2005-04-01 [Fri]
▼ 「幼稚園」改め「認知園」 「蔑視的」指摘で文科省変更へ
「幼稚園」にかわる呼称を議論している文部科学省の検討会(座長・高久史麿自治医科大学長)は1日、代替語を「認知園」とする方向でほぼ一致した。4月24日の次回会合で正式に決める。文科省は決定後、学校教育法など関係法令を改正する一方、来春までに行政文書などでも「認知園」への切り替えを目指す。
「幼稚」という表現には蔑視(べっし)的な意味が含まれ、「何も分からず、何もできない」との誤解を招きやすく、早期教育などを妨げる一因との指摘があった。このため文科省は1月から新たな呼称を検討してきた。
文科省が挙げた六つの候補に対し、国民からの意見募集(計6333件)では「ちびっこ園」「認知園」の順で多かった。ただ、「ちびっこ園」は認可外保育施設ですでに使われているとの専門家の指摘があり、この日の検討会では「認知園」を推す意見が過半を占めた。
意見募集では「幼稚」に対して一般用語や行政用語として使われる場合、不快感や軽蔑(けいべつ)した感じを伴うかどうかも尋ねた。その結果、「伴う」が56.2%、「感じない」が36.8%だったという。
▼ 電子カルテ:小児科60人分ネット流出 鳥取赤十字病院(こっちは本物の記事)
鳥取赤十字病院(福島明院長、鳥取市)の小児科の患者約60人分の診療記録がインターネット上に流出していることが31日、分かった。患者の詳細な診療記録をパソコンに入力した電子カルテで、医師のパソコンがファイル交換ソフト「ウィニー」の新種ウイルスに感染したことが原因だった。医療分野のセンシティブ(機微)情報は、1日に全面施行される個人情報保護法でも、特に厳格な取り扱いを求められているが、厚生労働省のガイドラインに明記された漏えい防止や、個人情報の匿名化などの対策さえ取られていなかった。
病院の説明では、03年4月から1年間勤務した小児科医が、自宅で使っていたパソコンがウイルスに感染した。電子カルテは、医師が研究目的で診療記録の内容をパソコンに入力した情報だった。判明した流出データはごく一部とみられ、もっと多くの個人情報が含まれている可能性が高いという。病院の内部規定には、医師が個人の症例を研究目的に扱う際、匿名化するなどのルールはなかった。
自宅のパソコンから流出したのか電子カルテから流出したのかどっちなんだ(まあ、自宅からだということがなんとなくわかるが)。自宅パソコンについて書かれた文が、いきなり「電子カルテで」とか「電子カルテは」とかいう文章につながっているのが激しく奇妙。読んでると文章のつながりがおかしくて、身もだえしそうになりました。書いた人は、電子カルテがどんなものかわかってないとみた。
▼ 笹公人『念力姫』(KKベストセラーズ)
著者の笹公人さんから送っていただきました。どうもありがとうございます。表紙写真・沢渡朔、帯文・久世光彦+和田誠という超豪華な装丁にはびっくり。
『念力家族』で学園ジュヴナイル短歌なる新ジャンルを切り開いた作者、新作では一部ジュヴナイルSF風の歌もあるけれど、メインは70年代、80年代のサブカルチャーにオマージュを捧げた作品。ピンクレディー、ルービックキューブなどから、果てはDr.キャッツポー(あったなあ、すっかり忘れてたよ)まで、さまざまな固有名詞が読み込まれてます。
気に入った歌はたくさんあるのだけれど、その中から一首だけ引用。
いさかいのやまない村の丘に立ちジュディ・オングが羽根をひろげる
2005-04-02 [Sat]
▼ 精神科薬広告図像集
久々に更新。
今回の更新分は、セレネース(1971)、ダルメート(1978)、クロフェクトン(1978)、リントン(1978)、デフェクトン(1978)、トレンタール(1982)、テトラミド(1988)、ルジオミール(1988)、ロヒプノール(1989)の9作です。70年代のセレネースの広告イラストレーターは、巨大な手のモチーフに取り憑かれていたとしか思えません。
また、付録として第3室の末尾で、某製薬会社が無料で配っていた不安障害、パニック障害のパンフレットに載っていたイラストを紹介しました。ホラー風で怖いです。
2005-04-03 [Sun]
▼ ナショナル・トレジャー
テンプル騎士団にフリーメイソン……というオカルティックな道具立てにはぞくぞくするけれど、結局そうした題材があんまり生かされることはないトレジャーハンターもの。独立宣言書とかベンジャミン・フランクリンとかのアメリカ史をネタに、インディ・ジョーンズばりの宝探しを繰り広げるわけだけれど、たかだか200年程度の歴史しかない国でそんなことやられても、ちょっと、いやかなり無理がある。ニューヨークの真下に謎の地下空間が、とか言われてもなあ。探す宝も十字軍で奪ってきたものだし。それに、使われる題材が、アメリカ史に馴染みのない日本人にとってはちょっとつらい。サイレンス・ドゥーグッドなんて知ってますかあなた。アメリカの高校生とかに見せれば、歴史に興味を持つきっかけになって面白いのかも。まあ、いかにもアメリカでヒットしそうな映画だということはわかる。
ただし、みんなでツッコミを入れながらわいわい観るのであれば、これほど楽しい映画はない。氷にすっぽり埋まった船をどうやって掘り出したんですか! 雪原の上に取り残されて最寄りの村まで10数キロもあるのに、どう踏破したんですか。独立宣言書を盗むなんてとんでもない、と仲間割れしたのに、アメリカに戻ってみると結局「あいつに盗まれるくらいなら僕が盗む」と言い出して超綿密な計画を立て始めるのはちょっとどうか。時計塔の影の落ちる場所を掘る、という宝探しものでは定番のシーンもあって嬉しくなるのだけれど、それは普通日付と時刻を特定しないと意味がないのでは。時間だけしか合わせずに掘っていたけど、たまたま日付も一致していたんだろうか?
しかし、この映画最大のツッコミどころは、ニコラス・ケイジの服装だろう。シャツのボタンをこれ見よがしにはだけ、胸毛を露出させたニコラス。あれは本人はカッコイイと思ってやっているのだろうか。そういえば頭髪の量もいつもより多いような気がする(いつものニコラス。前の写真と比較してみて下さい)。ブルース・ウィリスみたいに開き直ってしまえばいいのに(★★☆)。
▼ 神田登場
筒井康隆好きの平田智美はすでに有名だが、その平田二世ともいうべきスパムメールが届いた。
Subject: どうも!神田です!
