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更新日: 2004/10/06


2004年 5月中旬

2004年5月12日(水)

本日のトリビア

 「郷原宏」で検索すると、うちの日記がトップ。

 それにしても腑に落ちないのは、郷原宏 退屈の二字で検索しても、うちのページしかヒットしないこと。誰か、郷原解説の研究を引き継ぐ人はいないものか。「退屈の二字」使用解説全リストとか、郷原決め台詞傑作集とか、見たいんだけどなあ。

『暗闇のスキャナー』映画化情報

 主役の覆面麻薬捜査官アークターを演じるのはキアヌ・リーヴス。その他のキャストとして、、ウィノナ・ライダー、ロバート・ダウニーJr.、ウディ・ハレルソン、 ロリー・コクレインが決まったとか。監督・脚本は『スクール・オブ・ロック』のリチャード・リンクレイター。

Winny作者逮捕への

 ネットでの批判の高まりと世間の無関心の温度差には茫然とするほど。まあ、ウィニー? 何それ? という普通の人には全然関心のない問題なのだろうけれど、なんか、普通の人はことの重大さに誰も気づいていないようなのがもどかしい限り(ZAKZAKの記事なんて、無理矢理わかりやすい犯罪者の類型にあてはめようとしていて笑いましたよ)。まあ、イラク人質事件でネット世論と一般の世論と政治とが完全にひとつの方向を向いていて実に気味が悪かったことを思えば、意見の対立があり無関心な人もいるというこの状態こそが健全な姿というものなんでしょう。
 私はこの逮捕は不当だと思うし、海外盤CDが手に入らなくなったら困るし、音楽を聴くのはもっぱらパソコンとMP3プレイヤーなのでCCCDは買わない。私にはP2P技術や著作権に関する充分な知識はないけれど、これが著作権を問い直す戦いの終わりではなく始まりにすぎないことを期待したいものです。これをきっかけに、すでにあちこちで声を上げる人が現れているし、もしかしたら京都府警はWinnyネットワークを終わらせるつもりが、パンドラの箱を開けてしまったんじゃないかな。

2004年5月16日(日)

原島広至『骨単 語源から覚える解剖学英単語集』(NTS)
骨単―ギリシャ語・ラテン語 骨単―ギリシャ語・ラテン語』 −
エヌ・ティー・エス(語源から覚える解剖学英単語集 (骨編))
著者:原島 広至,河合 良訓
発売日:2004/04, 価格:\2,730


 森山さんのところで知った『骨単』を入手。これはおもしろいね。医学用語の語源本はいろいろとあるけれど(こういう本とか)、だいたいエピソードを並べたような本ばかりで、読み物としてはそれなりにおもしろいのだけれど、網羅性には欠けていて学習用には向いていなかったのだ。『骨単』は、読み物としての深みには欠けるけど、そのぶんヴィジュアルで網羅的。学習用にも使えるし、読まずにぱらぱらとめくって眺めているだけでも楽しい。
 たとえば、茎状突起styloid processから、PDAのスタイラスの話になったり、翼状突起pterygoid processからプテラノドンが出てきたり。ギリシャ・ラテン語ばかりではなく、キヌタ骨の項目では葛飾北斎画の砧打ちの絵が紹介され、世田谷区砧やら田園調布、麻布などの語源にまで話が転がっていく(武蔵の国一帯で織物・染色業が盛んだったからだとか)。学生時代にこういう本があれば解剖学も楽しかったんだけどなあ。
 続編として『肉単』(筋肉編)、『脳単』(脳・神経)、『臓単』(内臓)も予定されてるらしい。

永野のりこ『よりぬき!すげこまくん!スペシャル 愛の十字架編』(日本文芸社)
no image よりぬき!すげこまくんスペシャル 愛の十字架編』 コミック
日本文芸社(Gコミックス)
著者:永野 のりこ(著)
発売日:2004/05/10, 価格:\500


 こちらは、鈴木力日記で出ていることを知って、駅のキヨスクで購入。いやまさか、キヨスクで永野のりこが手に入るとは思わなかったよ。単なる再録本かと思ったら、書き下ろし巻頭カラーに単行本未収録作品までついてるのですね。内容は既読だから特にいうこともなし。

2004年5月19日(水)

