▼ キングコング

　久しぶりの更新であります。久しく更新を休んでいるあいだに、当サイトも9年目に入りました。最近では映画と自転車のサイトになりつつありますが、なんせ飽きっぽい人間なので今後も内容は転変していくとは思います。今後ともどうぞよろしく。

　さて『キングコング』であります。ピーター・ジャクソンの。

　1933年のニューヨークを綿密に再現したCGも凄いが、髑髏島についてからの映像の力は圧倒的で、ほとんどやりすぎと思えるくらい。恐竜が折り重なるように倒れてくるシーンなんて笑ってしまったよ。

　冷静に考えればストーリーにはかなり無理がある（どうやってNYまでコングを運んだかとか）んだけど、そのへんは大胆にごまかして映像の力とナオミ・ワッツの演技力で強引に説得力を持たせた映画でありました。特に蟲の谷の場面は昔の悪趣味映画時代のピーター・ジャクソンを彷彿とさせる名シーン。

　ピーター・ジャクソンがやりたかったことは古き良き特撮映画の再現なのだから、ツッコミどころの多い設定やストーリーも味のひとつと考えるべきなんでしょう。

　ただ、コングがいくら噛まれても撃たれても一滴の血も流さないのは、レーティングの関係なんだろうけどかなり不自然（★★★★☆）。

▼ キングコング(1933)

　その後、1933年版の『キングコング』もDVD（よく駅とかで980円で売ってる）で鑑賞。なるほど、これを観るとピーター・ジャクソンがオリジナル版のどこに敬意を払い、どこを改変し、どこを膨らませたのかがよくわかります。

　ピーター・ジャクソン版とのいちばんの違いは、ヒロインのキャラクターでしょう。オリジナルのアン・ダロウにはたいしたキャラクターづけはなされておらず、コングにさらわれてひたすら悲鳴を上げるだけのスクリーミング・クイーンなのだけど、ジャクソン版では元ボードビリアンという設定が与えられ、自らコングとの意思の疎通を図り、最終的にはコングと心を通わせる能動的な女性として描かれております。ジャクソン版の方が感動的だし現代的なのだけど、最後まで誰にも理解されないまま異境の地で死んでいくコングの悲劇は、オリジナル版の方が際だってます。ただ、あまりに間の抜けたコングの表情などは今観るとやっぱりつらいものがありますね（★★★★）。

▼ 最近買った本

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　解読不能の文字群と地球上には存在しない植物が描かれたヴォイニッチ写本については、The Most Mysterious Manuscript in the WorldやX51.orgなど、日本語でも読める解説ページがいくつかあったが、まとまった単行本となるとひとつもなかったのでこれは貴重。

キリストの槍―歴史上の人物の運命を変えた槍の秘密 アレク マクレラン Alec Maclellan 日暮 雅通 不空社 2005-11 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools

　まあ、なんとなくこういうのが読みたくなったので。訳者が日暮雅通さんだったのも買ってみた理由。カバー袖の訳者紹介では、主訳書としてまずルイザ・ライン『超精神回路』（国書刊行会）が挙げられてるのがすごい。いったいいつの本ですか、それ。次が『UFO誘拐事件の真相』（中央公論新社）で、その次がようやく『ダイアモンド・エイジ』（早川書房）。

幾度目かの最期―久坂葉子作品集 久坂 葉子 講談社 2005-12 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools

　18歳のときに書いた作品で芥川賞候補となり、21歳で列車に身を投げて自殺した作家の作品集。解説が医療ミステリーの作家、久坂部羊だったのにちょっと意表を突かれた。なるほど、久坂葉子から取ったペンネームだったのか。

▼ 少年頭脳カトリ　DVD化

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　amazonから届いた。伝説のコメディ番組のDVD化。収録内容はサタスマで放送されていたシリーズがメインで、深夜枠のシリーズからは、木村拓哉がゲスト出演した回のみの収録なのが残念……と思ったら、正月再放送ですか！　録画録画。

▼ 少年頭脳カトリ

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　ようやく全部見た。

　前回の日記の時点では最初と途中だけ見て勘違いしていたのだけれど、骨さんが書いているとおり、サタスマ版だけがメインじゃないですね。サタスマ版の第1回〜4回、第10回と、深夜に移ってからの一部を再構成したもの。私は深夜版の最終回が好きだったので、収録されてなくて残念。これは正月の再放送に期待。