From: 神田 里奈 <*********_*********@yahoo.co.jp>
はじめまして!神田と申します。えーとですね、
以前メル友募集してましたよね??その書き込みに
とても興味を持っててアドレスを控えてたんです。
神田、メル友に応募してもいいでしょうか?
ぜひぜひ仲良くなりたいと思ってるんです☆
最初ですので、自己紹介を致しますね☆
神田里奈、22歳、喫茶店で働いております♪
普通じゃない喫茶店です。あ、アダルトなお店じゃないですよ♪
メイド喫茶なのでであります♪
趣味は旅行と読書で、好きな作家は恩田陸さんです。
恩田さんのホラーというか幻想というか
あの霧がかったような雰囲気の作品が
とりわけ神田のお好みでございます☆
そんなワケでして、神田、お返事待っております!
平田の「筒井康隆」に対して、神田は「恩田陸」。しかも作風にまで言及。そして忘れてはならないのは「メイド喫茶勤務」。筒井というやや微妙な作家の名を持ち出した平田に対し、よりターゲットをしぼりこんだ作品である。平田メールにあったスリーサイズのほのめかしがなくなっているのも、作者の研究の成果といえよう。恩田陸が好きでメイド喫茶勤務の22歳。これだけで想像をたくましうするのがヲタクというものである。スリーサイズなど不用。
ただ、あまりにターゲットをピンポイントにしぼりこみすぎたせいか、こんな反応も。
614 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2005/03/28(月) 22:41:28 ID:XJ+vAw/r
神田ちゃんのメールをゲット
がいしゅつか?
ヲタがターゲットなんだろうな
メイド喫茶かあ・・・行ってみたいなあ・・・
それにしても恩田って誰だ
マニアックすぎてピンと来ないや
まあ、こういう人はそもそも神田のターゲット外であるからしていいとして、残念なのは、キャラが平田とかぶりすぎている、というか、ほとんど平田メールと文面が同じだというところ。恩田陸にメイド喫茶というところまで凝ったのだから、ここはもう少し、平田とは違った神田独自のキャラを立ててほしかった。
とはいえ、恩田陸好きの神田里奈には、なんとも心動かされるのは確かで、舞村そうじさんとこには、はやくも神田里奈絵が。同志と呼ばせて下さい(笑)。
2005-04-04 [Mon]
▼ TIME BELT
超低予算連続SFドラマ。
スペースシャトルの事故で恋人サラを失ったブルーム博士は、失意の中でタイムベルトを完成させる。博士はサラを救うため時間を遡るが、ベルトの動作は不完全で、毎回ヒトラーのドイツやら恐竜時代やらゾンビのうようよしている世界やらにたどりついてしまう……という話なのだけれど、とにかく低予算。タイムベルトは厚紙とアルミホイルでできてるし、ロケ地はどうみても普通の家とかそのへんの道路。でもおもしろいのだ、これが。ただし最終話はちょっと拍子抜けだけど。
第6話ではブリーフ一丁にモニタのかぶり物をした「コンピューターマン」役で、なぜか「スクール・オブ・ロック」のジャック・ブラックが出演。
2005-04-06 [Wed]
▼ 認知症という病名
4月1日のコメント欄で、こんな意見をいただいた。
認知症という言葉は国語学的にみて間違いです。認知障害とか認知失調とか認知不全ならともかく(それはそれで医学的に別の意味があるとかいう反論はおく)、認知症では、認知そのものが病的な現象であるという意味になります。
そうかな? 「神経症」は? という疑問がまず浮かんだのだけれど、国語学的にはともかく医学的には「認知症」という病名はそれほど不自然なものではない。病名としての「症」の前には、実にさまざまな言葉がつくのである。
たとえば「高脂血症」とか「低ナトリウム血症」「甲状腺機能亢進症」あたりは病態がそのまま説明されていてわかりやすい。これらなどは、「病的な現象+症」というパターンになるだろうか。「子宮内膜症」になるとちょっとわかりづらいが、子宮内膜症とは、子宮内膜が本来あるべきでない場所で増殖してしまう病気であり、「病的な現象+症」のパターンといえなくもない。
では「花粉症」はどうかというと、別に花粉自体が病的というわけではなく、花粉が原因となる症状という意味であろう。つまり「症」の前には疾患の原因がついている。
学生時代にいちばん違和感を覚えたのは「急性腹症」という病名で、これなど腹がいったいどうなったのかさっぱりわからない(原因はまだわからないながら緊急の対応が必要な突然の腹痛につけられる病名なので当然なのだが)。さらにわからないのが、精神科領域で使われる「悪性症候群」である。悪性はわかるがいったい何がどうなったというのか、なんだか聞いた人を煙に巻くような病名である。これは突然の高熱と昏迷、筋肉の強直などが現れて死にいたることもあるという抗精神病薬の重篤な副作用で、フランス語の"syndrome malin"の直訳なのだが、「悪性向精神薬副作用症候群」とでもいえばいいところを、外聞が悪いので「悪性症候群」とぼかしたようにも思える。
「急性腹症」に似たような病名としては「顎関節症」「頚肩腕症」「乳腺症」など枚挙に暇がない。このような病名は器管名+症というつくりになっており、「認知」はやや異質な印象もあるが、認知を脳のひとつの機能モジュールと考えれば、「認知症」という病名もあながち奇妙ではないだろう。
Cardiomyopathy=「心筋症」、nephropathy=「腎症」のように、-pathyが「○○症」と訳されることも多いが、別に一対一対応しているわけではなく、「神経症」はneurosisで、neuropathyは「ニューロパチー」と訳される。ついでにいえばpsychopathyは「精神症」ではなく「精神病質」である。
最初にも書いたとおり、「認知症」という病名を聞いて、私がまず思い浮かべた病名は「神経症」なのだが、「神経症」ほどいいかげんで、しかも使い勝手のいい病名もそうはあるものではないだろう。なんだかわからないが、とにかく神経のせいだというのである。あんまりいいかげんなので正確な診断分類を重んじる最近のアメリカ精神医学では、「神経症」という病名は使われなくなっているほど。そして「認知症」にも、この「神経症」と同じく、いい意味でのいいかげんさを感じるのだ。「なんだかわからないが、とにかく認知が悪いんですよ」というような。
