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町井登志夫『血液魚雷』が残ってますね。しかし町井さん、ホワイトハート大賞、小松左京賞に続き、このミス大賞も狙うつもりですか……。
黒書刊行会さんと同様、私も「我がまどろみは覚めがちに」がいちばん好き。片方の眉を剃った養老先生(にしては若いけど)が「バカだっ! バカの壁だっ!」と笑ってるというネタには笑いましたよ。元ネタを挙げているとキリがないのだけれど、目についたところだけ。
p.10のTシャツに書いてある"ALWAYS LOOK ON THE DARKSIDE OF THE FORCE"は、モンティ・パイソンの映画『ライフ・オブ・ブライアン』の挿入歌"Always look on the bright side of life"と、「フォースの暗黒面」をかけたもの。
p.61「助けよや、猫又よや、猫又よや」は、徒然草八十九段「奥山に猫又」に出てくる台詞。
p.66「とびどくもたないでくなさい」は宮沢賢治「どんぐりと山猫」より。
p.128「“オ楽シミハコレマデダ”(イテ・ルスス・エスト)」は、『ジャズ・シンガー』の有名な台詞「お楽しみはこれからだ」と、「ミサ」の語源となった閉会の挨拶"Ite Missa Est"(行け、集会は終わりだ)をかけたもの。ラテン語で書けば"Ite lusus est"かな。"Lusus"は「遊び」という意味だけれど、"Missa"自体が「解散」という意味なので、ラテン語の文法的にはたぶん間違い。
あと、p.129の女王の正体の本のタイトルは"Mädchenexil"であるよう。ぐぐってみるとたったひとつだけ出てきます。訳すなら「流浪の乙女」? ドイツ語はよくわかんないや。元ネタは何なのかもよくわかりません。
ほかにもいっぱいあるけど疲れたのでこのへんで。
マイク・アシュリー『SF雑誌の歴史』(東京創元社)を読んでいたら、出てきたのが「フランク・リード」シリーズの話。野田昌宏氏の本などで鋼鉄のロボットが馬車を引いている絵がよく紹介されているので、フランク・リードという名前だけは知っていたのだけれど、どんな話なのかは知りませんでした。
1876年にハリー・エントンが書いた「フランク・リードと荒原の
その後作者はルイス・セナレンスに代わり、主人公もフランク・リードの息子に引き継がれるが、「フランク・リード・ジュニアと蒸気機関大冒険」に始まるシリーズは絶大な人気を博し、セナレンスは「アメリカのジュール・ヴェルヌ」としてもてはやされたのだという。
例によってぐぐってみると、ありました、フランク・リードもののサイトが。馬車を引くスチームマンの勇姿がすばらしい。蒸気の時代が終わると、スチームマンはエレクトリックマンに引き継がれたようだ。空中船はちょっとヴェルヌのパクりっぽいけどまあいいか。
同じサイトにあるヴィクトリアン・ロボット「ボイラープレート」のページもおもしろい。アーチボルド・キャンピオン教授によって発明され、1893年のシカゴ万博で披露されたロボット「ボイラープレート」。南極探検に同行し、米西戦争や第一次大戦にも従軍、日露戦争時には満州にいたという……。
もちろんフィクションなのだけれど、細部まで設定が作り込まれていてよくできてます。
8月1日の映画の日に観た映画。
前作同様、完成度高し。ハリウッドアニメにありがちな漂白されたような人畜無害な世界観じゃなくて、毒がたっぷりふりかけてあるあたりが大人にも楽しめるところ。今回は前作のようなおとぎ話パロディばかりじゃなく、古今の映画パロディも山ほどあるのだけれど、ドンキーの歌うローハイドの主題歌とか、フラッシュダンスのパロディなんて、30代以下じゃわからんだろう。そうしたマニアックなところもおさえつつも、キャラクターはしっかりと立っているし、ストーリーは単純で一本筋が通っているところがおみごと。ただ、シュレックたちが延々と時間をかけてたどりついた遠い遠い国まで、ピノキオや三匹の盲の鼠たちが、テレビ中継を見てからどうやってすぐに到着できたのかが謎。
吹き替え版で観たのだけれど、浜田雅功シュレックの関西弁はちょっと違和感あり。山寺宏一と竹中直人はさすがにうまい(★★★★☆)。
