2005-10-02 [Sun]
▼ シン・シティ
観る前にはもっとハードボイルドな渋い映画かと思い、ハードボイルドが苦手な私に楽しめるかどうかと案じていたのだけれど、これがいかにもアメコミらしい、超人大跋扈映画だったので一安心。ケヴィンやミホは完全に人間離れしているし、イエロー・バスタードなんて、最初フェレンギ人か何かだと思いましたよ。ハードボイルドというよりは、オタクの妄想の中のハードボイルドといった感じ。
ほかの登場人物たちも、「人間」でなくてコミック的な「キャラ」。俳優たちはその「キャラ」に徹し、CGを駆使してコミックの世界を完璧に再現している。すべてのシーンが一枚の絵として素晴らしい。
完璧に作り込まれた閉じた世界の物語なので、現実とのつながりはまったくなく、観た後に残るものは何もないのだけど、それがまたいいのだ。ちっとも誉めてるように聞こえないかもしれないけど、誉めてますよ。私はこういう隅から隅まで作り込まれた人工的な映画に弱いのだ。
この映画を観てわかったのは、ロドリゲスはやっぱりタランティーノよりはティム・バートン寄りの監督だと言うこと。『キル・ビル』などタランティーノ映画にはどこかごった煮的な雰囲気が漂うのだけど、ロドリゲスやバートンの映画には、映画全体をひとつのトーンで染め上げようという強い意志が感じられるのだ。
しかし、イエロー・バスタードが『ターミネーター3』のジョン・コナーの人だったとは全然気づかなかった。パンフレットによれば、この役は最初ディカプリオにオファーして断られたそうだけど、そりゃ断るだろうなあ。オファーする方もする方だ。
あと、イライジャ・ウッド最高。メガネ男子好き的にも必見?(★★★★☆)
2005-10-08 [Sat]
▼ 蓮コラ的CGアニメ
CGアニメスタジオ1st Avenue Machine社のサイト。
"PROJECTS"から、いちばん上の"SIXES LAST"をクリックして、"VIEW_QUICKTIME"。
蓮コラ的な背筋ぞわぞわ感の楽しめる植物群のCGアニメが見られます。ただし、かなり重いので注意。
二つ下の"NICKTOONS"も短いながら蓮コラ的。
一つ下の"1ST AVE MACHINE"は、ロボットが普通に街中にいる日常を描いていて、なぜか日本語字幕入り。
▼ The Meteor(Ukkabat)
世界の変なSF映画を見ようシリーズその3。今回は2004年のタイ映画"Ukkabat"である。"Ukkabat"とは、タイ語で「隕石」という意味だそうだ。つまりタイ版『メテオ』。
タイとSFといわれてもソムトウ・スチャリトクルの名前くらいしか思いつかないが、現在のタイは、『マッハ!!!!!!!』や『アタック・ナンバー・ハーフ』など、日本で公開される映画も増えてきている娯楽映画大国。『ガルーダ』みたいな怪獣映画もあるわけで、当然SF映画だってある。
まずはこちらの予告編を見ていただこう。ハリウッドスタイルのSFアクション映画といった趣きで、予告を見た限りではなかなかおもしろそう。これは期待が持てそうだ。
ということでさっそく見てみたのだが、当然ながら台詞はタイ語。しかも英語字幕もない。所詮SFアクションなので字幕なしでも大丈夫だろう、とたかをくくっていたのだが、これが全然わからない。世界観がわからないので、映画の中で何が起きているのかさっぱりわからないのだ。もう本当にお手上げなくらいわからない。
まずはオープニング。タイの農村地帯に流星雨が降ってくる。落ちてきた隕石は古い仏像の並ぶ墓地に落下、近くにいた妊婦が、隕石の(なぜか)発する電撃に撃たれる。女性は死んでしまうが、赤ん坊はなんとか助けられる。
