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更新日: 2004/10/14


2004年 9月下旬

2004年9月25日(土)

とりあえず

 生きてます。『ヴィレッジ』とか『アイ・ロボット』とか観ました。感想はいずれ。

暗い嵐の夜だった

 マイケル・バーカン『現代アメリカの陰謀論 黙示録・秘密結社・ユダヤ人・異星人』(三交社)という本をぽつぽつと読んでいるのだけれど、いちばん驚いたのが、次の箇所。

ブルワー・リットン(1803-73)は、英国文学史上、最悪の冒頭文といわれる、「暗くあれた夜だった」でつとに有名である。

 スヌーピーのマンガを読んだことのある人はぴんと来るだろうが、スヌーピーが小説を書くときの書き出しが、いつも必ず"It was a dark and stormy night."という文。スヌーピーは小説の原稿をせっせと出版社に送ってはボツになっているのである。あれには元ネタがあったのか!

 調べてみると、"It was a dark and stormy night."は、1830年に書かれた『ポール・クリフォード』という小説の書き出しであるようだ。
 ブルワー・リットンといえば『ザノーニ』や『不思議な物語』(国書刊行会)などオカルティズムの色濃いゴシック小説で有名な作家。怪奇小説愛好家には創元の怪奇小説傑作集に収められた「幽霊屋敷」という短篇で知られているだろう。『ポンペイ最後の日』という純文学作品もあるし、「ペンは剣よりも強し」という名言を生み出したのもブルワー・リットン。
 正直言って、駄作作家というイメージはなかったのだけれども、アメリカでは最悪の冒頭文を競うブルワー・リットン小説コンテストなるものもあり、すでに22年の歴史を誇っているらしい。
 試しに、今年の優勝作を訳してみる。

 彼女は、今夜でラモンとの情事を終わらせようと決めた……即座に、マーサ・スチュアートが小エビの尾から砂静脈をはぎ取るように……彼女には「情事」という単語が馬鹿げた婉曲表現のように思えた……「砂静脈」と同じように――それはつまり腸であって静脈ではないし……本当は砂ではなくタール状の物質が中に入っている――そしてそのことが、ラモンのもとへと彼女を戻したのだった。

 なーんじゃこりゃ。訳が間違ってる可能性は大いにあるけれど、それでなくてもわけがわかりません。

Pornogami

 Weekly Teinou 蜂 Womanでも紹介されたMaster Sugoi師匠の"Pornogami"。amazonでも注文できたので、買ってみました<バカ。
 載っている折り方は、「ロープ」「卵子」「精子」「口」「コンドーム」「胸」「手錠」「女性器」「ドル札で折る女性器」「ドル札で折るペニス」「ペニスのはみ出たパンツ」「3D-ペニス」の計13作。
 はっきりいって質が低いですよ! エロ度も低すぎ。本の表紙に載っているのが、左上から「胸」「口」「精子」「手錠」なのだけれど、胸は言われなきゃわからないし、口や手錠なんてどこがエロなのか。鋏を入れる手順が多いのも、折り紙としては邪道です。

2004年9月27日(月)

[読書]殊能将之『キマイラの新しい城』(講談社ノベルス)
キマイラの新しい城 キマイラの新しい城』 新書
講談社(講談社ノベルス)
著者:殊能 将之(著)
発売日:2004/08, 価格:\882, サイズ:18 cm

--出版社/著者からの内容紹介--
事件発生は750年前!古城の密室に石動戯作が奇抜な演出で挑戦する!
この話を書けるのは殊能将之の他にいない!
「私を殺した犯人は誰なんだ?」欧州の古城を移築して作られたテーマパークの社長が、古城の領主の霊に取り憑かれた!? 750年前の事件の現場状況も容疑者も全て社長の頭の中にしかない。依頼を受けた石動戯作(いするぎぎさく)も中世の人間のふりをして謎に迫る。さらに、現実にも殺人が! 石動はふたつの事件を解明できるか!?