CLANNAD

 私もケルト音楽ファンなので、ネットの各所でこのタイトルを目にするたびにムズムズするんですが。
 まあ、『世界の中心で、愛をさけぶ』というタイトルを見るときのムズムズ感と一緒ですな。まあ、『世界の中心……』のときもそうだったように、そのうち諦めとともに慣れるんでしょう。
 法的にはどうあれ、好きなものの名前が勝手に使われて、しかも勝手に使った方がメジャーになってしまうというのはなんとなく不快なものです。

[読書]ティム・ラヘイ&ジェリー・ジェンキンズ『レフトビハインド』(フォレストブックス)
no image レフトビハインド』 単行本
いのちのことば社フォレストブックス
著者:ティム ラヘイ(著),ジェリー ジェンキンズ(著),Tim LaHaye(原著),Jerry B. Jenkins(原著),上野 五男(翻訳)
発売日:2002/03, 価格:\1,890, サイズ:19 x 13 cm

--内容(「MARC」データベースより)--
世界規模で起きた謎の人体消失事件。地球外生物の仕業か、それとも未知の自然現象か。一人の牧師の残したビデオが、真相を語りはじめた…。残された者たち(レフトビハインド)に、望みはあるのか?


 近未来トンデモ聖書サスペンス。日本ではキリスト教関係の出版社から出ているのだけれど、このシリーズのための公式サイトまで作ってあって、出版社としてはけっこう力入れてるよう。この本を宗教SFだという人もいるけれど、これは断じてSFじゃない(瀬名さんごめんなさい、禁を破って使ってしまいました)。
 まずはイスラエルのノーベル賞化学者が、砂漠を肥沃な耕地にする肥料の開発に成功。イスラエルは空前の繁栄を謳歌するが、化学者は肥料の製法は誰にも明かそうとしない。一方、経済的に破綻したロシアは肥料を求めてイスラエルに侵攻するが、イスラエルの領空に入ったとたん、ロシアの戦闘機はすべて壊滅、イスラエル国内ではただひとりの犠牲者すら出なかった。なぜか。神が守ってくれたから。
 続いてその数ヶ月後、突如世界中で何百万人もの人間が、衣服だけを残し、一瞬のうちに消滅してしまう。通信網と交通は麻痺し、世界中が大パニックに。聖書に描かれている「携挙」が起こり、よきクリスチャンは天に召されてしまったのだ。続いてエルサレムの嘆きの壁にはイエスについて説く「2人の証人」が現れ、それを排除しようとした兵士は即死してしまう。
 一方、彗星のようにあらわれた若きルーマニア大統領がいきなり国連事務総長に就任。軍備縮小と、貨幣と言語の統一を説いて圧倒的な支持を集め、なんと国連本部をバビロンに移す。さて取り残された人々の運命はいかに……。
 まあ、宗教色が強いとはいえ、書きようによっては面白くならなくもない話なのだけれど、これがとてもつまらない。まあ、アメリカ産のパニックものにありがちな話ではあるのだけれど、世界規模の大事件が起きているというのに、ほとんどアメリカ(と、イスラエル)のことしか書いてないのだ。国際政治とか経済とか、科学者の見解とか、そういうことも少しは触れてほしいんだけど、書かれているのは主人公たちがキリスト教に帰依する過程ばかり。今起きていることは聖書に書いてあるとおりだ、キリスト教を信じなければ魂が救われない、というのだけれど、そんなことは作者が聖書通りに書いてるのだから当たり前である。
 で、彼らが戦う反キリストというのが、グローバリズムと軍縮を説く国連事務総長。そのパーソナル・アシスタントになるのが中絶を肯定する女。なんというか、実にわかりやすい話なのだけれど、これが「全米650万冊超驚異のベストセラー」で、アメリカでは全12巻のシリーズになっているのだから驚いたもの(日本では4巻まで刊行)。このへんでも書かれているように、なんでもこの小説、アメリカでは一種の予言として読まれているのだとか。
 ツッコミ所はいくらでもある話なのだけれど、最大の疑問点は、「で、非キリスト教徒はどうなったの?」ということ。この小説、奇妙なことに非キリスト教国は一切登場しないのだ。よきクリスチャンがいきなり消えてしまったら、キリスト教徒が大半を占めるような国ではそりゃ大パニックになるだろうけれど、日本を含むアジアとかイスラム諸国では、別にほとんど日常生活に影響はなく、パニックなんて起きないと思うのだけれど。それに、イラク領のバビロンに国連本部を移すのに誰も何も言わないってのもへんだ(イラクとか中東とかいう単語はひとことも登場しない)。
 どうも、この作者の世界にはキリスト教国とイスラエルしか存在しないようで、仏教とかイスラム教の国々のことはまったく考えられていないようなのだ。しかも、人間消失の原因について論理的に考えるということも全然しない。反グローバリズムで非論理的。そういう本が全米ベストセラーになってしまうのがなんともはや。まあ、日本のベストセラー本だって、決して良質とはいえませんが。
 しかしこの本、続編が3冊(邦訳で)も出てるんだよな。やっぱり続きも読むべきかなあ。