25年後。バンコクの精神病院に勤める精神科医のジョーは、暴れる患者の額に手をかざしただけで落ち着かせたり、手を使わずに本を動かしたりという超能力の持ち主である。でも、後輩の女医さんルーシーの誕生日にポコちゃん人形をあげるようなおちゃめさんだ。ちなみに前回同様、登場人物の名前がわからないので、こちらで適当につけた。
あるとき同僚の求めに応じて、入院以来目を見開いたまままったく動かない患者に手かざしをしたところ、いきなり患者が暴れ出し、ジョーは首を絞められて意識を失ってしまう。目覚めたら人格が変わり、女理事長にキスしたり、消火器を持って暴れ出したり。結局ジョーは取り押さえられ。身体を拘束されてしまう。
そこにジョーを慕う患者トムがあらわれ、ジョーの身体を自由にしてくれる。二人は病院を脱走、何かに導かれるようにして、隕石の落ちた地点へと向かう。森の中でなぜか黒塗りの女が登場。意味ありげな台詞をジョーに伝える。
ルーシーたちも、ジョーを追って隕石の落ちた場所へ。近くの村を訪れると、村人はみんな白っぽい姿になっていてぴくりとも動かない。
そこに顔の黒い人たちが現れ、何やら呪文を唱えると電光が走り、ルーシーも動かなくなってしまう。
一方、不思議なペンダントを持つ青年ボブは自由に姿形を変えられる能力を持ち、殺人を繰り返していた。最初にジョーを襲ったのもたぶんこのボブ。ボブも隕石落下地点へと向かう。
ボブは墓地の中で瞑想。ボブが瞑想すると、骨になっていた恋人が甦る。どうやらボブは死んだ恋人を甦らせるためにダークサイドの虜になったらしい。
ジョーも瞑想。瞑想すると木の葉が舞う。
ジョーは何やらCGでできた邪悪な敵と戦う。
ぴくりとも動かなかったルーシーから鼻血が(笑うところではないらしい)。
ついにジョーとボブの決戦が始まる。劣勢のジョーに、突然、朽ち果てた仏像が動き出して剣を与える。でもボブのアイテム攻撃にやられ、ジョーは瓦礫の下敷きに。
するとふたたび、烏とともに流星雨が降ってきて、火の玉がジョーを直撃。恋人とともに逃げ出したボブも、流星雨に打たれて死んでしまう。甦ったボブの恋人も灰に。ボブの脳裏に浮かぶ恋人との楽しかった日々。
ボブが滅びると、ルーシーも息を吹き返す。そしてなぜかジョーも生きている。ボブたちの遺体の前で呆然とするジョー。そこに村人たちがやってきて、ボブたちの遺体にリンチを加えはじめる。ジョーとルーシーはそれを必死で止めようとするが、村人たちはリンチをやめようとしない。おしまい。
わけがわからないと思うが、私もさっぱりわからない。タイと日本の感性の違いなんだろうか。結末もなんだかすっきりしなくて後味が悪い。みんなでわいわいと見て、ストーリーを想像しあうと楽しいんじゃないかな、きっと。
2005-10-09 [Sun]
▼ セブン・ソード
ツイ・ハーク久々の武侠映画として期待したのだけど、これはツイ・ハークのダメなところばかりが目立つ映画でがっかり。全国公開するよりキネカ大森あたりでひっそりと上映すべき映画のような。あるいは東京ファンタとか。
まず、タイトルにもなっている七本の剣の特徴がはっきりとはわからない上、七剣士のキャラも立っていないし、みんな小汚い同じような服装なので見分けがつきにくいのが難点。むしろキャラが立っているのは悪役の方で、スキンヘッドのボスとその部下のパンクな女は、なかなかいい味を出している。ただ、パンク女は途中であっけなく倒されてしまうのが残念。もっと見せ場を作ってほしかった。
おまけに長大な原作をはしょったせいか、ストーリーもよくわからない(武侠映画にはありがちなことだが)。「天地会」というのが何であって剣士とどういう因縁があるのか、途中で掘り出された「千年の剣」はいったいどうなってしまったのか。おまけに、馬との感動の別れとか、本筋に関係ない余計な脇筋ばかりが長くて、途中までは誰が主人公なんだかすらよくわからないありさま(結局ドニー・イェンだったみたいだが)。