そもそも「神経症」の概念は、明治開化とともに日本に伝来したもの。明治時代には「神経」という言葉が大流行、三遊亭円朝は「幽霊と云うものは無い、全く神経病だ」という含意をこめて怪談に「真景累ヶ淵」というタイトルをつけたし、その後も「神経」は実に息の長い流行語となり、大正時代には広津和郎が「神経病時代」を著している。さらにその後も「ノイローゼ」という名前で、おそらく昭和の終わりごろまでは命脈を保っていた。医学的にはともかく、一般的には、抑うつや不安、さらには軽い幻覚妄想程度なら、かつては全部「そりゃノイローゼだよ」で済まされていたものである。しかしその「ノイローゼ」も、いつのまにかあんまり使われなくなってしまった。
できれば「認知」もこれくらいの流行語になってほしいもの。まずは誰か「幽霊と云うものは無い、全く認知の病だ」という怪談でも書いて下さい。
2005-04-09 [Sat]
▼ 自転車通勤を志す
自転車で通勤してみようか、とふと考えた。
2月に引っ越した自宅から職場の病院まで、電車と徒歩で45分くらいかけているのだけれど、地図を見ると直線距離で10キロもない。決して自転車で通えない距離ではないだろう。しかも、自転車の平均時速が15キロだとすると所要時間は40分程度。通勤時間はそう変わらないかむしろ早くなる。欠点は通勤中に本が読めないことと、書店がいっぱいある池袋に寄り道できないこと。あと、これからの季節、職場についた時には汗でベタベタになるだろうということだが、これは病院に着いてから着替えるしかあるまい。
いろいろ調べてみたところ、10キロもの道のりとなると、ママチャリではさすがに荷が重く、クロスバイクというタイプの自転車が向いているらしい。3万円台から20万円以上まであるようだけど、6,7万円クラスくらいがちょうどいい感じだ。
つづいて池袋の大きなスポーツサイクルショップに行って情報収集。GIANT、MARIN、SPECIALIZEDといったメーカーのものを薦められる。 街を走ると歩道の段差がけっこうあるので、フロントフォークにサスペンションがあったほうがいいかと思っていたのだけれど、店員が薦めてくれるのはなぜかサスペンションのない機種ばかり。どうしてなのか訊いてみると、彼はひとこと。
「サスペンションがあるのは、クロスバイクとしては邪道です」
邪道!
自転車の世界にも「これはクロスバイクではない」とかそういう論争があったりするのか。 私としては邪道でも乗りやすい方がいいのだが。
彼が言うには「段差があるときには減速して体重移動させれば問題はない」ということなのだが、私としてはスムーズにストレスなく乗りたい。
とりあえず今日のところはカタログをもらうだけにして、帰ってきてから2chの自転車板とか自転車屋さんのサイトとかをじっくり読んでみたのだけれど、どうやら、クロスバイクにサスペンションは必要か否かというのは、その人の立場によって大きく意見が分かれるところらしい。大げさに言えば、自転車に対する思想の問題なのである。私は知らないうちに地雷を踏んでしまったようだ。
クロスバイクにロードレーサーよりの軽さと高速性を求める人にとってはサスペンションなど不要ということになるし、速度よりもママチャリ的な乗りやすさ、快適性を求める人にとってはサスペンション必要ということになるみたい。
今のところ、私はサスペンションがあった方が楽でいいかな、と思っているので、候補として考えているのは、
SPECIALIZED CROSSRIDER A1 CE SPORT
BIANCHI PASSO
GARYFISHER NIRVANA または UTOPIA
あたり。
また、サスペンションはついていないものの、
SPECIALIZED SIRRUS A1 ELITE
も、振動吸収性の高いエラストマー入りカーボンフォークを使っていてなかなかよさそう。ちょっと高いのが難点だけど。
▼ 栗本薫の大河小説「グイン・サーガ」が100巻達成
あー、はやく99巻読まなきゃ。
100巻累計で、400字詰め原稿用紙で4万枚分、出版部数は2600万部を超えたという。04年にギネスブックの「最も長い小説」の新記録として申請した。英訳で当時のギネス記録だったプルーストの「失われた時を求めて」の約3倍の文字数があったが、「1冊にまとまっていない」と認められなかったという。
ギネス未認定だったんですね。
「ギネス“未認定”の最長小説」によれば、
1人の作家による世界最長の小説の栄誉は揺るぎないと思いこんでいたら、いまだに「ギネス世界記録」に認められていないと聞き、驚いてしまった。
同記録の「最も長い小説(ノベル)」の座は、2004年版まで960万9000文字のM・プルースト『失われた時を求めて』(フランス)が、2005年版からは1415万6074文字のS・ロバーツ『ニカーズ』(イギリス)が占めている。
グインの出版元、早川書房が5年ほど前、申請した際には、1冊完結のシリーズものと誤解されたらしく却下。正伝が93巻に達した今年4月、米国の英語版を元に算出した3022万5000文字のグインが最長と主張したが、「この記録は1冊の本でなければ認められない」との返事が来た。さらに同社では、「3000万文字を1冊の本で刊行するのは不可能で『最長のフィクション』の新設を」と要望、これも拒否されたという。
だそうな。
プルーストに代わって最も長い小説の座についたというS・ロバーツ『ニカーズ』(2003)については、著者もタイトルもまったく知らなかったのでちょっと調べてみた。
この小説、ギネスブックのサイトには確かに登録されているものの、ぐぐってみても不思議なくらい情報が見つからない。書評も、作者についての情報も、まったくないのだ。
Amazon.co.jpには登録はあるが、書影はない上に、¥46,435などというものすごい値段がついている。しかもペイパーバックで3400p!? 出版元がSimon Roberts Publishingということは、自費出版なのだろうか。UKのamazonにも書影はない(こちらではなぜか2446ページになっている)。
いろいろ調べた結果、ついに"Knickers"のサイトを発見。ここでは、書影(おそろしくおざなりな装丁である)と、そしてなんと小説全文のPDFファイル(1.75MB)が入手可能。
そのサイトによると、"Knickers"のあらすじは、
ジョンはシャーリーを愛していた。ふたりはともに一生を過ごし、今やその生は歴史にゆだねられた。ふたりは互いの腕の中で愛のうちに死んだ。ジョンはなおもシャーリーへの愛を感じていた。
要するに
死を超えた愛
であるらしい。1415万6074文字も使ってこれだけ?
