2005-07-15 [Fri]
▼ パッヘルベル「シャコンヌ ヘ短調」
もうすっかり下火になったMusical Batonだけれど、あれの回答でひとつだけ悔やまれてならないことがある。「よく聞く、または特別な思い入れのある5曲」という質問で、曲のタイトルを挙げるだけですませ、その曲のどういうところが好きなのか説明を省略してしまったのである。曲のタイトルだけですませるというのは、考えてみれば非常に安直な行為ではないか。そんな、その曲をたまたま聴いたことがある人にしか伝わらないような記述に何の意味があるのか。事実、他人のMusical Batonを読んでも、知らないアーティストや曲のタイトルだけが挙げられていると、まったくイメージが湧かず目が滑っていくばかりである。
ではなぜ説明を省略したかといえば、それは言葉での表現を逃げてしまったのである。
CDはけっこう持っている方だし、音楽もかなり聴くほうだと思うのだけれど、これまでこの日記では音楽についてほとんど書いてこなかった。これはどうしてかというと、自分には音楽について語る言葉がないからだ。小説(特にSF)であれば、ある程度自分の好悪を別にして作品を評価できるつもりでいるけれど、音楽についてはこれは好き嫌いでしか判断できない。まあ個人の感想なのだから好き嫌いでいっこうに構わないわけだし、私も映画の感想ではわざと好き嫌いを前面に出しているわけだけれど、映画の場合はどこが好きで、どこが嫌いかをしっかり書くようにしている。しかし、音楽だと、どこが好きか、どのように好きかを語れといわれると、はたと行き詰まってしまう。私は演奏をしたこともなく聴くだけの人間で、さらに音楽用語も全然知らない。聴いたことのない人に対して、その音楽の魅力を言葉で表現してみせることができるかどうか。私にはとても自信がないのだ。
そんなことは考えず、とにかくこの曲が好きなんだ、わかるひとだけわかればいい、という書き方をすれば楽なのだけれど、それでは単なるモノに託した自分語りだし、芸のないあからさまな自分語りをためらうくらいには私も屈折している。
ということで、うまく言葉で伝えることができるかどうかは心許ないが、しばらく、自分の気にいった音楽について語ってみることにする。私の好む音楽はほとんどがヒットチャートとは無縁なので、必然的に語るのはあまり人口には膾炙していない曲になる。たぶん紹介する曲を聴いたことのある人はほとんどいないはずだ。
ではまず、今回はパッヘルベルのオルガン曲「シャコンヌ ヘ短調」から。パッヘルベルはバロック時代の作曲家兼オルガン奏者で、J.S.バッハより35歳年上。パッヘルベルといえばなんといっても「パッヘルベルのカノン」が有名だけど、それに負けず劣らずの美しさでありながら、なぜか知名度が低いのがこの曲である。私としては、カノンよりもこちらの方が名曲なんじゃないかと思っている。
長さにして8分から9分程度。静かに始まった曲が変奏を繰り返しながら徐々に複雑さを増し、最期には宇宙的な高みにまで上り詰めるという、スケールの大きな曲である。パイプオルガンの曲というのは、それだけで荘厳に聞こえるものだけれど、この曲はまた格別の美しさがある。
この曲を最初に聴いたのは、盲目の大オルガニスト、ヘルムート・ヴァルヒャによる『バッハ以前のオルガンの巨匠たち〜ドイツ・バロック・オルガン作品集』という3枚組のCDなのだけれど、どうやらこれは廃盤のよう。そのほかWerner Jacobという人が演奏した盤を持っているが、これはなんだか薄ぼんやりとこもった感じの演奏で今ひとつ。できればヴァルヒャの格調高い演奏を聴いてもらいたいのだけれど、3枚組なのと廃盤なのがネックか。
そのほか、ネット上では、Patrick Batemanさん(なんだか夜は殺人鬼になりそうなハンドルですな)という方が作成したMIDIデータが入手できるのだけれど、これがなかなかの名演奏。興味のある方はまずこれを聴くのがいちばんてっとりばやいかな(と、結局言葉だけで伝えるのを抛棄してしまった)。
▼ 記号のみで構成された小説
中国は山西省の作家が、わずか14の文章記号から成り、5つの章から成る小説を発表。この作家Hu Wenliangによれば、この14の記号が感動的なラブストーリーを表しているのだとか。
:?
:!
“‘……’”
(、)・《,》
;――
タイトルは「。」。作者によれば、これは起伏があり完璧な筋を持つ感動的なラブストーリーであり、執筆には1年を費やしたという。
Huは山西作家協会のメンバーで、これまで小説、散文、論文など8冊の本で、合計約300万語を執筆。彼は現在、山西省の石炭地質局公報課の課長として働いている。
Huは、この小説に隠された物語を解読した者に、14万元(日本円で約190万円)の賞金を出すと申し出ている。これまで20人が訪れたが、Huを満足させた者はひとりもいなかった。Huによれば、回答はすべて、彼が考えたストーリーとは遥かに遠かったとか。
Huによれば「自分の答えはあります。漢字約100文字で表せる。解読は、人物描写と物語のプロットを含んでいなければならず、隠された物語を80%正しく推測できた人がいれば、賞金は進呈します」とのこと。
さて解読できますか? とりあえず、元の記事には記号14個とあるんだけど、いったいどういう数え方なのかが気になった。“”とかはひとつと数えるのかな。
1.最後に映画館で見た映画 2.今まで見た映画で一番泣ける映画 3.期待外れだった映画 色々な意味で、これにしたいと思います。1もそう。 asin:B0001M3XH4:detail ある観点から言えば、一番笑ったし、 まさしく期待通りだったとも言えますが。 話のネタになったということで、..







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パッヘルベルのシャコンヌ・ヘ短調に思わず感涙! ヴャルヒャのものもいいけれど、私は、Piet Kee at Weingarten(Chandos 輸入盤)を。実は、演奏はいまいちかもしれないのですが、ヴァインガルテン修道院の、悪魔と契約を交わしてつくりあげたとかいう伝説のあるオルガンの音がいい! パッヘルベルでは、他にシャコンヌ・ニ短調やプレリュード・ニ短調も入ってます。
シャコンヌ ヘ短調の「宇宙的な高まり」をお求めならば、<br> Barbara Harbach/ PACHELBEL: Canons (Gasparo Records, GSS-2001)<br>はいかがでしょうか? ヴァルヒャのは聴いたことがないですが、なかなかの迫力ですよ。<br>個人的にはドリア旋法(ニ短調)のシャコンヌの、鄙びた感じも好きです。