ただ、さすがにツイ・ハークだけあって、アクションは見応えがある。特に冒頭の「空飛ぶギロチン」と、狭い廊下を活用したラスボスとの一騎打ちは見事。川井憲次の音楽の盛り上がりも素晴らしい。ちょっと『アヴァロン』に似てたけど(★★)。
2005-10-10 [Mon]
▼ Unhuman
世界の変なSF映画を見ようシリーズその4。前回に引き続き、今回もタイ映画。2004年作品"Unhuman"である。
公式サイトはこちら。いちばん右のボタンを押すと、予告編が見られます。 パッケージを一見したかぎりでは、『スピーシーズ』みたいな映画かな、と思っていたのだけれど、これがあまりにも意表をつく展開の連続でこれが意外に面白かった。前回見た"Ukkabat"とは違い、英語字幕つきだったのも面白く見られた原因のひとつ。
まずオープニング。ヒロインである女医のナリサラは、獅子座流星群を観測するため、仲間たちと一緒にタイとカンボジアの国境近くの森を訪れる。その夜、ナリサラたちは近くの森に隕石が落ちるのを目撃する。
翌日。ナリサラたちが墜落地点に近づくと、軍隊が出動していて、周辺地域は軍の管理下に置かれている。地面には何かが墜落した痕が。
一方、近くにある研究所の科学者たち(中年男と気の強そうな女のカップル)も昨日の隕石に興味を持ち、森の中を探っている。昨夜のうちに、研究所で働く職員が3人も惨殺されたのである。ナリサラは、この事件の捜査に乗り出した刑事と恋仲に。
森の中には「何か」がいて、次々と特殊部隊の隊員を殺していく。「何か」の視点から見た映像も挿入されるなど、このあたりまでは完全にタイ版『プレデター』。
しかし、途中から話はまったく違う方向へ。ナリサラは刑事とともに研究所に潜入。そこで異形の怪物たちを発見する。実は、森の中に逃げたのは研究所で作られた人造人間たちだったのだ。科学者たちは、人間と動物の遺伝子を組み換えて新種を作り出す実験をしていたのだ。物語はなんだか『モロー博士の島』みたいになってくる。
なんのためにそんな生物を作っていたかというと、金持ちに提供する移植臓器の工場としてらしい。それなら別に動物と混ぜなくてもいいじゃないか、と思うのだがこのあたりはよくわからない。
あと、森に落ちたのは人工衛星で、流星群と同じ日に落ちたのは何万分の一かの偶然ということで片づけられてしまう。すごい偶然ですね(棒読み)。
ナリサラたちは悪の科学者カップルに捕まってしまうが、そのあいだに研究所の獣人たちも凶暴化し、檻を壊して脱走。科学者カップルは研究所を捨て、証拠隠滅のために火をつけて逃走。ナリサラたちもなんとか逃げ延びる。獣人たちは村を襲い、人間の臓器をむさぼり食う。
軍隊と研究所の私兵は激しい戦闘に。なんだか軍事アクションみたいになってきた。
なんとか逃げ延びたナリサラたちを、心優しい獣人カップルが助けてくれる。しかしこの着ぐるみの造形は2004年のSF映画としてどうか。
「獣人は性欲が高まっているからこうすればおびき寄せられるわ」とかいって、女科学者はヌードになって水浴びしたりする。「服を着ていると原人が警戒する」という理由で片岡礼子が脱いだ『北京原人』と並ぶ、特撮映画史に残る名シーンである。
ということで、てっきり悪の科学者カップルvsヒロイン+刑事の正義カップルという構図になるのかと思いきや、ここでいきなり急展開が。なぜ突然獣人たちが凶暴化したかというと、実は森の中に住む魔女が黒魔術の力で操っていたのだ! 魔女?!
