▼テア・ドルン『殺戮の女神』(扶桑社)読了。珍しいドイツ製サイコサスペンス、しかもドイツ・ミステリー大賞受賞! ということで期待したのだけれど、残念ながら今ひとつ。
教養のある男性を殺害しては首を切る知性豊かな女性連続殺人犯の犯行と、「女性の快楽殺人者は存在しうるか」というテーマで事件を追うバイセクシャルな女性新聞記者のむちゃくちゃな取材ぶりが交互に描かれるのだけれど、犯人の狂いっぷりにはそれほど迫力がないし、古典詩や音楽といった題材の描き方も表面的で重々しさが足りない。しかも、後半はうまくまとめられなかったのか明らかに破綻をきたしている上に、真相もなんともありきたり。重要人物が後半1/3になってようやく出てくるというのはどうかと思うし、登場人物たちそれぞれの決着くらいきちんとつけてほしいものである。やっぱりサイコものは本場アメリカに一日の長がありますね。
ちなみに、この小説の中でヒロインは「女は快楽のために殺人をしたりしないわ……それとも、あなたは、男の頭が生み出したサロメや、基本的本能とやら以外に、男に欲情を燃やしたために、現実にその男を殺した女を、思いついたのかしら?」と問いかけ、相手の男は言葉に詰まるのだが、日本人なら即座に「阿部定」と答えるだろうなあ。
▼今ごろになって「先行者」を検索。なんとか
ここにある有名な写真以外の画像を探そうと思っていたのだけれど、これがなかなか見つからない。
netbig.comの写真はやや大きくて鮮明だけど、単に左右が逆なだけだし、
捜狐新聞もサイズは大きいが同じ写真である。
解放軍報も下の軍服の青年たちがいい味出しているけど、先行者の写真自体は同じ。
科技日報2001年1月3日によれば、「先行者」は「2000年中国十大科学技術ニュース」の第10位らしい(!)とわかるが、残念ながらここには写真はない。
あちこち探し回ったあげく、ようやく見つけました、新たな先行者画像。まずはなんとなく寂しげな
これ。ここは日本語ページなので知っている人も多いかも。続いて
これ。なんと、今までにない側面からの連続写真で歩いている様子がわかる!……ううむ、本当に歩いているのか、これは。ますますわからなくなったような気もする。
▼野尻抱介
『ふわふわの泉』(ファミ通文庫)購入。
▼今日は措置鑑定の日。過去の鑑定については
99年7月29日とか
00年12月21日とかを参照。
今日の相方は70代のおばあちゃん精神科医。しばらくは鑑定がなさそうなので、いつものようにゆっくりと本を読もうと思っていた(何しに来たんだ)のだけれど、このおばあちゃん、しゃべるしゃべる。訊いてもいないのに自分のことを延々としゃべり、やっと黙り込んだと思って本に目を落とすと「あなたどこの出身?」などとまた訊いてくる。「はあ」とか「そうですか」とか生返事ばかりしていても、だんだん全然返事しなくなっても、かまわずしゃべる。どうも沈黙が嫌いらしい。ああ、こういう人は苦手だよ。
結局今回もまったく通報がなく3時半で解散となったのだけれど、10時から2時ごろまでおばあちゃんはほとんどしゃべりっぱなし(2時過ぎからはおばあちゃんは寝てました)。当然ながら読書は全然進まず。なんだか疲れました。
▼
ヤコブ病発言:
教科書問題報道で中川昭一衆院議員 患者ら反発。この場合、例えそのものは間違ってはいないが、患者の気持ちを考えてないのが問題。「脳がスポンジ状になる」という知識しかなかったんでしょうか。
アスペルガーの例と似たり寄ったりですね。
そういえばこういうこともありました。
鳩山元文相 「民主党は精神分裂症的」と発言。これは例え自体不適当。思想の分裂と精神分裂病は全然関係ありません。このときは分裂病患者は抗議したんでしょうか。
▼「コーヒーの伝道師
バリスタと呼んでください」
「コーヒーの伝道師
バリスタと呼んでください」
いろんなバリスタがあるものである。
正解はこれ。
「コーヒーの伝道師
バリスタと呼んでください」
▼
Hatten。夢に出てきそうな強烈な映像である。
▼妻によれば、最近の私の日記はつまらない、という。