2004年5月20日(木)

バージョンアップ

 なんとなく気が向いたのでndiaryを0.9.4にバージョンアップ。ついでにrubyも1.8.1にして、書籍情報をアマゾンから自動で取り込んでくれるフィルタを入れてみました。
 これで書影もばっちり、と思ったら『レフトビハインド』には書影がなかったのか……。

「日本の幻獣」−未確認生物出現録

 読書日記@川崎追分町経由で。これはおもしろそう。この美術館、3年前にも「呪いと占い」展などという濃い企画展を開いているのだけれど、妖怪研究家の湯本豪一が学芸員を務めているのですね。道理で。7月18日には京極夏彦と小松和彦の対談もあるそうだ。

千石にてインド&タイカレーを食す

 久々のエスニック料理日記。
 カレーの穴場として知る人ぞ知る存在で、以前からいちど行ってみたかったABK食堂でカレーを食べてきました。ABK食堂は、千石にあるアジア文化会館の地下にある食堂。アジア文化会館というのはアジア各国からの留学生を受け入れている施設で、その学生食堂を一般にも開放しているのである。まずは食券を買って、厨房の前に並んでトレイを受け取り、食べ終わったら食器は自分で下げる。まさに学生食堂。しかし、学生食堂だといってあなどってはいけない。ここのカレーは、アジア各国からの留学生に揉まれてきただけあって実に本格的なのだ。実際、留学生からのアドバイスでレシピが少しずつ変化し、どんどん本場の味に近づいてきたのだとか。柔らかい骨つきチキンが入った酸味の効いたインドカレーも、ココナッツ風味のタイカレーも実に辛くてうまい。私は両方のカレーが食べられるミックスセットを食べたのだけれども、野菜炒めに味噌汁までついて、これが550円は安いです。
 ただし、難点は営業時間がおそろしく限られていて、平日の昼12時から1時半までしか営業していないこと。まあ、学生食堂だから仕方がない。もし、昼間に巣鴨、千石方面に行くことがあったらぜひ。お薦めです。

ブラックジャックによろしく 精神科編 もう何回目だか忘れた

 すっかり忘れてたモーニングの「ブラよろ」へのツッコミ。マンガに出てくる統合失調症患者がどうもあんまりそれらしくないので(統合失調症にしては、妙に柔らかくて人間くさいのだ。実際の患者さんは、もっと硬さがあることが多い)、このところ特にコメントもしなかったのだけれど、今回の発症エピソードはわりあいリアリティがあって評価できる(教科書的ではあるが)。次回はどうやらこの患者さんの母親が登場するらしいけれど、いったいどのように描くのかが興味深いところ。
 統合失調症患者の家族には、患者に対して細かく指示したり批判的だったり攻撃的だったりするパターン(これをhighEE(高い感情表出)という)があって、そういう家族がいると再発しやすい(発症そのものには関係しない)ことが知られているのだけれど、そういうふうに描くと読者には「統合失調症=親の責任」と受け取られかねない。また、親族に統合失調症の患者がいる場合も多いけれど、それを描くと「統合失調症=遺伝」という誤ったイメージを読者に与えてしまう。こんなふうに、患者の家族を描くということは、きわめてデリケートな問題をはらんでいるわけで、作者がどう描くかが楽しみである(そういった問題には触れず、病者を持った家族の苦悩や周囲から受ける差別に焦点を当てるのがいちばん無難な描き方だろうと思うが)。
 しかし、最初はただのちょい役かと思っていた、おちゃらけた統合失調症患者がメインになるとはびっくりです。新聞記者はいったいどこ行ったんだ? そしてシリーズ冒頭の新聞拡張員とのやりとりはいったい何だったのか?


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Written by Haruki Kazano