魔女は獣人たちを操って悪の科学者カップルを捕らえ、さらに多くの獣人を作らせようとする。
「えー、でも機材なくなっちゃったし。魔法じゃないんだから、呪文唱えればいいってわけじゃないんだけど」
「じゃ、あんたらいらね」
というわけで女科学者は獣人たちのなぐさみものに。ひどい。結局ふたりとも自分で作った獣人になぶり殺されてしまう。
さて獣人から逃れたナリサラと刑事は仏教寺院にたどりつく。そこで出会った僧が「何か不吉なものを感じるので同行させて欲しい」と言い、3人で魔女の本拠地であるアンコールワット風の遺跡へ。ナリサラは魔女に刺されて戦力外に。刑事もあんまり役に立たず、ここで物語は、魔女対僧の魔術大戦となる。えーと、主人公は誰なんですか?
結局、僧も魔女には勝てないのだけど、3人で逃げるときに、いきなり僧が「そうそう、実は魔女が崇拝する像があって、そこに処女の血が付くと術が解けちゃうんだよね」とか言い出す。
実は魔女がナリサラを刺したとき、血が像に付着していたのだ。というわけで黒魔術崩壊。遺跡も崩壊。魔女は獣人に首をもぎ取られる。それより、ナリサラが処女だったことの方がびっくりだ。
このまま終わるのかと思いきや、結末ではまた違う物語が進行して、みんなでお墓に花を供える泣かせるラストに。えー、なんでこんなしんみりしたエンディングなの?
というわけで、SFにミステリに軍事アクションに黒魔術にスプラッタに泣かせと、娯楽映画のあらゆるパターンを強引に詰め込んだ怪作なのだった。B級ながらわりと面白いので、日本公開あるいはビデオ化を期待。
2005-10-11 [Tue]
▼ 暗闇のレストラン
客は、前の客の肩に手を置いて真っ暗な部屋の中のテーブルへと導かれる。料理を運んでくるのは盲目の給仕人で、客は料理を暗闇の中で食べる。喫煙は禁止。トイレに立つときはスタッフに手を引かれていく(トイレの中は灯りがついている)。こうしたレストランがヨーロッパで流行っているのだそうだ。
たとえば、ベルリンのDunkelrestaurant、ケルンのUnsicht-Bar(公式サイト)、パリ、ロンドン、ブリュッセルにあるDans le Noirといった具合。もともとは1999年にチューリヒの視覚障害者たちが開店したBlind Cowというレストランが始まりで、そのアイディアがヨーロッパ中に広がったもの。オーストラリアのメルボルンにもBlack Outというレストランがあるが、こちらのウェイターは盲目ではなく暗視ゴーグルをつけている。
暗闇の中での食事体験により、視覚障害者の世界が体験できるとともに、視覚が奪われることによって、音や匂い、そして味といった他の感覚が研ぎ澄まされることになる。自分の口の中に入れたものが何なのか、舌触りと味覚だけで判断しなければならないのだ。
なかなかおもしろそうで、日本にもできたら是非行ってみたいのだけど、これは汚れても大丈夫な服で行かなくちゃならなそう。要するに闇鍋? という気もしますが。
2005-10-15 [Sat]
▼ トム・ヤム・クン
東京ファンタでオープニングの『トム・ヤム・クン』を観てきた。『マッハ!!!!!!!!』のトニー・ジャー主演のタイ映画。『マッハ!!!!!!!!』は、仏像を盗んだ悪党を追ってどこまでも行く話だったけど、今度は象。いったい悪党が象を盗んでどうするかが謎なのだけど、わかってからももっと謎。うーんそんな理由で象を盗むのか。