なんだか最近の「妻」のキャラクターは性格が悪そうに描かれている、というのだ。結婚式前の「同居人」時代のキャラクターの方がかわいくて親しみが持てた。これは愛が冷めたからではないか、というのである。
そうだろうか。
最近の「妻」に関する記述をみてみよう。
- 2001年1月11日
- オリジナルに比べて、キャストが微妙にレベルダウンしているのがなんというか。と言ったら妻にはたかれたが、松本幸四郎と東山紀之を比べたら、誰だって、ねえ。
- 2001年4月4日
- 妻に「あなたのページにはなぜプロフィールがないのか」と詰問されたので、適当に作ってみました>これ。
- 2001年4月11日
- 妻が「何これ」と叫んだ……妻は、即座に店に電話をかけて猛抗議。
なるほど、確かにこれでは詰問したり抗議したり殴打したりばかりしているように見える。妻は「まるで気の強いクラス委員のようで、かわいくない」という。
何をいうか、君には気の強いクラス委員のよさがわからんのか! と心の底から叫んでみたのだが、どうやら妻にはわからないらしく、不満そうにむくれている(←こういうことを書くからいかんのか)。
ちなみに、初期の「同居人」はこんなキャラクターだった。
- 1998年1月11日
- 同行した同居人は半分くらい寝ていた上に「何でこんなの観にきたの」と言い放ったが、東京ドームにエイトマンを観に行った女に言われたくはないわ。
- 1998年1月15日
- 東京の同居人に電話して新潟へ行ったことを話すと「また古本屋?」との返答。読まれている。その同居人が今日どうしていたかというと……雪のふりしきる中、ジャニーズのチケットを求めて日比谷公園に並ぶ4万人のうちのひとりと化していたのであった(笑)。
- 1998年1月17日
- 同居人によれば、2年くらい前に西崎さんの会社の秘書の求人広告があって、ヤマトファンの彼女は今の会社をやめて西崎さんの秘書になろうか、と考えていたらしい。
会社やめなくてよかったのう、同居人よ。
- 1998年3月4日
- 最近、同居人にこのことを話したところ、彼女は驚くべき事実を私に告げた。彼女も実は特殊能力の持ち主だったのである。彼女の能力とは、左足の小指だけを動かすこと。
- 1998年3月16日
- 同居人が「最も深く望んでいる」のは、「宇宙を支配する」ことだということか。おそるべし、同居人。
初期の「同居人」は日記のオチに使われることが多かったようだ。漫才で言えばボケである。それに対し現在の「妻」はツッコミ。着実な成長を遂げていると思うんだがなあ。そんなにボケ役がいいんですか。
▼ジョン・カッツ
『ギークス ビル・ゲイツの子供たち』(飛鳥新社)購入。
▼
私家版・精神医学用語辞典に
異食の項を追加。
措置入院の項に加筆。
▼ジョディ・シールズ『イチジクを喰った女』(ハヤカワ・ミステリ文庫)読了。不思議な読後感のミステリである。1910年のウィーンを舞台に少女ドラが殺された事件を追う警部とその妻を描いた作品なのだけれど、捜査は遅々として進まず、ウィーンの風景も妙に現実感を欠いていて、なんというか海の中の光景を見ているようなもどかしさがあります。
事件の元ネタはフロイトの「あるヒステリー患者の分析の断片」(通称「症例ドラ」。人文書院版のフロイト著作集第5巻に収録されてます)なのだけれど、症例から借りているのはドラとその家族の人物関係くらいのもので、元の論文では大きく取り上げられているヒステリー症状はあまり重視されていないし、無意識や夢の解釈といった精神分析的なアイディアはまったく出てこない。当然のことながら、小説は、フロイトの論文とはまったく別の作品である。「フロイトが書いたミステリ、と言っても疑う者はいまい」と風間賢二が帯に書いているけど、むしろフロイトならこんな曖昧模糊とした話にはせず、ホームズ的にずばずばと謎を解く小説を書くんじゃないかな。
主人公はドラ事件を捜査する警部(名前なし)とその妻エルスゼーベ。この奥さんがかなり謎めいたキャラクターで、占いやまじないを強く信じていて、なぜか夫には内緒で自分も事件の捜査を始めてしまう。しかも、容疑者の家に忍び込んだり病院からカルテを盗み出したりとかなり強引(というより犯罪だよそれは)なことまでやるのですね。
