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飽きたらまた戻すかも。
中国語による北朝鮮情報サイトDPRK timeの元記事はこちら。中国幻想文学基地のzhwj氏による英訳版はこちら。
おもしろいので全文を訳してみる。試訳なので誤訳はご容赦を。
昨年11月末、北朝鮮の首都平壌で全国の第一高等中学の学生による科学アイディア大会が開催された。第一高等中学とは、その地方の重点学校のことである。
参加作品の中で高い評価を得たのが、『宇宙の征服者』というタイトルの長篇SF小説である。審査員たちは全員一致でこの作品を絶賛した。「宇宙を征服するというのはいい考えだ。特に驚くのは、この作品が科学的な題材をうまく使っていることだ。この作品は、子供らしい素直さを表現しているとともに、熟練した技術をも兼ね備えている。これは、作者の精力的な努力の産物である」。この小説は、学生や若者たちからも歓迎された。作者は、平壌東大院第一高等中学の学生である16歳の金南赫(Kim Nam Hoon)。ごく普通の事務員の家庭のひとり息子である。
小説の前書きで、彼はこう書いている。「夢の中でさえ、自分に小説が書けるとは考えたことがありませんでした。私は、自然や社会、人間についての知識に乏しい単なる中学生です……でも、私はそれでも無謀にもペンを執って小説を書きました。この作品は文学とはいえないでしょう。私はただ、科学が国家を強くする未来についての私見を書いただけです。輝かしい未来は情報化時代のリーダー(私や、私と同時代の他の若者たち)が、そして、私たちの不屈の思索と探求が切り開いていくに違いありません」 金南赫は、物理学の授業で啓発を受けたあとにこの小説を書いた。
2年前の夏、物理学の先生は、人工衛星と宇宙速度、人工衛星内での無重量状態について講義していた。授業の最後に、先生はこう付け加えた。人類に役する研究に従事するために、多くの科学者が最善を尽くしているが、まだまだ非常に多くの難問が答えのないままに残っている。これらの問題は、解決してくれる未来のリーダー――君たち学生諸君――を待っているのだ。この先生の言葉は、金南赫を大きく揺り動かした。全国第一高等中学科学アイディア大会の通知が来たのは、それからすぐ後のことだった。誰もが興奮していた。ある学生は、新しい物理学の装置を開発しようとした。また、他の学生は、建築設計をする最先端テクノロジーを使おうとした……。金南赫は、長篇SF小説を書くことに決めた。それを聞いて、クラスメートたちはみな首を横に振った。しかし、先生は強く彼を支持し、激励したのだった。
SF小説を書くというのは、口で言うほどたやすいことではない。それには、一定レベルの科学知識と文学的トレーニング、そして大量の資料を調べることが必要である。放課後、彼は図書館や人民大学の図書閲覧室へと走り、また、それぞれの分野のエキスパートに紹介してくれるよう、先生に頼んだ。そして、彼は、月、火星、他の惑星に関する大量の資料を読み込み、どのように宇宙開発への道が開かれ、そして現在までに何が達成されたかを知った。この基礎の上に、彼は自分のヴィジョンを付け加えた。小説には、無人の工場、ロボット、コンピュータ化された家、月旅行、そして銀河系の星々を壊滅させた熱核戦争により故郷を失った巨人が登場する。
彼は言う。「はい、確かに私は多くのエネルギーを費やし、たいへんな苦労をしました。しかし、私は多くを学び、自信を得ました。人工衛星を使うことにより、地球の天然資源をより効果的に探すことができます。そして、宇宙を探査することは人類に幸福をもたらします。これはそう遠い未来のことではない、と私は信じています」
彼は、ふだんは無口だ。しかし、よく学び、深く考え、忍耐強く頑張り抜く意志がある。宇宙科学者になるという彼の夢は、確実に現実になることだろう。
えー、宇宙科学者? SF作家になるんじゃないんですか。
『宇宙の征服者』がどんな小説なのか、ほとんど紹介されていないのが残念なのだけれども、まあだいたい読まなくても想像がつくような気もする。しかし、今どき「無人の工場」とか言われてもなあ。16歳の金南赫君の、科学に対する疑うことのない絶大な信頼が眩しい……。