前作同様ストーリーなどあってないようなもの。象を追ってひたすらシドニーまで渡り、何一つ作戦も立てないままにレストランや発表会の席に、正面から「ぼくの象を返せ!」と乗り込んでいき、立ちはだかる敵をひたすらなぎ倒して戦闘不能にしていく。敵は人身売買とか麻薬取引とか、いろいろと悪事を働いているんだけど、そんなことは関係ない。ひたすら「ぼくの象を返せ!」。世界一空気を読まない男、トニー・ジャーの男気に惚れました。
見所は全編にわたる痛みの伝わってくる生身のアクションで、これはもうえげつないほどに凄い。ただ、それまで素手だったのが、最後に刃物? 使うのは反則だろ、と思いましたが。トニー・ジャーの鋭いアクションは確かに素晴らしいのだけれど、どうも芝居はあまりできない人みたいなので、同じパターンばかりが続くようなら今後はつらいかも。
劇中で「海賊版DVD買うなんて最低!」という台詞が脈絡なく出てくるのには笑いました。黒い涙のCMを見せられるくらいなら、ほかの映画もみんな劇中の台詞にしてしまえばいいのにと思いましたよ。
あと、某大物俳優がカメオ出演しているのだけど、これがアクションスターの「バトンを手渡した」シーンにも思えてけっこう感動的(★★★★)。
明日は『ナイトウォッチ』を観てきます。
▼ 世界は彼女のためにある
「セカチュー」ならぬ「セカカノ」こと『世界は彼女のためにある』は、リアルな青春モノかと思われる冒頭とは裏腹に、物語はUFO、クローン人間、戦争などのキーワードが氾濫し、荒唐無稽ながらも先の読めない展開、壮大なスケールで「新世紀エヴァンゲリオン」を彷彿とさせつつも、最強の少年と一途な少女の残酷な運命が「純愛」の物語として昇華する。
これはちょっと観たい。12月下旬から下北沢トリウッドで公開だそうだ。この紹介からはどうしても『最終兵器彼女』を連想してしまうのだけど。
2005-10-16 [Sun]
▼ ナイトウォッチ
東京ファンタも最終日。クロージング作品の『ナイトウォッチ』上映前に、まずはPS3で発売になるメタルギアソリッド4の予告編が上映されたのだけど、これがミラノ座の大画面で見てもまったく違和感がない高解像度。ゲーム自体にはあまり食指が動かされなかったのだけれど、これがリアルタイムで動くというのはやはり驚異的。
さて『ナイトウォッチ』なのだけれど、原作はロシアの若手SF作家セルゲイ・ルキヤネンコのダークファンタジー小説(未訳)。原作の方は『デイ・ウォッチ』『トワイライト・ウォッチ』と続いて3部作が完結しているそうな(SFマガジン2003年10月号のSFスキャナーに大野典宏さんの紹介がある)。映画もそれに合わせて三部作になる予定だという。
映画の方はというと、これがダークでスピーディなハリウッド調エンタテインメントに仕上がっていてなかなかの出来。それでいて、どこかロシア民話的な香りもあって(呪われた女の話のオチなんてとても民話的だ)、ハリウッド映画とはひと味違う個性を発揮している。人類にまぎれて「異類」たちが善と悪に分かれて戦いを繰り広げているという、まあありがちな話ではあるのだけれど、善と悪のなれあい関係がロシア的、なんだろうか。英語字幕を逆手に取った演出もおもしろい(日本語字幕で観ていると伝わりにくいけど)。
ストーリーにはこなれていないところもあるし、呪われた女の話と子供を守る話というふたつのエピソードが今ひとつ結び付いていないきらいもあるものの、エンタテインメントとしては充分見る価値のある作品でしょう。「ロシア発映像革命」とか宣伝文句がついていたので、どんな前衛的な映像を見せられるのかと期待と不安を感じていたのだけれど、ごくふつうのエンタテインメントだったのでほっとしたようながっかりしたような。監督のティムール・ベクマムベトフについてはこちらを参照(→ロシア製SFX映画大ヒット!)