 楽しい楽しい。本格ミステリとして読んでしまうと、しょぼい謎解きにがっかりすることだろうけれど、この作品の眼目はそっちじゃなく、あくまで21世紀東京を訪れた中世騎士を主人公にしたカルチャーギャップ・コメディ+痛快冒険大活劇ですね。殊能版「おかしなおかしな訪問者」といったところか。
 私はエルリック・サーガのいい読者ではないので、そっち方面のネタはあまり気づかなかったのだけれど(すぐにぴんときたのは、江里陸夫=エルリック、鷹月道利=ドリアン・ホークムーンくらいのもの)、詳しい人が読めばにやりとするネーミングがいろいろとあるのでしょう。
 それから、殊能将之という作家は、ネーミングには凝る代わりに脇役のキャラクターには無関心のようで、西森ルミと小オーミの関係とか、大オーミの騎士道趣味とか、脇役がらみの伏線が何のフォローもなく使い捨てられているところがいかにも殊能将之らしいといえばいえるかも。

 あと、【筆客商売 〈新〉目安箱】というサイトで、プロの作家が、この作品について

しかし新造語はたまに違和感を覚えます。例えば『キマイラの新しい城』(殊能将之)の中の「外つ国」は、日本語として通用していないので、違和感ありです。

 と評しているのには困惑させられました。「外つ国」が日本語として通用していない新造語? まさか。

2004年9月28日(火)

[映画]アイ,ロボット

 なんだか最近、観た映画や読んだ本の感想を書くモチベーションが低下しております。だいたい読む本といったらSFマガジンと週刊読書人向けばっかりだし。ほとんど読書が作業化してしまっております。このところでほんとに純粋に楽しみのために読んだのは、きのうの『キマイラの新しい城』くらいですよ。いかんなあ。
 さて、愚痴はともかくとして、映画の感想はまあ、思ったほど悪くなかった、といったところでしょうか。スーザン・キャルヴィンとかUSロボティクスとかいう固有名詞以外はアシモフとはまったくもって無関係なんですが、そもそもアシモフ原作じゃないし。
 ロボットの反乱というテーマもその理由にしてもいくらなんでも古くさいと思うし、よく考えればおかしなところもいろいろあるのだけれども、ハリウッド製アクション映画としてはまあまあの良作。ただ、ロボット嫌いな刑事ウィル・スミスのトラウマ克服話になってしまうあたりはげんなり。もうトラウマはやめようや。あと、感情むき出しにして机をへこませるような危険なロボットは即座に廃棄処分にすべきですよ。

[映画]ヴィレッジ

 単純なアイディアストーリーを異様に重々しく撮るのがシャマラン監督の作風だということはわかっていたので、別に腹が立ちはしなかったのだけれど、たぶんこんなオチなんじゃないかな、と思っていたその通りのオチで何のひねりもなかったのにはしょんぼり。
 だいたいこの話にはねじれがあって、最初はホアキン・フェニックスが主人公のように始まるのですね。そう思って観てると途中でホアキンは退場してしまい、フィアンセの女性が主役になってしまう。え、この女が主人公? と思っていると、最後には実は真の主役はほかにいて、その真の主役の深い悲しみこそが物語の通奏低音だということがわかる仕掛けなのだけれども、そこがさらりと流されすぎているので、たとえば『シックス・センス』で、それまでのある人物の行動の意味が最後でがらりと反転するような驚きには結びついてこないのだ。
 まあ、なんだかんだいっても、シャマランの作風、嫌いじゃないので次もまた観ますよ。

理化学研究所が新元素発見 名前は「リケニウム」?