また、なかなかいい味を出しているのが、エルスゼーベを慕っているイギリス娘ウォリー。奥さんの命令で捜査の手伝いをするのだけれど、そのたびに怖い男に追っかけられたり、病院で服を脱がされて電気をかけられたり、ベールに火が燃え移って大火傷をしかけたりと、ひどい目にあってばかり。奥さんのあまりの仕打ちに腹を立てながらも、会えば「なぜ一週間も会ってくれなかったんですか」と恨み言を言うウォリー。どういう関係なんだいったい。
しかし、なぜ奥さんがそこまでしてドラの事件にこだわるのか、これが最後までよくわからないのですね。読み進むうちにドラの事件はむしろ後景に退いて、妻という巨大な解けない謎が立ち上がってくる。なんとも奇妙な物語である。事件の謎解きとか精神分析とか、そういうものを求めると失望するはず。一種の幻想小説として読めばいいのかな。
▼昨日はシネマ・メディアージュで
『チキンラン』。要は養鶏場版大脱走。お子様からお年寄りまで安心して観られるほのぼのクレイアニメかと思いきや、いきなり首を刎ねられるニワトリ。さすがアードマンスタジオ、ドリームワークスと手を組んでCGは使っても魂までは売ってません。
パイ製造機の場面やクライマックスのアレ(驚きました)など、機械へのこだわりも『ウォレスとグルミット』以来変わらず。ストーリーも単純だけど、随所にくすぐりがあってシチュエーション・コメディとして完璧に近い。ああ面白かった(★★★★)。
▼
「デオキシリボ助さん」で検索してきた方がいたり、
「ユンケル口蹄疫」で検索してきた方がいたり。駄洒落サイトか、うちは。
ちなみに、私が「ユンケル口蹄疫」という地口を考えたのは、口蹄疫が有名になるはるか以前の
去年の3月です。いや、別に自慢するつもりではないのだが。
▼NHKの「アジア人間街道」という番組で、韓国の女性プロゲーマーが紹介されてました。
登場したのは、企業チームに所属し、軍服っぽいコスプレをして転戦を続ける21歳の女性プロゲーマー。なんでも、韓国には50人ほどのプロゲーマーがいて、政府から認定証を受け、税制上も優遇されているとか。韓国には、企業やテレビ局が主催する賞金をかけたゲーム大会が多いので、賞金かせぎで食っていけるのである。彼女は、9ヶ月で350万円をかせぎ、雑誌の表紙も飾ったとか。おお、韓国じゃ『アヴァロン』の世界が現実なのか。
ただ、今年に入ってから、不況で企業チームの解散があいつぎ、ゲーム大会もいつ開かれるかわからなくなってしまい、プロゲーマーも数が減りつつあるとか。
プロゲーマーという職業は豊かな社会じゃないと成り立たないんじゃないかなあ。『アヴァロン』の設定にはやっぱり無理があるよ。
▼よく晴れた日曜なので、昼からお台場へ出かけてみる。
昼食のお目当ては、世界最強麻婆豆腐。デックス東京ビーチの「台場小香港」の中にある「陳麻婆豆腐」という店である。なぜ世界最強かといえば、この店こそ麻婆豆腐の元祖。四川省は成都にある元祖麻婆豆腐店の日本上陸第一号店なのである。
ここのメニューは店名通り麻婆豆腐ただひとつ。それに豆乳と杏仁豆腐がついたセットがあるだけ。店の作りも中国の本場そのままで、壁はタイル張りで席はカウンターだけ、という、お台場にしては一見小汚い雰囲気。もちろんわざと汚く見せているわけだけど、それを単に汚いのだと勘違いして敬遠してしまう客も多いようだ。正直言って、店の見た目はあんまりよくないのだけれど、ここでは、日本の麻婆豆腐とはまったく違う、豆板醤と山椒がたっぷり入った本場そのままの麻婆豆腐が食べられるのである。
さすが本場だけあって、麻婆豆腐は激辛。一口食べただけで汗が噴き出す辛さである。しかし、確かに激辛なのだけれどその味には深みがあって、豆乳を一口飲めばすっと口の中の辛さが引いてしまう。後を引かない不思議な辛さである。デザートの杏仁豆腐もフルーツなしのプリンのような本式のもので、とろけるように柔らかくて美味。
辛いもの好きなら一度は食べてみる価値あり(妻は、あまりの辛さに途中でダウンしてましたが)。
▼そのあとはシネマ・メディアージュで『チキン・ラン』を観たのだけれど、それは明日に。