スパイダーマンを観に行ってきます。
すばらしい。まさに「悩めるヒーロー」スパイダーマンの面目躍如。ピーター君は2でも悩みまくっております。
ストーリーは、1の物語を引き継ぎながらも1よりもさらにグレードアップ。爽快なCGアクションに加え、いかにもサム・ライミ監督らしい(『死霊のはらわた』の頃を思わせる)チープなシーンやギャグシーンも満載。このところありがちなダークヒーローものとは一線を画しながらも、ただ脳天気なだけではなく、スーパーヒーローであることの意味を問う物語になってます。
たとえばティム・バートンのバットマンは、社会から排除された異形の者たちがお互いに戦いあう物語である。普通の人なんてほとんど関係してこないし、出てきたとしても、決して異形の者を理解などしてくれず、むしろ石を投げて排除しようとする、という、まあ考えてみれば、きわめて歪んだ世界観の物語である(だからこそ、我々オタクたちは強く共感したわけだけれど)。
それに対して、スパイダーマンはベンおじさんやメイおばさん、それから電車に乗り合わせていた人たちのような、市井に生きているごく普通の人たちの何気ない言葉に動かされたり、助けられたりするのですね。バットマンの世界にはこういう人は決して出てこない。敵にしても同じことで、スパイダーマンの敵は、バットマンの敵のように社会に対する強い憎しみなど持っておらず、グリーンゴブリンにしてもドック・オクにしても、ごく普通の野心や夢を持った人間が怪物化した存在なのですね。スパイダーマンの世界では、ヒーローも、敵も、等身大なのである。世界を排除し、また排除されているバットマンに対し、ひどい目にあっても根本では世界を信頼しているスパイダーマンの違い、というか、このあたりのカラーの違いが映画に出ているのがおもしろい(原作はともかく、あくまで映画について語っております)。
アメコミ映画としては、ほぼ完璧な出来なのだけれども(『X-メン』や『ハルク』は、私には今ひとつでありました)、ドック・オクを演じたアルフレッド・モリーナに、前作のウィレム・デフォーほどの凄みがなかったことだけが残念。
あと、オープニングに使われていたアレックス・ロスっぽい絵が非常に印象的だったのだけれど、あれはアレックス・ロスの絵だったんだろうか。サーチしてみても情報が見つからなかったよ。
気になった点もひとつ。この映画の中に、喫茶店で別れ話をしているピーターとMJめがけて、ガラスを突き破って車が飛んでくるシーンがある。投げつけたのはドック・オクで、ピーターの超人的な反射神経のおかげで、ふたりは間一髪難を逃れる。予告編でも使われている名場面のひとつなのだけれども、このとき、ドック・オクはまだピーターがスパイダーマンだということを知らないんですよね。ドック・オクはピーターからスパイダーマンの居場所を聞き出すためにピーターのところへやってきたのである。こんなことしたら、下手すれば、いやピーターがスパイダーマンじゃなかったら、確実に死んでると思うんだが。死んだらスパイダーマンの居場所聞き出せないんじゃないのか。
まあ、そんな揚げ足取りはどうでもいいから見れ。おもしろいから。ただ、前作から順に観ないと人間関係がわからないので、前作を先に観ること(★★★★★)。
吉田戦車の『殴るぞ』に、「キモい」という言葉で省略されてしまい、行き場もなく空間をただよっている「ち悪」をすくい取ろうとする少年の話があった。
それと同じように、「ブログ」という略語が使われているが、そこから切り捨てられたたくさんの「ウェ」が、ネット空間をただよっている気がしてならない。
ネットでは「ブログ」が急速に増えているが、その影で形なくただよっている「ウェ」たちは、ネットのあちこちにわだかまり、いずれネットの世界に目詰まりを引き起こすに違いない。そうなったら一大事だ。
そこで、「ブログ」という表記を目にするたびごとに、空間にただよう「ウェ」をすくい上げるために、「ウェ」と口の中で呟いてみることにした。
ウェ。
ウェ。
ウェ。
ウェ。
ウェ。ウェ。
特にオチはありません。オチが必要ですか?