 リケニウムはやめてほしいなあ。「ジャポニウム」という候補もあるのだけれども、これで何を連想するかであなたのSF度がわかるかも。これとかこれとか。

福島・泉崎村立病院 期待の新院長、1ヵ月で退職

 泉崎村内唯一の病院である村立病院に9月1日に就任したばかりの新院長が、1ヶ月もしないうちに退職してしまったというニュースなのだけれど、このニュースについては、新聞社によって驚くほどニュアンスが違うので、いくつかの記事を紹介してみます。
 まずは、村側の立場にたった河北新報の記事から。

 小林日出夫村長は「事情を理解して引き受けてもらったと思っていたので驚いている。入院患者もいるのに、猶予期間もなく辞めたのは理解できない」と話している。
 村は嘱託医の元院長(70)を院長職務代理者にして診察を続けるとともに、新たな院長を探し始めた。「入院患者と、かかりつけの外来患者の診療には当面影響はない」としている。
 村によると、浜崎さんは22日に突然、村に電話で辞意を伝えた。驚いた幹部が事情を聴きに出向いたが、「もう限界。勘弁してくれ」と、明確な理由は述べずに退職願を提出。25日には村を後にした。
 ある幹部は「診療時間の短縮を求めたり、それほど多くない夜間の呼び出しに応じないことがあったりと、当初からトラブルがあった。自分の思うようにならないのと、周囲から孤立したのが原因では」と推測する。
 27日の村議会全員協などでは「あまりにも村民をばかにしている。悪い夢を見ているようだ」と憤る声が聞かれた。

 これだけだと、この院長、非常に自分勝手な医者のように読める。しかし、毎日新聞の記事になると、こうなる。

 この医師は、前院長の辞意表明(2月)を報道で知り、宮城県蔵王町の私立病院の勤務医から院長就任を申し出て、8月下旬から勤務していた。辞表の理由は(1)休日も呼び出される(2)履歴書に「当直は週1回まで」と書いたが週5回をつけられた(3)勤務態勢の改善を求めたがはねられた――としている。常勤医師が院長一人の職場環境を問題視しているようだ。
 一方、村幹部は「すべて納得済みで来てもらったと思っていた」と驚きを隠せない。村は院長のため、病院そばの院長用宿舎を450万円かけて改修し、引っ越しの支度金100万円を用意した。小林村長は「赴任から1カ月もたっていない。新院長をリーダーに出直そうと考えていた矢先だけに残念」と話す。

 当直週5回! 休日も呼び出しあり! となると自由になる時間などほとんどない。しかも外来1日100人である。これでは診療時間短縮を求めたくなってくるのも人情というものだろうが、それもはねられた、となると、今度はこの先生に同情したくなってくる。
 続いて朝日新聞

 だが、院長は22日、小林日出夫村長に辞意を伝え、24日に辞表を提出した。休日に呼び出され、当直も週5回つけられるなど、「肉体的、精神的に限界」という内容だったという。
 しかし、村によると院長は実際に当直勤務をしたことはなかったという。「勤務の大変さは説明したし、すべて分かって来たはず。甘く考えていたのでは」と反論する。

 当直していたのかしていないのか、いったいどっちなんだろうか。
 最後に、福島民友新聞社の記事(キャッシュしか残っていない)。

●泉崎村立病院長が辞任
 医師不足が懸念されていた泉崎村立病院の新院長に就任したばかりの浜崎貴広院長(49)が就任1カ月を待たずに村に辞表を提出していたことが25日分かった。開院以来初めて院長不在となり、医師不足に伴う規模縮小問題が再燃しそうだ。同病院は、前任の院長が8月末で退任の意向を示し、医師不足の事態が懸念された。こうした状況を知った浜崎医師は7月末、村からの就任要請を受諾し、1日に院長に就任した。浜崎医師は、就任前に週1回と聞いた当直が、病院敷地内の官舎での待機も合わせて週5日以上あり、経営改善の声も受け入れられなかった、などとして24日、辞表を提出、村は受理した。今後は、前任の大泉記念病院(宮城県蔵王町)に復帰するという。

 当直自体は週1回だったかもしれないが、事実上は官舎での待機が義務づけられていて拘束されていたということなのかもしれない。
 情報が錯綜していて真相は藪の中なのだけれども、これらの記事を見る限り、私には、院長1人にすべて押しつけようとした村の側に問題があるように思える。せめて常勤医師があと1人でもいればだいぶ負担は違っただろうと思うのだが。


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Written by Haruki Kazano