さらに、"Knickers"のPDFファイルをぱらぱらとめくってみると、52ページ以降には……。
いやはや。
なんとも。
こんな作品がギネスに認定されて、「グイン・サーガ」が認定されないことには、さすがに義憤を感じるよ。
追記:
Knickersのページに、本の物理的なサイズが載っていた。横178mm,縦275mm,厚さ160mmだというのだが、もう読める厚さじゃないね。
さらに、PDFファイルの奥付に、"First Edition. Book Number _ of ten."とあるところをみると、どうやらこの本、10部しか刷られていないようだ。10部しかないのにわざわざISBN取ってamazonで売っているってのも凄い。
これはもう、ギネスに申請するためだけに作られた本としか思えないのだが。グイン・サーガも無駄に長いとかなんとかいろいろ批判されているが、こんな本が世界最長の座を占めてるというのはさすがにひどい。
こんなことが許されていいのでしょうか(特に意味はないが、市民運動風にまとめてみた)。
2005-04-10 [Sun]
▼ 宗教別SF作家リスト via Boing Boing
それぞれの宗派の違いにぴんとこないので、へえ、と眺めるほかない。アヴラム・デイヴィッドソンの天理教が異彩を放っているくらいか。Boing Boingのコリイ・ドクトロウが「私は人種的にはユダヤ人だけど無神論者なのに……」と言ってるように、信憑性にはやや疑問あり。
▼ 決定版ハインライン全集
全46巻で、全小説のほかノンフィクション、インタビュー、講演、書簡なども収録。5000セット限定で分売不可。分割払いなら2500ドルのところを、1回払いなら2200ドル。コレクターズ・アイテムの革装版もあるとか。
▼ 中央線の秋
コメント欄で、自転車通勤で行こうというサイトを教えていただいた。管理人の疋田智さんという方は自転車通勤界(あるらしいのだ、そういう世界が)では有名な人らしいのだが、サイトの中のいろんなページを読んでいくうちに、個人的に非常に懐かしいものに出会った。
「中央線の秋」というマンガである。
「ある場所で、ある特殊な形態で発表されていました」と疋田氏のサイトには書かれているが、このマンガは、実は私が通っていた大学内で、ザラ紙に刷られたビラとして発表されていたもの。私が大学生の頃には原理研究会やら民青同盟やら、宗教的、政治的なビラが教室内に撒かれていたのだけれど、そうしたビラに混じって、何のメッセージ性もない無意味なビラとして撒かれていたのが、この「中央線の秋」なのだった。
「中央線の秋」は、作者不明のオリジナルのシュールなマンガ(特にその24の内容は、今でもトラウマとして頭に焼き付いている)と、「きいとうたかを」氏によるゴルゴ13のコラから成り立っていて、だいたい週に1回程度、教室の机の上に撒かれていた。大学生の頃の私はこのマンガを読むのを楽しみにしていたのだけれど、ビラという性質上、コンプリートするのは非常に難しく悔しい思いをしていた。その後、一冊にまとまった本が学園祭で売られていたときには真っ先に買いましたよ。たぶん今でも実家のどこかにあるはず。
そうか、「中央線の秋」は、この人が書いていたのか。
と、自転車とは全然関係のないところで感慨にふけったのだった。
▼ クロスライダー購入
結局、ネットで検索して見つけた、近所のスポーツサイクルを扱っている自転車店で、SPECIALIZED CROSSRIDER A1 CE SPORTを注文してきました。ただし在庫がないとのことで、納品は4月中になるとか。森下先生からはママチャリでも充分という意見もいただいたのだけれど、やはりフェティシズムというか、所有欲をかきたてるものの方がいいかと思って、クロスバイクにしてみました。
ちなみに、こちらの店員に、前サスはある方がいいかどうか尋ねると、あっさりと「あった方がいい」とのこと。前の店の店員は「邪道」とまで言ってたのになあ。やっぱり人によって意見がわかれるところらしい。まあ、MTBやロードレーサー乗りからみればクロスバイク自体が中途半端で邪道らしいので、結局どちらでもかまわないのだろうけれど。
しかし、いろいろ調べていて感じたのだけれど、自転車の世界ってのは、自作パソコンの世界によく似てますな。完成品として売られているものもあるけれど、パーツを組み合わせて作っていくこともできるし、完成品のパーツを交換してグレードアップすることもできる。パーツ同士の相性もあったりする。妙なこだわりのある人が多いところも似ています。
2005-04-13 [Wed]
▼ 精神科の当直について
外科などの研修医では病院に泊り込んで何十時間も眠れなかったという話をよく聞くが、精神科では基本的にそういうことはない。よほどの緊急時でもなければ、当直医でもないのに泊り込む必要性は特にないのだ。「ブラックジャックによろしく」の精神科篇で、夜中に保護室の中の患者と話し込む場面が出てきたが、それは単なる治療者の自己満足であり、治療の枠組みを壊す行為である。保護室とは話す場所ではなく、まず休養を取る場所なのである。ただし、明るい昼には語られない「夜の言葉」というものはあるので、消灯後に眠れないでいる患者さんとごく短時間言葉を交わしてみれば、今まで知らなかった新しい患者さんの一面に気づかされるかもしれない。ただ、この場合も長い時間話し込むことはお勧めできないが。
病院にもよるが、精神科では当直中もだいたいは眠れるものである(むろん途中で起こされることは覚悟しないといけないが、1、2回の口頭指示だけですむ場合も多い)。朝まで一度も起こされずに眠れることも、病院によっては珍しくはない。だからといっていつも楽かというとそういうわけでもなく、ときには「死にたいんです」と電話がかかって応対に苦労したり、大量服薬をした患者がいるので今からそちらに運ぶ、と救急隊から連絡があったりと、大忙しのこともたまにはある。仕事自体が忙しいというわけでなくても、30分おきくらいに外来患者から電話がかかってきたり、病棟から指示をあおぐ連絡があったりと、寝入りばなに起される連続でまったく寝た気がしないこともある。
他科の医者の中には、自分で死のうとする人を苦労して助けることに理不尽さを感じる人もいるらしいが、「死にたい」と思うことも含めての病である。私は別に理不尽とは思ったことはない。ただ、助けることに達成感があるかというとそうでもない。電話を切った患者が自殺を図っていない保証はないし、一度助けたとしても何度も自殺企図を繰り返す人は多い。そういうものだと思うしかない。わかりやすい達成感を求める人は精神科には向かない。