最近では珍しく、肉体の痛みが直に感じられる映画。もう、オープニングの木登りシーンからして、痛い痛い。本気で落ちてますよ、みんな。アクションシーンも痛さ爆発。本気で肘打ちが頭を直撃しているとしか思えません。絶対何人か病院送りになってるね。ジャッキー・チェンとかリー・リンチェイの昔の映画を思い出しましたよ。三輪タクシーのカーチェイスシーンにしても、全体に手作り感が漂っていて、ハリウッドの洗練されたカーチェイスに比べて何とも生々しい。最近じゃ香港映画でも当たり前にCG使ってるしなあ。俳優を平気で痛めつけるこういう映画を作れるのは、もはや途上国しかないのかも。
ストーリーはあってないようなものかと思っていたのだけれど、仏教を中心に据えた物語が、意外にしっかりと映画をひきしめていたのには感心しました。ただ、私たちの知らないタイではなくて、ムエタイ、仏像、寺院、象、唐辛子、麻薬……と、いかにも外国人が思い描くタイらしいタイがそのまんま描かれていたのはちょっと興ざめ。最初から海外配給を意識して作ったからなのかな。
公式には「!」の数がいくつなのか気になって、いちおうポスターに準拠して8つにしときましたが、宣伝プロデューサーによるマッハブログによれば、「!」は好きなだけつけていいらしい。/マッハ!+/と表記すればいいんでしょうか。しかしこのブログ、宣伝ブログのくせに一つしか記事のエントリがないなんて、やる気なさすぎです(★★★★)。
SFやミステリの表紙絵や挿し絵もたくさん描いていた方ですね。木版画で描かれた線の太い絵がどこか不気味で印象的でした。特に印象に残っているのは、徳間文庫版の『退職刑事』シリーズとか、奇想天外社版の『グリーン・レクイエム』とかかな。今となっては、いかにも時代が感じられる装丁。今だったら、『グリーン・レクイエム』にこういう装丁は絶対につけないに違いない。
7月30日に紹介したサイコゾンの広告に使われていたルイス・ウェインの猫ですが、フランス在住のバンド"MAMI CHAN BAND"のライブアルバムのジャケットにも使われているそうです。さすがに、まがまがしい後期の絵を使うのは躊躇しましたか。
m3.comという医学情報サイトで知った医療トリビア。
皮膚にできた良性腫瘍と悪性腫瘍を、犬は匂いで鑑別できる
Armand Cognetta医師(米国、フロリダ州)は調教師と協力して警察犬ジョージを訓練したところ、ジョージは試験管に入った悪性黒色腫のサンプルをほぼ100%の確率で嗅ぎ当て、実際の患者でも同様に悪性黒色腫を鑑別できたそうだ。
「リンゲル液」のリンゲル氏と、「リンガーハット」のリンガー氏は実の兄弟
点滴に使われるリンゲル液を作ったのはイギリスの生理学者シドニー・リンガー教授。明治維新前に長崎で貿易を行っていたフレデリック・リンガー氏は教授の実弟で、「リンガーハット」の名前の由来は、このリンガー氏の旧居を移築した長崎の異人館リンガー邸。
体外受精などに使われる排卵誘発剤であるhMG製剤の原料は主にヨーロッパの女子修道院から収集されている
排卵誘発剤のhMG製剤は更年期女性の尿から精製されるが、女子修道院は男性がおらず更年期女性が多いので効率がよかったとか。現在、世界のhMG製剤を製造している中心的メーカーは、オルガノン社(オランダ)とセローノ社(イタリア)。両方ともカトリックで修道院が多い国ですね。日本のメーカーもhMG製剤を販売しているが、原料の尿は中国に依存しているという。
『インナーネットの香保里』
単行本 講談社(青い鳥文庫fシリーズ) 著者:梶尾 真治(著),鶴田 謙二 発売日:2004/07, 価格:\609, サイズ:18 cm --出版社/著者からの内容紹介-- 明日、世界が消滅するとしても見ておきたいもの、それは!? 超能力者と家出少女の不思議な旅 はやみねかおるさんも大絶賛! これからカジシンが読める「うらやましいぜ!」<解説より> 暎(えい)兄ちゃんは超能力者で逃亡者。心と心をつなぐネットワーク、「インナーネット」を巡って、2つの国際的大企業に追っかけ回されているの! しかも3日以内に手術をしないと命が危ないし、手術が成功しても治るかどうか……。 なのに暎兄ちゃんときたら、どうしても九州にいきたいんだって! そんなことしてる場合じゃないのに! ……もう、これはわたしが助けてあげるしかない! |