ということわざからは、「昔打った篠塚」「むしり取った衣笠」などたくさんのパロディが生まれているが、
「昔飛んだ窪塚」
というのはどうか。今はともかく、あと1年くらいしたらそう言われるような気がする。意味は、才能にあふれていたのに軽はずみな行動ですべてを台無しにして、すっかり忘れ去られてしまうこと。
Boing Boing経由で、変形しつつ転がったりジャンプしたりする車輪型ロボット。立命館大学ロボティクス学科の平井慎一教授が開発しているそうだ。"Soft Robot"には、変形したりジャンプしたりしているところの画像があります。
近畿経済産業局の「次世代ロボット実用化プロジェクト」の採択結果についてのサイトには、このプロジェクトについて、
移動跳躍ソフトロボットの研究開発
転がりと跳躍により空間内を移動するロボット「KOHARO」を開発する。「KOHARO」は、柔らかいボディとソフトアクチュエータから構成されており、ボディの変形により跳ねたり、転がることが可能である。それにより、不整地走行、生物的な動作、生活環境における安全性等の機能が実現でき、災害時における人の探査や被害状況の確認、知育玩具や生活環境モニタリング等への適用が期待される。
とありまして、イラストに描かれているのは、子供とたわむれているボール状のロボット。
名前も"KOHARO"だし、まさにこれは……ハロ?
新聞には全然訃報が出てなかった、と書いたけれど、日経新聞には掲載されていたそうです。日経偉いぞ。
今日は七夕。いつも通る駅にも笹が飾られていて、子供たちの願い事の書かれた短冊がたくさん飾りつけてあった。
その中で一つ目を惹いたのが、こんな願い事。
「ほかの短冊の願い事がかないませんように」
なんて後ろ向きな願い事なんだ!
このフレーズ、さすがにギャグで使っているページが多いが、いまだに本気で使っているページもけっこうあるのが驚き。
別に、市民団体に対して含むところはないし、尊敬に値する活動をしている団体もあると思うのだけれども、この問いかけに代表されるような、同意以外の回答を想定していない/許さない横暴さは好きになれない。まともな感性を持っているなら、使おうと思っても使いたくない言葉でしょう。
という紹介に、ちょっと観たくなった韓国SF映画「ナチュラル・シティ」。日本語で書かれた紹介を探してみたところ、こういう話らしい。なるほど、まさにブレードランナー。まあ、最近は韓国映画流行りだから、そのうち日本でも公開されるでしょう。
最近公開される韓国映画にはあんまり興味を惹かれないのだけれど、こういう、いかにもトホホそうなB級SF映画は好きだなあ。『ロスト・メモリーズ』とか。お、監督は『ユリョン』の人なのか、ますますトホホの予感が。楽しみ楽しみ。
中国・安徽省の大学生の男性、方さんはこのほどインターネット上で熱愛していた広東省のガールフレンドと初対面、感激のあまりショック性の胸腔(きょうくう)内出血を起こし、危うく命を落としかけた。
中国の新華ネットによると、方さんは、2年間のネット交際の末、喫茶店で落ち合ったが、想像以上に美しいのに仰天、その場で気を失った。出血量は2000CCを超え、病院では気管を切開して除去したうえ輸血、9時間後にようやく意識を回復したという。(共同)
元記事をチェックするため新華社のサイトも見てみたけれど、すでに消されてしまったのかそれらしい記事は見つからず。
あちこちのサイトで取り上げられているこのニュースなのだけれども、まあ実際のところは「特発性血気胸」だったんじゃないかな、と。気胸は20代ぐらいの男性に多いのだ。美しさに感激したこととの因果関係については不明だけれども、気胸は特にきっかけなく起こるものなので、偶然という可能性も捨てきれません。
日本医事新報で読んで、個人的に「へぇ〜」と思った話。ファル通信や翠清会梶川病院のページにも詳しく書かれているけれど、パーキンソン病を発見したイギリス人開業医ジェームズ・パーキンソンは地質学者でもあって、発見された化石に「メガロサウルス」(でかいトカゲ)と命名したことが、恐竜に「〜サウルス」とつけるようになった始まりだそうだ。
興味深いのは、恐竜の名前第二号となった「イグアノドン」(イグアナの歯)の化石もまた、はやらない開業医で地質学者のギデオン・マンテルが発見している、ということ。
そういえば、作家アーサー・コナン・ドイルもまたはやらない開業医だったし、「ヤング率」で知られる物理学者トーマス・ヤングも、開業医兼物理学者兼考古学者だった。趣味や副業の域を遙かに超えた仕事を残している人物が多いのだ。むしろ医者の方が片手間なんじゃないかとすら思えてくるほど。
それにしても、一介の町の開業医が、第一線の地質学者でもありえたという時代がうらやましい。しかし、よっぽどヒマだったんですか、イギリスの開業医は。