▼ 谷川流『絶望系 閉じられた世界』(電撃文庫)
建御雷(タケミカヅチ)といえば、出雲の国の大国主とその息子である事代主(コトシロヌシ)に国譲りを迫った大和の神であり、その出雲の国の中心である出雲大社は、別名杵築宮(キヅキノミヤ)という。また、神の鎮座する山を神奈備山(カムナビまたはカミナビ)といい、出雲風土記に四山が見えるほか、大和の三輪山(ミワ)が有名である。
というような話が物語とどう関係するかは定かではない。おもしろいかつまらないかといえば、つまらない方に入るのだろう。この作者の作品は、傍観者の視点、というか常に一歩引いた視点が魅力だったが、この作品の場合読者の興を削ぐまでに何百歩も引きすぎているところと、引ききれていないところが混在しているようにも思える。
2005-04-16 [Sat]
▼ リアプロ体験
今使ってるテレビが古い東芝の28インチでハイビジョンにも対応しておらず物足りないので、50インチくらいの大画面テレビがほしいのだけれど、プラズマは電気代喰うし、液晶は高いし、やっぱりリアプロかな、というわけで、新橋までビクター プロジェクションテレビ視聴体験会に行ってきた。
リアプロはすでにエプソンのLIVINGSTATIONとソニーのQUALIA006を見たけれど、エプソンはデザインが変だし画質も今ひとつ。ソニーはあまりに高くて話にならない。ビクターが参入して、ようやく現実的な価格帯で検討に値するリアプロが出てきた感じ(三洋とか三菱とかも出してますが)。
画質は問題ないし、画面の明るさはビクターが自慢するだけのことはあってかなりのもの。リアプロにありがちな四隅の暗さもほとんど目立たない(エプソンのは、見ただけですぐわかるほど四隅が暗くなっていた)。けっこう購入意欲が湧いてきました。ビクターの思う壺か。
ただ、フルHD対応じゃなく、解像度が1280×720なのが残念。いちおうアメリカではすでにフルHD対応のリアプロが発表されているのだけれど、日本では発売未定なのが悩ましいところ。ビクターの人に訊いてみたら、「発売を検討している」とか言っていたけど。あと、リアプロの宿命として電源を入れてから画面が明るくなるまで30秒から1分程度かかってしまうのが欠点。
そうそう、視聴する映像ソフトにHD DVDでもブルーレイでもなく、D-VHSのテープを使ってたのが、いかにもビクターらしいと思いました。今どきD-VHSかよ!
▼ スラヴォイ・ジジェクのウェディング写真
これがその写真なのだが。花嫁かわいすぎます。ジジェク目つき悪すぎます。そして首がたるんでます。
なんでも花嫁は26歳で、両親ともラカニアンだとか。ジジェクは1949年生まれだから56歳。30歳差ですか! 世の中の不公平さにふつふつと怒りが沸いてきます。
コメント欄で、ジジェクと名乗る人が「祝福してくれてありがとう。今度、妻との出会いと結婚の話を書いた本を出すよ」とか書いてるんですが、本人なのかどうか不明。
2005-04-17 [Sun]
▼ 海を飛ぶ夢
尊厳死というテーマを扱った、事実に基づく人間ドラマ。ここまで強く自分の意思を貫くことは、たぶん日本では難しい。しかし、アレハンドロ・アメナーバルといえば、『オープン・ユア・アイズ』『アザーズ』など、無理目のサプライズ・エンディングにこだわるオタク監督というイメージだったのだけれど、こんな真面目な映画を撮ってしまうとは。アカデミー外国語映画賞を獲ったそうだけど、オタク的にはこれは堕落以外の何物でもない。
オタク監督の雄ティム・バートンは、やっぱり大人になってしまった『ビッグ・フィッシュ』でも、まだサーカスや巨人などフリークス趣味を見せつけていたけれど、この映画にはオタクっぽさのかけらもなし。どうやら、アメナーバルも、オタク監督が一度はかかる、「オレだって真面目な映画撮ろうと思えば撮れるんだぜ」という流行り病にかかってしまったようである。ジョー・ダンテの爪の垢でも煎じて飲んで頂きたいもんである。
観たあとでいちばん驚いたのは、主役の中年男を演じたハビエル・バルデムが、1969年生まれだったということ。私と同い年ではないか! なんでも1日5時間の特殊メイクで50代の姿になったとか。日本版ポスターは特殊メイク後で、アメリカ版ポスターが素顔。全然違う。
2005-04-18 [Mon]
▼ ビラを配る女
新宿の紀ノ国屋書店前の交差点で信号待ちをしていたときのこと。「どうぞ」と差し出され、何気なくビラを受け取ったのだが、目を落としてみたそのビラが異様だった。
紋付きと白無垢の男女が写った結婚写真。それをカラーコピーしたものなのである。男性は40歳くらい、女性は30代くらいだろうか。ただし、写真の上に、さらにデジカメ写真をプリントアウトした紙を重ねてコピーしてあるので、和装の二人は胸あたりまでしか見えない。上に重ねられたデジカメの写真は、どうやら二人で交互に撮りあったものらしく、レストランらしき場所を背景に、結婚写真と同じ男女が、こちらは笑顔で写っており、2004/01/03の日付と時刻が入っている。紙の重ね方は無造作としかいいようがなくて、何枚かの写真は端で切れていて、一枚などは男性の目から上だけしか写っていない。そして、日付と時刻以外、手がかりになるような文字は一切書かれていない。
これはいったい何なのか。何を意図して配られているビラなのか。横断歩道を渡ったあと、しばらく向こう側でビラを配っている女性を観察したのだが、どうやらビラに花嫁衣装で写っている女性と同一人物のようだ。
よっぽどこのビラは何なのか本人に訊いてみようかと思ったのだが、信号を待っている間に女性はどこかへ行ってしまった。
そこで、このビラの目的について、いくつかの説を考えてみた。
(1)行方不明になった夫を捜すため。
それにしては配る女性に悲壮感がない。彼女はときに笑顔も浮かべながら配っているのだ。
(2)何かの番組か芝居かの宣伝
全然宣伝になってない。写っているのは、役者っぽくない、ごくふつうの男女である。
(3)彼女は何か精神科的な問題を抱えている
いちばんわかりやすい説だが、こう言ってしまえば何でも説明がつけられてしまうのが物足りない。
さて、いったい彼女は何のためにこのビラを配っていたのだろうか?
