かい発見はいろいろありまして、例えば主人公のガールフレンドへの想いはジュヴナイルゆえはっきりと描かれることはないが、いつのまにかガールフレンドへの呼び方が苗字から名前に変わっているあたり芸が細かい。この辺は子どもの頃に読んでも気づかなかったろうなあ。
 しかし、『なぞの転校生』とか『ねらわれた学園』みたいにストレートなタイトルの眉村作品に比べ、光瀬ジュヴナイルのタイトルは抽象的でどんな話なのかわかりにくいよね。

 夜はビデオで香港映画『妖獣都市 香港魔界編』を観る。むう、これはどう見てもメガネくん二人のホモ映画(笑)(闇ガードのメンバーはなぜか全員メガネなのである)。しかし、なんでこんな映画に出てるんだ仲代達矢。

 asahi.comによれば、ファッションモデルの卵子を競売するページが登場したそうな。その名も"egg auction"。そのまんまや。
10月23日(土)

 霞流一『赤き死の炎馬』(ハルキ文庫)読了。お笑いミステリと聞いていたのでどんなにバカバカしい話かと思ったのだが、意外にきちんとした本格ミステリである。お笑いとはいっても物語の味つけにすぎず、展開が本格の枠を逸脱することはない。中盤には、本格ミステリ特有の捜査場面が続くのだが、このあたりの退屈さは、お笑いだけで引っ張って行くにはちょっと苦しい。結末で明かされる密室の謎もそれほどぶっとんではおらず、むしろ、最近の新本格の中ではおとなしい方である。
 もっとミステリの枠を突き崩すほどにバカバカしい物語を期待していたのだが、ちょっと期待しすぎたかな。

 『わが赴くは蒼き大地』が意外におもしろかったので、古書店にて田中光二『幻覚の地平線』『異星の人』(ハヤカワ文庫JA)、それから光瀬龍『吹雪の虹』(徳間文庫)を購入。CDショップで谷山浩子のニューアルバム『ぼくは鳥じゃない』を買う。表題作は昔の谷山浩子風。ちょっとだけ遊佐未森風の「僕は帰るきっと帰る」がお気に入り。
10月22日(金)

 光瀬龍『夕ばえ作戦』(ハルキ文庫)読了。ずーっと昔読んだ覚えがある本である。懐かしい。中学生が過去に戻って忍者と戦う話、というような漠然とした記憶しかなかったのだが、実際読んでみると最初読んだときとはずいぶん印象が違っていた。決して中学生が忍者と互角に渡り合うだけの話ではなかったのだ。たぶん、これを書いたときの作者の念頭にあったのは『アーサー王宮廷のヤンキー』だったんじゃないだろうか。
 前半は体格もよく運動能力もすぐれている現代の中学生が忍者を向こうに回して戦う、という脳天気な展開(子どもの運動能力が年々落ちている今となっては信じられない設定である)なのだが、後半になるとこれはかなり血みどろで凄絶な話である。ジュヴナイルだけにさらりと流されてしまっているが、腕が飛んだり刀で斬り殺されたりと凄惨な描写もしっかりあるし、中学生たちが持ちこんだ現代の武器による犠牲者も数多い。これは結局、主人公たちの遊び半分の介入により、小競り合いが全面戦争に発展し、累々たる死者を出したという物語だったのですね。むう、奥が深い。
 昔読んだとき(たぶん私は小学生だった)には筋を追うだけでせいいっぱいだったが、描かれていないところまで想像すればまた違う読み方ができる作品である。傑作。
 カップリングの『暁はただ銀色』も、ジュヴナイルだからといって手抜きのない名作。どうも光瀬宇宙SFは辛気臭くて、という人にもお勧め。

 グレッグ・イーガン『順列都市』(ハヤカワ文庫SF)、大島泰郎『地球外生命』(講談社現代新書)、西村清和『電脳遊戯の少年少女たち』(講談社現代新書)、藤崎慎吾『クリスタルサイレンス』(朝日ソノラマ)購入。「凄い。凄い。凄すぎる」という大森望の手放しの大絶賛に不安を感じてしまうのは私だけではないはず。あとは安永航一郎『火星人刑事(2)』(集英社)と、古書店にて光瀬龍『紐育、宜候』(角川文庫)、田中芳樹『流星航路』(徳間文庫)購入。
10月21日(木)