▼歴史学、その中でも特に物証が少ない古代史にはトンデモ学説が多いように、人の心を扱う精神医学も、定量的検証が困難だけにトンデモの入り込む余地が大きいようだ。たとえばライヒのオルゴン・エネルギーとかね(まあ精神分析自体トンデモといえなくもないが)。
中でも、以前からこれはどうもおかしいんじゃないか、と思っていたのが
「ソンディ・テスト」という代物。8枚の顔写真(
こういうの)の中から好きな写真2枚と嫌いな写真2枚を選ぶ。残った4枚の中から、また嫌いなもの2枚を選ぶ。それを6組計48枚のカードで繰り返すことによって、性格傾向を判定するという心理テストである(ソンディの原法では24時間以上間をおいて、これを10回繰り返す)。ロールシャッハ・テストとともに、心理テストについて書かれた本には、「投影法」の代表として必ず出てくるテストである(ネットにはなんでもあるもので、ソンディ・テストは
このページで実際にやってみることができる。もちろんコンピュータによる自動診断には無理があるし、ちょっと写真が小さいのが難点だけど)。
この顔写真、実は8種類の精神疾患の患者の写真なのですね。8種類の精神疾患というのは、緊張型精神分裂病、妄想型精神分裂病、うつ病、躁病、てんかん、ヒステリー、同性愛、サド・マゾヒズムなのだそうなのだが、私にはどれも「変な顔」にしか見えない。ソンディによれば、この写真の好き嫌いでそのファクターへの傾向がわかる、というのだが、本当かなあ。それ以前に、「同性愛」を「精神疾患」などと言ったら、今じゃ即座に抗議がくるだろう。
だいたい、精神疾患は顔に出るものなのだろうか。顔を見ただけで病気を診断できれば苦労はないのだけれど、私には、どの写真がどの病気なのかさっぱりわからない。それに、患者Aの顔が好きだからといって、その患者Aの疾患の傾向があるということにはならないと思うのだが。また、60年以上も前の外人の写真を使ったテストが、日本人にも有効なのだろうか。このテストが有効だと確かめるためには、そういった項目についてきちんと検証する必要があると思うのだが、あんまりそういう実証的な研究は行われていないようである。
このテストを考案したのはレオポルド・ソンディ(1893-1986)というハンガリー生まれの精神科医である。ソンディの理論はきわめて膨大で難解なので、全貌を知る人はほとんどいないとか。まあ、てっとりばやく言えば、ソンディは自らの理論を
「運命分析」と呼び、ユングの「集合的無意識」に対抗して
「家族的無意識」なるものを提唱したのですね。これは、例えばある家庭、家族の中では無意識のうちに同じような選択をしてしまう、ということ。まあ、これは納得がいきますね。たとえば、アル中の父親を持つ娘が父親と同じように暴力的な男と結婚してしまうとか。知らず知らずのうちに父と同じ職業を選んでいたとか。
また、運命分析には独特の治療法があって、「精神衝撃療法」では、患者を寝椅子に座らせるところまでは普通の精神分析と同じなのだけど、自由連想で患者が反復して述べた言葉を刺激語として連呼、患者にショックを与えて病的祖先と同じような状態に陥らせるのだという。例えば、「サーベル、サーベル、サーベル……」、「殺人、殺人、殺人……」などと患者に強くハンマーで打つように言ってきかせるわけだ。これで、患者がけいれん発作を起こしてしまったとすると、祖先にあった「てんかん」を患者が体験できたことになり、家族的無意識の中にあるてんかん素質を認識できたが、現実の生活ではてんかんにならないですむのだそうだ。これを名づけて「ハンマー打ち連想法」! なんだかすごくイヤな治療法である。
当然ながらソンディの理論は今ではほとんど忘れされれているし、ソンディ・テストもあまり使われていないのだけど、なぜか一部の矯正施設関係ではいまだに使われているらしいんだよなあ。なんでだろ。
▼ブライアン・W・オールディス『スーパートイズ』(竹書房)読了。なんと、オールディスの短編集である。日本でオールディスの本が出るのは『一兆年の宴』以来9年ぶり、小説作品なら『突然の目覚め』以来15年ぶり、短編集が出るのはなんと『爆発星雲の伝説』以来28年ぶり!