2005-04-19 [Tue]
▼ ロシア時計の謎
腕時計がすぐ壊れる。これが本当によく壊れる。私の身体から何か怪しい磁気でも出てるんじゃないかと思われるほど壊れる。
止まる心配がないからいいだろう、と以前ソーラー時計を購入したのだけれど、しばらくポケットに入れておいたらいつのまにか止まっていた。光を当ててみても動かない。修理に出したら1万円以上かかった上、またしばらくしたら止まっていた。
次に、止まる心配がない上に常に正確だからいいだろう、と今度はソーラー電波時計を買ったが、しばらく使わずに暗いところに置いておいたらやはり止まっていて、いくら光を当てても動き出さなかった。もう修理に出すのはやめた。どうせまたすぐに止まるに決まっている。
いっそのこともうソーラーも電波もやめよう、どうせなら徹底的にアナログで行こう、と極端なことを考えて、今度は機械式腕時計を購入してみた(msnオークションにて)。それもロシア製のPOLJOT(パリョートとかポレオットとか呼ばれている)というメーカーの手巻き時計。自動巻じゃないので、毎日ネジを巻かなければならないのだけど、それもまた楽し。
文字盤にはロシア文字で"ШТУРМАНСКИЕ"とある。シュトルマンスキーと読む。かのガガーリンや日本人で初めて宇宙へ行った秋山さんもつけていたという時計だそうである。クロノグラフ機能つき。
裏をひっくり返すと、中の機械が透けて見えるようになっていて、歯車やテンプが動いているのがわかってなかなか楽しい。
私の買ったモデルはまあ普通の時計なのだけど、このPOLJOTというメーカーはなんともけったいな時計ばかりつくっていて、たとえば大陸間弾道ミサイルSS-18のチタンで作った時計(「放射能はないからだいじょうぶだよ」とか書いてある)とか、プーチン大統領のサイン入り時計「プレジデント」とかガガーリン記念モデルとか、裏蓋にピョートル大帝顔入りモデル「ロマノフ」とか、そんなんばっか。ミサイル時計はちょっと欲しいかも。
違うメーカーだが、VOSTOK社の24時間時計コスモノートってのも悪くない。クレムリンは文字盤に双頭の鷲入り。さすがロシア。
まあ、ロシア製なのでよく壊れるとか遅れるとかいう話は聞くのだけれど、正確な時間なんてものは街にいればどこでもすぐわかるわけで(実際、この時計を買うまでしばらく腕時計なしで生活していたが、不便を感じたことはほとんどなかった)、一生懸命カチカチ動いている小さな機械を持ち歩くというのもなかなか乙なものではなかろうか。
それに機械式時計というのは、なんともメカ好きの心をくすぐるところがあるもので、SF者たるもの、いつかはユリス・ナルダンのアストロラビウム・ガリレオガリレイでもしてみたいものである。値段もものすごいが。
ちなみに、「ロシア時計の謎」というタイトルをつけたが、別に謎などはない。なんとなくつけてみたかっただけである。
▼ タルムード・プリインストールiPod
ユダヤ人用。なんと40GBのうち27GBもの容量がタルムードに使われている。そんなに長大なのか、タルムードって、と思ったのだが、2711ページもあって、1日1ページずつ読むと7年半かかるのだとか。
24kb/secというビットレートは、192kbpsのことなのかな。朗読ならそんなにビットレート上げなくてもいいのに、などと考えるのは神への冒涜なんでしょうか。
2005-04-20 [Wed]
▼ 車道を走行禁止法案が通ったら
なんでも「ファンライド」という自転車雑誌のエッセイで、自転車ツーキニストとして知られる疋田智氏が、「警察庁が自転車の車道走行禁止の法案を作成中で、今通常国会では見送ったが、早くて来年、遅くても再来年には提出」という情報を書いているらしく、2ch自転車板は大騒ぎ。
ふだん車に乗っている人なら、ちょろちょろとじゃまっけな自転車が車道からいなくなったらすっきりすると思うだろうし、もっぱら歩行、ときどきママチャリに乗るくらいの人も、自転車で車道を走るなんて考えもしないだろう。でもスポーツバイクに乗る人にとっては、もし本当にこんな法案が通ったら走るところがなくなってしまうわけで、大問題なわけである。特にタイヤの細いロードバイクでは、段差のある歩道などはとうてい走れない。こんな法案が通ったら、ロードバイクは売れなくなるだろうし、メッセンジャーは死活問題。私もせっかくスポーツバイクを買って自転車通勤を始めようというのに、やる気が削がれることはなはだしい。
そもそも道路交通法では自転車は車両なので車道を走ることになっている。ただ、実際は車道を走っても自動車の邪魔、歩道を走っても歩行者の邪魔、という中途半端で肩身の狭い立場。どこを走っていいのかわからんのですね。
ただ、いまのところ、情報のソースがあやふやなまま極端な議論ばっかりが積み重ねられていて危うげな感じ。議論するよりもまず、この情報が本当なのかどうか確認する方が先でしょう。だいたいガードレールのついた狭い歩道など、自転車と歩行者が共有するのは現実的でない場合も多く、私はこれは眉唾ものだと思うのだけど。
2005-04-21 [Thu]
▼ コンスタンティン
『ゴッド・アーミー』という映画が好きである。天使と悪魔が繰り広げる壮大な戦いが、男臭い素手の殴り合いとして描かれるという怪作。なんせ、両性具有とか美青年とかいうイメージのある大天使ガブリエルを演じるのが、いきなりクリストファー・ウォーケンですよ。このミスマッチさがたまらないのだが、なぜかいまだに日本じゃDVD化されていない。『ゴッド・アーミーDVD BOX』とか出たら絶対買うのに。あ、本国では出てるのね。
と、いきなり違う映画の話で始めてしまったが、この『コンスタンティン』も、世界観は『ゴッド・アーミー』と似たものがあって、人間界を舞台に天使と悪魔が戦う話である。ただ、どうも天使も悪魔も人間界に直接入ってくることはできないらしく、ハーフブリードといわれる存在が代理戦争をしているらしい。
全体に、微妙にツボを外した笑いが多く、アクション映画というよりむしろオフビートなコメディといった趣き。、血圧の低いコメディという伊藤計劃さんの評はかなり的確です。「地獄版聖書」はやっぱり笑うところでしょう。