 ハヤカワから創刊されたダニエル・キイス文庫、あんまり興味がないので1冊も買ってないのだが(実は私、あのビリー・ミリガンすら未読である。いちおう読んどいた方がいいかなあ、職業柄)、ウェブ上の意見をみるかぎり大きな字が読みにくいとあんまり評判はよくない様子。しかしなあ、いきなり「ダニエル・キイス文庫」には驚いたよな。まさかいきなり個人文庫を出してしまうとは。キイス本人も驚いたのでは。
 個人名を冠した文庫として思い出すのは、吉川英治文庫、山岡荘八文庫、江戸川乱歩推理文庫といったところ。むう、全部講談社だ(角川文庫やハヤカワ文庫だって個人名といや個人名だが、ここで言っているのは当然そういう意味ではない)。ほかの会社ではなんかあったかな。思い出せないなあ。タチバナかっぽれ文庫だって、別に深見青山の本だけじゃなかったはずだし。
 ともかく、これまでの例からすると、個人文庫になる作家といえば、だいたい多作を誇るベストセラー作家というのが相場である。しかし、キイスはベストセラー作家ではあるもののとうてい多作とはいえない作家。全部並べても10冊程度しかないのに独立した文庫にしてどうしようというんだろう。まあ、SFとかNVとかNFとかいろんな文庫に分けて入れるよりはまとめておいた方が売れるだろうという計算からなのだろうけど。
 そういや、ハヤカワにはもうひとつ個人文庫がありましたね。つまりダニエル・キイス文庫はハヤカワ第二の個人文庫ということになる。
 え、最初は何だったかって? あったじゃないですか、スイート・ヴァレー・ハイというのが。
(知らない方のために註:昔、ハヤカワ文庫YR(ヤングロマンス)というのがあって、フランシーン・パスカルという作家の小説ばかり20冊出していたのだ。全然売れなくてすぐつぶれたけど)。
 突然だがここでYR完全リスト。井辻さんが3冊も訳してます。しかし、こんなリストほしがる人がいるんだろうか。

タイトル訳者
1恋はおまかせ井辻朱美
2涙のシークレット・ラブ井辻朱美
3ハートに火をつけて羽田詩津子
4その気になれば、どこまでも羽田詩津子
5恋のお手並み拝見赤尾秀子
6危険な恋にご用心佐藤ひろみ
7およしになって、おねえさま高橋琉美子
8渚でフォーリン・ラブ猪俣美江子
9かけぬければ恋のチャンス茅律子
10あの娘は気まぐれ鈴木啓子
11夢みたい野口沙智子
12さよならは言わないで野口沙智子
13あぶないウィークエンド羽田詩津子
14ないしょで胸さわぎ鈴木啓子
15涙にさよなら茅律子
16シンデレラ・ボーイも楽じゃない井辻朱美
17信じられないラブレターみき遥
18本気でアイ・ラブ・ユー羽田詩津子
19恋人はミステリアス猪俣美江子
20グッバイ・マイ・ラブ鈴木啓子
過去の日記

99年10月中旬 少年隊夢、笑い反応、そしてカムナビの巻
99年10月上旬 2000円札、カエル、そして日原鍾乳洞の巻
99年9月下旬 イギリス、怪文書、そして臨界の巻
特別編 英国旅行の巻
99年9月中旬 多重人格、オークニーに行きたい、そしてイギリスの巻
99年9月上旬 家族、通り魔、そしてもてない男の巻
99年8月下旬 家庭内幻魔大戦、不忍道り、そしてDASACON2の巻
99年8月中旬 コンビニ、液晶モニタ、そしてフォリアドゥの巻
99年8月上旬 犯罪者ロマン、イオンド大学、そして両生爬虫類館の巻
99年7月下旬 ハイジャック、あかすばり、そしてさよなら7の月の巻
99年7月中旬 誹風柳多留、小児愛ふたたび、そして動物園の巻
99年7月上旬 SF大会、小児愛、そして光瀬龍の巻
99年6月下旬 小此木啓吾、上野千鶴子、そしてカルシウムの巻
99年6月中旬 妄想、解剖学標本室、そしてパキャマラドの巻
99年6月上旬 睾丸握痛、アルペン踊り、そして県立戦隊アオモレンジャーの巻
99年5月下旬 トキ、ヘキヘキ、そしてSSRIの巻
99年5月中旬 鴛鴦歌合戦、星野富弘、そして平凡の巻
99年5月上旬 SFセミナー、ヘンリー・ダーガー、そして「てへ」の巻
99年4月下旬 病跡学会、お茶大SF研パーティ、そしてさよなら日記猿人の巻
99年4月中旬 こっくりさん、高い音低い音、そしてセバスチャンの巻
99年4月上旬 日記猿人、生首、そして「治療」は「正義」かの巻
99年3月下旬 メールを打つ、『街』、そしてだんご3兄弟の巻
99年3月中旬 言語新作、DASACON、そしてピルクスの巻
99年3月上旬 サマータイム、お茶の会、そしてバニーナイツの巻
99年2月下旬 バイアグラ、巨人症、そしてドッペルゲンガーの巻
99年2月中旬 クリストファー・エリクソン、インフルエンザ、そしてミロクザルの巻
99年2月上旬 犬神憑き、高知、そして睾丸有柄移植の巻
99年1月下旬 30歳、寺田寅彦、そしてスピッツの巻
99年1月中旬 アニラセタム、成人、そしてソファの巻
99年1月上旬 鍾乳洞、伝言ダイヤル、そして向精神薬の巻

97-98年の日記

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