梶尾真治の小説に鶴田謙二の絵。しかも「美亜に贈る真珠」以来、数々の名作がある女性名入りのタイトル。となれば、もう期待するなという方が無理な話ではあるのだけれど、これはあくまで子供向けの作品。すれた大人にはちょいと厳しい出来でした。
プチ家出中の少女が超能力者の“お兄ちゃん”と出会って、いきなり一緒に九州へ向かうという展開はいくらなんでも唐突すぎるし、主人公たちは山に向かうだけ、敵はひたすら追ってくるだけ、というストーリーもちょっとシンプルすぎる。言語化されない「暗黙知」をも通信できるという「インナーネット」のアイディアは魅力的だけれど、充分展開されないまま終わってしまうのが惜しい。結末はいかにも梶尾さんらしいロマンティシズムがあふれていて美しいのですが。
いくら小学生向けにしても、この物語はちょっと単純すぎるんじゃないかな。小学生も高学年ならば、もっと複雑な物語を楽しめると思うのだけれど。小学生の頃の私はペルシダーとかキャプテン・フューチャーとか読んでたぞ(あんまり複雑でもないか)。
『ドールの子―グイン・サーガ(95)』
文庫 早川書房(ハヤカワ文庫JA) 著者:栗本 薫(著) 発売日:2004/06/10, 価格:\567, サイズ:15 x 11 cm --内容(「BOOK」データベースより)-- グインを乗せた星船は、ノスフェラスの大地を揺るがして飛び立った。地上を遠く離れた宇宙船内で、グインはアモンと対決してこれを退けるが、ついにおのれの運命と対峙することになる。そして彼の選択は、さらに苛酷な宿命をもたらすものだった。いっぽう、戦いを終えてそれぞれの故郷、パロ、ケイロニア、そしてモンゴールに帰り着き、平穏な暮らしを取り戻したかに見えた者たちも、それぞれに新たな苦悩に直面していた。 |
6月に出たグイン・サーガ95巻。96巻が出たので追いつくために慌てて読みました。
三国の主要登場人物が総登場(失踪中のグインは除く)して、これまでのおさらいと現状のまとめをしてくれる巻。特に大きな展開があるというわけではないのだけれど、それぞれのキャラクターの性格がくっきりと描写されていて、とてもおもしろく読めた。グイン・サーガは、何か激しい展開がある巻よりも、むしろこういう巻の方がいいです。
思うに、栗本薫の最大の功績は、ファンタジー世界に心理学的な人物像を持ち込んだことじゃないだろうか。見捨てられることを激しく恐れ、自分が人の親になることを嫌悪するイシュトヴァーンも、妻と子を持ちながらもふらふらと出奔せずにはいられないマリウスも、厳格な父の元に生まれ父や夫への当てつけのように放埒な性交渉を繰り返すシルヴィアも、ほとんど現代の人物といってもおかしくないほど生々しい人物。その描き方はいくぶん教科書的すぎるきらいはあるし、3人の性格特徴が似通いすぎているのがちょっと気にかかるのだけれど、フラットなキャラクターや英雄的な人物ではなく、欠落を抱えた不完全な人物像を、国家の興亡や星船をめぐる大きな物語をも進行させつつ描いている試みは買いたい(ただ、レムスの多重人格はちょっと無理があったように思いますが)。
この巻では、これまで描かれてきたそれぞれの人物の経歴や体験した出来事が再び言及され、これまでの長大な物語の積み重ねの上に彼らの人格があり、そして現状の問題があるのだということが示唆される。大長編小説を読む醍醐味ですね。
阿部氏はまず「日本人は血液型の話が好きだが、教育に生かしてこなかった」と指摘。自身がかかわる保育園で20年前から血液型を保育に活用、効果を挙げていることを具体的事例を基に説明した。
これまでの調査で、血液型と園児の行動様式に因果関係があることが分かったと指摘。教室内で自由に座らせると、B型の子は「先生の前に」、A型の子は「窓際や廊下など端の方に」、O型は「真ん中で群れになって」、AB型は「一番後ろ」など血液型により顕著な違いが表れたという。
O型は肩をなでるなどのスキンシップを好むなど、それぞれの血液型に特性があり、それらを活用することで園児一人ひとりが楽しく園生活を送れるようになったと成果を披露した。
私立幼稚園連合会の教師研修大会での講演。幼児保育ってなんでもありの世界なんですなあ。講演をした阿部進氏は、『血液型気質別教育法―目からウロコが落ちるわが子発見法』なんて本も書いてます。
なぜかSF日記界隈で大人気の日本の幻獣展。幻獣フィギュアを買った人がここにも!
ちなみに、こちらが私の買ったあまびこ。