キアヌ・リーヴスは正直どうでもよくて、最後の15分くらいしか活躍しないティルダ・スウィントンとピーター・ストーメアが素晴らしいというところも同意。特にティルダ・スウィントンは実に見事な天使っぷりで、中性的な魅力を発揮しまくっている。キアヌに殴られて晴れ晴れとした顔で喜ぶあたりなんてもう最高。
ティルダ・スウィントンといえば、『オルランド』でも、両性具有の役を演じていて素晴らしかったもの(たぶんこれを観てキャスティングしたんだろう)。もうこれは、世界一の両性具有役者と呼んでもいいんじゃないだろうか。
2005-04-22 [Fri]
▼ 栗本薫『ルードの恩讐』『豹頭王の試練』(ハヤカワ文庫JA)
グイン・サーガ99巻と100巻。話はあんまり進まない。あいかわらずイシュトヴァーンは長々と独白し、グインは逃げたかと思ったらまた捕まってまた逃げる。グールとか死霊とかに襲われるイベントも発生するが、本筋とは関係しない。このところ妙にのんびりとした展開なのだけれど、ヤンダル・ゾッグとかはいったいどうしたんだろう。グインが放浪しているあいだはお行儀よく待っていてくれるんだろうか。
100巻のあとがきでは、400字詰めにして1冊400枚だから、100巻で40000枚。26年間で1600万文字も書いてきた、と記されているが、1600万文字ということは、つまりは32MBということになる。26年かけて書かれたグイン・サーガ100巻分が、小さなフラッシュメモリ1つに収まってしまうわけだ。なんとも儚い気もする。逆に言えば、小説ってのは、写真や音楽よりはるかに小さなバイト数で、豊かな世界を生み出せる圧縮率の高いメディアということにもなるのだけれど。
▼ 電子カルテに足りないもの〜精神科電子カルテの可能性と限界
という記事を、「こころの科学」という雑誌に書かせていただきました。全国の病院にはびこりつつある電子カルテなる面妖な道具について、精神科の特殊性もからめて、好き勝手書いております。
2005-04-23 [Sat]
▼ Mathematical Fiction
紀元前414年から現在に至るまで、古今の数学フィクションを集めたサイト。以前、SFセミナーでも数学小説について語る企画がありました。
最も多くの作品が取り上げられているのは、グレッグ・イーガン。当然といえようか。小説に限らず、ドラマや演劇なども取り上げていて、その中では、NUMB3RSというドラマが気になった。FBI捜査官の兄が担当する事件を、若き数学者の弟が数学を使って解決する話らしい。
▼ I want to ride my bicycle
納車! これで毎日走り回れる。
買った自転車はスペシャライズドのクロスライダー……のはずだったのだけれども、写真をみればわかるとおり、シラスA1です。サスペンションありません。結局いちばん売れ筋の自転車に落ち着いてしまいました。
実は、2chなどあちこちで「街乗りではサス不要」という意見を目にしたのと、いくつかのショップを回って「28Cでも38Cでもパンクするときはする。空気圧の管理がちゃんとしてれば28Cでもめったにパンクしない」といわれたことから、注文を入れたあとに優柔不断にも無理を言ってシラスに変更したのだった。
購入したのは新宿にあるジョーカーというサイクルショップ。ライトと速度や走行距離が出るサイクルコンピュータ、スタンド(スポーツバイクには普通スタンドはついていないのだ)と鍵、ペットボトル用のホルダをつけてもらった。
自宅まではけっこう遠いので乗って帰れるかと心配したのだけれど、楽勝でした。車体が軽いので気持ちよくスピードが出る。この爽快感を知ったらママチャリには戻れませんね。
まず紀伊国屋アドホック前から西新宿の高層ビル街を抜けて、方南通りを西へ。大宮八幡前の交差点を右に入り、和田堀公園、善福寺川公園と、善福寺川沿いをゆっくり走る(写真は、和田堀公園で撮ったもの)。尾崎橋で公園を出て五日市街道に入り、神明通りとの交差点で右折。神明通りは車が少なくて走りやすい。吉祥寺通りで北上したのだけれど、この通りは狭い上にバスの通行が多くて自転車には向いていなかった。青梅街道と西武新宿線の踏切を渡り、上智大学の横を通って新青梅街道に突き当たる。このへんから道が入り組んできて、道に迷いながらなんとか自宅にたどりつく。
走行距離は19.7キロ。かかった時間は1時間20分程度。正直言って、まだ走り足りないくらいでありました。全然運動していない私がわりとのんびりと遠回りして走ってこれくらいだから、もっと近道を通れば(青梅街道をまっすぐとか)1時間くらいで着いてしまうことになる。快適快適。
とても気持ちよくて楽しかったのだけれど、運動になったかというとどうだろう。スポーツサイクルというのは、まず楽で快適な乗り物なのですね。あまりに楽すぎて、ダイエットなどの目的には向かないような気もする。
フロントのサスペンションのあるなしでかなり迷ったあげく、結局サスなしの車種を選んだのだけれど、別にそれほど振動がきついということはなく、2chやショップの店員の意見のとおり、サスがなくてもあまり問題はなかったような気がする。ただ、シートサスはついているとはいうものの、ずっと乗っているとやはりお尻は少々痛くなった。これは自分にあったサドルをみつけるしかないのだろう。
2005-04-25 [Mon]
▼ I want to ride it where I like
今朝は雨が降っていたので、自転車通勤は中止。
▼ ハイド・アンド・シーク 暗闇のかくれんぼ アナザー・エンディング版
ダコタ・ファニングたんにハァハァする映画。全編の90%近くにダコタたんが映ってますよ。
ただ、ハァハァが目的でない人には、あまりお薦めできない映画である。デ・ニーロが心理学者だという設定はあんまり意味があるとは思えないし(全然仕事してないようなのに、やたらとでかい家に住んでるのだけれど、アメリカの心理学者ってそんなにもうかるのか)、途中までの展開はかなり地味。ラストで明かされる「意外な真相」はかなり無理がある上に、真相が明らかになってからがだらだらとあまりにも長すぎる。すぐにすっぱりと終わってくれればもっと高い評価もできたのに。
たまたま近所の映画館で「アナザー・エンディング版」というのをやっていたのでそれを観たのだけれども、オチが今ひとつ意味不明で微妙。おそらく、通常版とは最後の最後のオチだけが違うのだろうと思うのだけれど、今さらわざわざ通常版を観る気もないしなあ。なんとなく、この映画をちゃんと観終わってないような不全感ばかりが残ってしまった。