もちろん、これは表題作「スーパートイズ」がスピルバーグ監督で『A.I.』として映画化されたからなのだけど、しかしまさかいきなりオールディスの新作短編集が出るとは思いませんでしたよ(表題作「スーパートイズ」は1969年の短編だが、30年後に続編2編が書き足されて連作になっている。それ以外の収録作はごく最近の作品)。いやあありがたい話である。
さて表題作の「スーパートイズ」だけは、実にわかりやすくて映画向きな作品(キューブリック映画というよりスピルバーグ映画向きのように思える)で、はっきり言ってあんまりオールディスらしくない話なのだけど、それ以外の作品はエンタテインメント性より思弁性重視のオールディス節炸裂。
たとえば「遠地点、ふたたび」は『地球の長い午後』を思わせる魅惑的な異世界の物語。「数学上の問題」や「草原の馬」は、内宇宙と外宇宙が交錯するまさにオールディスの真骨頂ともいえる作品。私はこの短編集では「草原の馬」が最も傑作だと思う。「古い神話」はフロイトの「父殺し」説のパロディですね。「牛肉」や「認識能力と電球」など小説というより断章と言った方がいいほど短い作品もいくつか。ううむ、オールディスは今もまだニューウェーブなんだなあ。でも、なんだか、昔読んだ30年以上前の短編とそれほど作風は変わっていないような気も。ああ、『A.I.』の原作目当てでこの本を手に取った読者が本を投げ出すさまが目に見えるようだ……。
しかし、『地球の長い午後』の文字がどこにもないオールディスの紹介文は初めて見たよ。
▼小野不由美
『黄昏の岸 暁の天』(講談社文庫)、ランドルフ・M・ネシー&ジョージ・C・ウィリアムズ
『病気はなぜ、あるのか』(新曜社)購入。
▼掲示板でも話題になってるけど、確かにこのタイトルはまずいよなあ。
『アスペルガー 死の団欒』。邦題をつけた人、あまりにも頭悪すぎます。
ビデオはあわれ廃棄処分にされてしまうそうだけれど、この場合、単に配給のソニーがバカだったというだけの話であって、元作品に罪はないので、別タイトルで再発してほしいものである。映画はスティーヴン・ボールドウィン主演で、
ここのユーザーコメントには"Tricky movie"で"Worth a look"と書いてある。意外におもしろいのかも。
ついでにいえば、アダルトアニメ『閉鎖病棟』とか「戦慄の閉鎖病棟」という富士急ハイランドのお化け屋敷もやめてほしいなあ。そんな怖いところだと思わないでほしいのだけど。
▼しかし、6月8日発売予定のビデオ
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地発狂』ってのはいったい何ごとなんだろうか。発狂って何だ発狂って。ワンチャイシリーズのタイトルもいよいよネタがつきましたか。次あたりは『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地真理』でどうか。
▼4月28日から川崎市民ミュージアムで
「呪いと占い展」。なんとまあ、マニアックな展覧会を。5月12日には加門七海のトークショーがあるとか。
▼
私家版・精神医学用語辞典に
精神分析 その2と
精神分析と推理小説を追加。日記に書いた文章をちょっと書き直しました。
▼日下三蔵編
『久生十蘭集』(ちくま文庫)購入。
▼妻も私も疲れていたので、宅配専門のレストランに電話をする。
私はカジキマグロのソテー、妻はタンシチューを頼んだのだけれど、届いた料理のホイルを開けた途端、妻が「何これ」と叫んだ。シチューの中に入っていたのは牛の舌とおぼしき肉塊が二つ。タンシチューなんだから舌が入っているのは当然なのだが、肉塊は明らかに舌の形をしていて、表面のぶつぶつまではっきりとわかる。牛の舌は大きいのでその先っぽの部分だと思うのだが、これがちょうど人間の舌とほぼ同じくらいの大きさなのだった。シチューの中に舌二つ。うーむ、グロテスク。普通、タンシチューのタンってのは、輪切りにしてあって表面の皮も剥いてあるものでは?
妻は、即座に店に電話をかけて猛抗議。別のメニューに取り替えてもらったが(店の人もシチューを一目見て「これはおかしいですね」と言っていた)、すっかり食欲をなくした様子。もう二度とこの店には頼まないぞ。
妻のショックは相当なもので、どれくらい驚いたかというと、『セブン』のラストで小包を開けたブラッド・ピットくらい驚いたという。そんなに驚いたのか。
▼宮家準『修験道』(講談社学術文庫)、リチャード・ハワード『囚人部隊誕生』(ハヤカワ文庫NV)購入。リチャード・ハワードって誰? と思ったら、あの『スラッグス』『シャドウズ』のショーン・ハトスンの別名なんですねえ。