なんだか日本での公開が危ぶまれているというのだけど、いったい何が問題なんだろうか。別に残酷なシーンなんてそんなになかったし(★★★★)。
現在制作中の続編『デイ・ウォッチ』の予告編はこちら。いちばん上の8.5MBのがトレイラー。なんか『1941』みたいなシーンがあるな。
2005-10-22 [Sat]
▼ Cloning
世界の変なSF映画を見ようシリーズその5。
ちなみにこれまでの変なSF映画シリーズは『G.O.R.A.』、トルコのスター・ウォーズ、『Ukkabat』、『Unhuman』の4本。
さて今回もまたタイの映画。1999年に制作された『Cloning』である。タイトルでわかるとおり、クローン人間ネタだ。
まずはオープニングは1998年。アメリカ人の老医師ジョージが秘密裏にクローン実験を行い逮捕される。続いてカイル・クーパー風のちょっとおしゃれげなタイトル。ああ、ちょうどこういうのが流行ってたころだった。
3年後の2001年、バンコク。主人公はコンピュータ関係の仕事をしているこの男。具体的に何やってるのかはよくわからない。名倉潤に似てるので、名倉と呼ぶことにする。
名倉は、コンピュータショウの会場で、研修医のメイと出会う。医学関係のソフトを探しに来たということなのだけど、こんなコンピュータショウに女子研修医が一人で来ますか、普通。
名倉とメイが話していると、いきなり作業中の足場が崩れて照明が落ちてくる。名倉はメイをかばって足場の下敷きになってしまう。
メイの勤める病院に運ばれる名倉。幸い骨折もなく無事だったが、怪しげな医師が密かに名倉の血液を採取していたのだった。
そしてその血液をもとにクローンを作っていたわけだ。
ここでこの映画におけるクローンの基礎知識を説明しよう。「クローンは急速に成長する」「オリジナルの年齢になると成長が止まる」「天才的な知能と邪悪な心を持つ」。以上。何も聞くな。
医師たちは7人の血液からクローンを育てていたが、少年時代の名倉クローンはあとの6人を惨殺。成長したあとも研究員を殺して脱走を図るが失敗。医師は名倉クローンを手術室に運び臓器を取り出そうとするが(どうやら臓器移植のためのクローンだったらしいのだ)、名倉クローンを溺愛する老医師ジョージは手術医を銃で脅しクローンとともに逃亡。ジョージは途中で事故死してしまうが、死ぬ間際におせっかいにもオリジナルの名倉とメイのデータの入ったフロッピーディスクをクローンに与える。このジョージ医師は結局何がしたかったんだかさっぱりわかりません。
一方、オリジナルの名倉とメイは、その後当然のようにつきあっているのだけれど、名倉は仕事が忙しくてメイとはなかなか逢えず、デートをすっぽかすこともしばしば。そんなとき、クローンは何をするでもなくオリジナルの周りをうろうろしてみたり、メイに近づいてみたりしていたのだが、メイはそんなクローンを見つけ「あ、名倉さんだ〜ご飯食べに行きましょうよ」。なんだかわからないままにうなずくクローン。「じゃ次は映画」「次はディスコ」言われるままに連れ回され、結局メイの家まで送ってしまったクローン。なんだかいい雰囲気になったふたりは、一夜を共にしてしまうのだった。オリジナルでさえまだだったのに。
そこまでされちゃクローンがその気になっても仕方ない。ということでクローンはオリジナルと入れ替わろうと決意する。後半1時間はオリジナルとクローンと攻防になるのだけれどこれがけっこう退屈。写真は名倉の勤めるコンピュータ会社。イオカードのロゴが描いてあるのだが、どういう会社ですか。
これは名倉の親友のオタクくん。結局クローンに殺されてしまう。棚に飾ってあるグッズが微笑ましい。オタクくんの後ろにあるものはよく見えないが……。
これだ。
まあそのあともいろいろあるのだけど退屈なので割愛。結局メイは自分のことを愛してくれないことを悟ったクローンは、最後には自ら命を絶ってしまう。哀れ。
面白いかつまらないかと言われれば、つまらないです。
2005-10-24 [Mon]
▼ ロバート・J・ソウヤー『ハイブリッド―新種―』(ハヤカワ文庫SF)