2005-04-28 [Thu]
▼ 自転車乗り
というわけで、3日間自転車通勤をしてみた。まったく運動などしていない人間にもけっこう走れるものである。さすがはスポーツサイクル。リュックは、結局ドイターのスーパーバイクSを購入。それでももちろん汗はかくので、職場での着替えは必須だけれども、ムレは劇的に少なくなった。これまで全然運動などしていなかったので、太ももが痛い。それから、股のサドルに当たる部分、特に尿道のところがじんじんと痛い。これはなんとかならないものか。
4月26日(自宅−病院)
走行距離10.01km
走行時間32分51秒
平均速度18.3km/h
最高速度31.5km/h
4月27日(病院−保健センター−自宅)
走行距離25.89km
走行時間1時間37分41秒
平均速度15.9km/h
最高速度40.5km/h
4月28日(自宅−病院−自宅)
走行距離21.72km
走行時間1時間18分54秒
平均速度16.5km/h
最高速度33.5km/h
シラス純正のペダルは裏表があって非常にこぎにくい。交換したほうがいいかもしれない。あと、もうちょっとハンドルが低い方がより前傾姿勢になれて走りやすいかも。ステムを逆付けするといいらしい。
しかし、舗装はしてあっても路面が荒れていると身体に伝わる振動がものすごい。こうも振動がすごいと、だんだん自転車と分子が入れ替わって身体が自転車化していきそうだ((c)フラン・オブライエン)。
2005-04-29 [Fri]
▼ 地図について
自転車で東京を走るには、地図が必須である。地図がないと、道を一本間違えただけで、気づいたときにはとんでもないところにたどりついていたりする。週末の散歩ならそれでもいいのだが、目的地があるときにはそれでは困る。
最初は、以前から持っていたA5サイズの1万分の1の東京23区地図(昭文社)を持ち歩いていたのだが、これはややかさばるのが難点。新書や文庫サイズの地図なら携帯に便利だと思ったのだけれど、1万分の1ではやたらと分厚くなる上、自転車の速度だとすぐに次のページになってしまい、使い勝手が悪い。かといってあまりに縮尺が小さい地図は、小さな道が載っていなかったりして自転車向きではない。そこで購入したのが新書サイズの2万分の1の地図。これがちょうどいい。23区の中心部だけが1万分の1で、周辺部は2万分の1の地図もあるが、私の行動範囲はたいがい2万分の1の範囲内だから、それならいっそ全部2万分の1の方が軽くて使いやすい。
使ってみると、リュックのサイドポケットにぴったり入るので取り出しやすくて便利。縮尺も自転車向き。ただし、やはり小さい道は載っていないのが欠点。それから、ランドマークがあまり描かれていないので、ついうっかり曲がり角を行きすぎてしまうこともある。昭文社の地図くらい情報量が多くて、縮尺が2万分の1だったらいちばん使いやすいんだけど。
2005-04-30 [Sat]
▼ 荒川サイクリング
なんだか最近自転車の話ばかりだけれど、これはこれで名実ともに「ぶらり旅」な感じでいいかも。
さて、今日はいい天気なので、ちょっと遠くまで走ってみた。
まず、以前から行ってみたかったけれど交通の便が悪くて行けなかった、陸上自衛隊広報センターへ。
内部には90式戦車とAH-1Sヘリの実機が展示されている。
野外にも車両の展示が。私は軍事方面にはとんと暗いので、車両の説明はできません。あしからず。
3Dシアターでは10分から15分程度の3D映画を2本順繰りに上映。別に『戦国自衛隊1549』を上映しているわけではない。
一本は「通常装備の勇姿」とかいう地味なタイトルなのだけれど、始まるなりいきなり「20XX年……」とテロップが出て、突如揚陸艦で上陸してきた敵国の部隊を、強力な装備で武装した陸上自衛隊が撃退する、という内容。もう一本は円谷プロ協力の「実録レンジャー訓練」。訓練風景の途中に平和な東京の風景をカットバックしてみたりと、ちょっと演出過多なところが鼻につくけれど、解説役の教官がいい味を出している。はじめは冷静な口調で解説をしているのだが、厳しい任務を耐え抜いて訓練を終えた隊員たちについて語るときには、涙をこらえて嗚咽するのである。鬼教官の涙! いいもの見させてもらいました。
トリビアの泉でも紹介されていたとおり、隊員たちは本当に「レンジャー! レンジャー!」とかけ声を上げながらロープを渡っていた。
そこから荒川に出ると風景が一気に広がる。「幸魂大橋」という何やら大げさな名前の橋を渡ると、彩湖と名付けられた調整池が見えてくる。
今日は暑かったため、上半身裸で自転車に乗っているおっちゃんをよく見かけたが、彩湖沿いの道で全裸になって水を浴びているサイクリストがいたのには驚いた。全裸か。公衆の面前で。荒川サイクリングコースはアナーキーだ。
何やら素敵な工場。下水道の処理センターらしい。
川沿いの道を走って、赤羽の岩淵水門まで。これは旧岩淵水門。通称赤水門。車の通らないサイクリングロードはとても気持ちがいい。私はチノパンにポロシャツというどうでもいいような格好だが、気合いの入った服装をしたロードレーサー乗りたちが次々と走りすぎていく。
これが新岩淵水門。通称青水門。
旧岩淵水門を渡って行ける小島には巨大な石碑が建っていた。その名も「草刈の碑」。「農民魂は先づ草刈から」と大書されている。なんでも、昭和13年から6年間にわたり、この地で「全日本草刈選手権大会」が開かれていたのだそうで、それを記念して「横尾堆肥居士」なる人物がこの碑を建立したのだという。
そろそろ疲れたので今度は東京側の土手を走って引き返す。行きと同じく幸魂大橋のところで一般道に出ようと思ったのだが、一般道に抜ける道がどこにもなくてしばらく迷う。結局、しばらく下流に戻ってようやく出られた。写真は朝霞水門。無骨な岩淵水門に比べ、曲線が使われていてスマートな作り。
お土産として、これもトリビアの泉で紹介されていた自衛隊オリジナル饅頭「撃 GEKI」を買ってみた。
走行距離48.26km。
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