　骨さんのいうとおり少年刑事キムラ編はすごい。ワイドショーなどに出てくる、顔にモザイクがかかって声も変調された「A氏」は全部同一人物である、という推理のもとに世界中の事件やスキャンダルの裏に潜む謎の「A氏」を追いつめる話。予想もつかない展開の果てに、少年刑事キムラとカトリ、そして不定形ガールフレンドの太田さんは、東武百貨店裏にある宇宙の彼方イスカンダルまでモザイク除去装置を取りに行くことになる。そこで出会ったスターシャは、3人にこう告げるのだった。「スターシャのシャは写々丸のシャ」。

　まあ、全編そういうシュールで無意味な小ネタ満載のバラエティである。個人的には「わかりやすい肝臓の作り方」と「スケボーガール」が好き。

　あと藤谷美和子の太田さん（不定形ガールフレンドなので回によって中身がかわる）の壊れっぷりには戦慄すら覚えます。特に粘土細工の場面がすごい。

（太田さん、いくつもの突起が突き出た不定形の粘土に三色のへらを突き刺して、邪神のような異形の物体を作っている）

カトリ「太田さん？」

太田さん「いつ？」

カトリ「……いつ？（物体を指さして）これ何？」

太田さん「外車」

カトリ「外車？　あ、車だ、車」

太田さん（車を動かす。何か細長い粘土の棒を轢いている）「あー、痛い痛い痛い痛い〜」

カトリ「何はさんだ？」

太田さん「指。指轢いて走るの、この車」

カトリ「……」

太田さん「またこのへんに眉毛が落ちてて……眉毛轢いて（車が眉を轢く）まゆ〜」

（カトリ、車を左に動かす）

太田さん「眉は右に曲がるの。こっち」

カトリ「え、えー、左でもいいじゃん」

太田さん「だめ。左に曲がるときは、ちょっと違うんだな〜、左に曲がるときは……なんかもの投げるの」（と、粘土をちぎってちゃぶ台に叩きつける）

って、どこからそんな凄まじいイメージが湧いてでるんですか(((( ；゜Д゜))))　その後の「指はね、無駄に落としちゃいけないの。指はね、将来足になるの」っていう台詞もすごい。これにはさすがにカトリも対応できなかったよう。

　作者としてクレジットされている三木聡という人は「笑う犬」シリーズや「ダウンタウンのごっつええかんじ」などを手がけた放送作家で、シティボーイズのライブの脚本や映画監督もやっているそうな。今年公開された映画『亀は意外と早く泳ぐ』も、三木聡監督・脚本による似たテイストのコメディらしいので、これも見てみたいところ。DVD予約注文してしまったよ。

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▼ 「死の産業」博物館がロスにオープン（翻訳）

　「死の産業」とは精神医学のこと。博物館を作ったのは、「市民人権委員会」(CCHR)という団体。1969年にサイエントロジー教会によって設立された精神医学の監視団体だそうである。サイエントロジーが精神医学を敵視しているのは周知の通り。

　サイエントロジー信者の芸能人といえばトム・クルーズやジョン・トラボルタが有名だけど、セレモニーにはトムやジョンは登場せず、そのかわりキャサリン・ベル、アン・アーチャー、ジェナ・エルフマン、ダニー＆クリス・マスターソン、リア・レミニ 、リサ・マリー＆プリシラ・プレスリーといった芸能人が出席したとか。みんなサイエントロジー信者なんだろうか。

▼ 2005年私的映画ベストテン

1.宇宙戦争

2.キングコング

3.シン・シティ

4.コープス・ブライド

5.ナイトウォッチ

6.バタフライ・エフェクト

7.チャーリーとチョコレート工場

8.エターナル・サンシャイン

9.ロング・エンゲージメント

10.ボーン・スプレマシー

次点ホステージ

　恒例の年間映画ベストテン。今年はなんといっても『宇宙戦争』であります。必ずしも評判はよくないようだけども、トライポッドを圧倒的な恐怖の対象として描いた演出は最高。『キングコング』にしても『シン・シティ』にしても、好きな原作を思い切りこだわりぬいて作った映画に良作が多かったように思います。

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▼ Kirkbride Building

　19世紀後半にアメリカの精神科医トーマス・カークブライドが建てた精神病院群のギャラリー。ほとんどが今では廃墟と化しているらしいが、いずれも煉瓦造りの実に重々しい建築物で素晴らしい。このうちダンヴァーズ州立病院は『セッション9』というホラー映画の舞台として使われたことでも有名。