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そろそろ「SFが読みたい!」のアンケートに向けて未読を消化しとかないとなあ、と思いつつ今年と昨年の「SFが読みたい!」を比べていたら、実はこっそり集計方法が変わっていたことに気づいた。去年までは「1位5点、2位4点、3位3点、4位2点、5位1点」だったのが、今年は「1位10点……5位6点」になっていたのだ。
ということは、ある作品Aを1位にした投票者がひとりいたとして、別の作品Bを5位にした投票者が2人いた場合、去年まではA作品5点、B作品2点となるが、今年からはA作品10点、B作品12点となり、順位が入れ替わることになる。
つまり、少数の投票者が熱狂的に支持した作品より、多くの投票者からまんべんなく支持を集めた作品が上位にくるようにしたということなのだろう。
この改正の方向性自体は正しいと思うのだけれど、今年の投票結果も、去年までの方式で集計しなおしたらまた違った順位になるかも……いや、やってみる気にはなりませんが。
『インチキ科学の解読法 ついつい信じてしまうトンデモ学説』
単行本 光文社 著者:マーティン・ガードナー(著) 発売日:2004/08/24, 価格:\1,785, サイズ:19 x 13 cm |
まだ生きてたのか、マーティン・ガードナー!
というのが最初の驚き。カバー折り返しのプロフィールによれば、ガードナーは1914年生まれ。今年で満90歳。本書は2000年刊、86歳のときの本である。『奇妙な論理』が1952年だから、実に50年以上も似非科学批判をしつづけてきたわけだ。
内容はというと、真空エネルギー、フロイト、創造論、カスタネダから、リフレクソロジー、飲尿療法、「立春に卵が立つ」という迷信まで、怪しげな似非科学を取り上げた、肩が凝らずに読める軽いエッセイ集なのだけれども、さすがに寄る年波には勝てなかったのか、明確な根拠もなく批判しているように見える章も多いし、単なる関連する文献引用の羅列に終わっている章もあったりして、今ひとつ切れ味の鋭さが感じられないのが残念。
愉快なのはSFの引用、しかもアメージング・ストーリーズやサイエンス・アンド・インヴェンションなど、ヒューゴー・ガーンズバックが創刊したパルプ雑誌からの引用が妙に多いところ。エピローグなんて、ガモフ、ファインマン、ダイスンと錚々たる科学者の文章を引用しておいてから、最後にガーンズバックの言葉で〆である。これはもうよっぽどガーンズバックに思い入れがあるとしか思えないのだけれど、考えてみれば、ガードナーは1914年生まれだから、もろに小さい頃にガーンズバックを読んで育った世代なのですね。
なるほどガーンズバックの子供がここにもいたのか。
そうそう、この本は訳がひどい。本書では多数の本が引用、紹介されているのだけれど、ほとんどが原題の直訳で、邦訳に当たっていないのだ。「科学の不思議物語」誌(サイエンス・ワンダー・ストーリーズ)はまだ許す。しかs、「ウォルター・ミラーの『レーボビッツのためのカンティクム』」はちょっと調べればわかるだろうと思うし、ガードナー自身の代表作『奇妙な論理』まで、『科学の名において』、『科学の名をかたる流行現象と迷信』などと、2ヶ所で違うタイトルで訳しているのはいただけない。人名も、いくらなんでもダン・レイザー(普通ダン・ラザー)やステファン・ホーキングはないだろう。監訳者も名前貸すだけじゃなくて少しは仕事してください。