ハイブリッド―新種 ロバート・J.ソウヤー 早川書房 2005-10 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
三部作完結編。どういう話になるのかと思ったら、最終巻はカナダ人としてのアイデンティティを確かめる話でした。いや本当に。これまでの作者の作品の中でも、ソウヤーの人となりを知るには最適の作品じゃなかろうか。そんなものを知りたい人がどれだけいるかは知らないが。
まあ、いくらカナダとアメリカは違うんだと作者に言われても、日本人にとってはどっちもどっちでしかないわけで、随所でグリクシン(ホモ・サピエンス)の文化とバラスト(ネアンデルタール)の文化が比較されるのだけれど、グリクシンの文化とされるものが、結局北アメリカ文化でしかないあたりの底の浅さに萎え。
神概念にまつわる議論もあまりにキリスト教的すぎて、ほとんど宗教心などというものとは無縁の日本人にはかなり違和感がある(どうでもいいが、526ページの世界の宗教が羅列されているところで、「仏教徒」がミクマク族やサイエントロジー信者よりも後ろに、ほとんど付け足しのようにおかれているのはなぜだろう)。
途中でドラえもんの秘密道具ばりに便利すぎるDNA合成装置が唐突に登場して、染色体の数が違うネアンデルタールと人間の間で子供を作ることが可能になるわけだが、子供に信仰機能を持たせるかどうかでさんざん悩むわりに、デザイナーズ・ベイビーを作ること自体にはまったく葛藤しないというのもどうも不自然に感じられる。
きわめつけは後半で主人公が到達する過激なフェミニズム的主張だが、白人男性であるソウヤーが、どこまで本気でこんなことを書いているのかよくわからない。これはフェミニズムのパロディか何かなのだろうか。
SF作品としては不出来な方だと思うのだけど、ソウヤーが何を考えてこういう作品を書いたかが非常に気になるのである。
2005-10-25 [Tue]
▼ トルコのスター・トレック
世界の変なSF映画を見ようシリーズその6。
これまでの変なSF映画シリーズは『G.O.R.A.』(トルコ)、トルコのスター・ウォーズ(トルコ)、『Ukkabat』(タイ)、『Unhuman』(タイ)、『Cloning』(タイ)の5本。世界の、と言ってるわりにはトルコとタイに集中しているのは、気のせいだ。
さて今回の出し物は、「トルコのスター・トレック」。原題は"Turist Ömer Uzay Yolunda"(imdb)。1973年の作品である。タイトルは「ツリスト・オメルのスター・トレック」という意味だそうだ。以前紹介した「トルコのスター・ウォーズ」は、フィルムを流用しただけで『スター・ウォーズ』とは似ても似つかない作品だったが、こちらは違う。正真正銘、トルコ版スター・トレックである。
「ツリスト・オメル」というのは、彼の地の人気コメディ映画のシリーズ・キャラクターで、帽子にヒゲの小汚い格好をした風来坊。寅さんみたいなものなのだろうか。そして、なんとこの作品ではそのツリスト・オメルがスター・トレックの世界に入り込んでしまう。寅さんinスタートレック。果たしてこの映画、ヒットしたのかどうかは知らないが、ともかくこの映画はシリーズ7作目にして最終作にあたる。
さて映画はまず宇宙をゆくエンタープライズ号のシーンから。例によってオリジナル版のフィルムを勝手に流用している。しかしこのフィルム、いくらなんでも状態悪すぎだろう。
カーク船長登場。まあ、雰囲気はつかんでいる。
スポックである。ちゃんと片眉をあげてみせるなど芸が細かいが、制服が黄色いのは片手落ち。
ドクター・マッコイ。これは似てない。マッコイというよりチェコフっぽい。
というわけで、この映画ではトルコの役者がスター・トレックのキャラを演じているのである。これはカークとウーラ。カークのポーズはわりとオリジナルに似ている。セットはかなり安っぽいが、まあオリジナル版も安っぽいのでどっちもどっちだ。
遺跡調査中の考古学者クレイター博士の健康診断を行うため、エンタープライズ号はある惑星へ。転送で降り立ったのはマッコイ、スポック、あと殺され要員の乗組員2名。赤シャツじゃないのが残念。
そこでドクター・マッコイはかつて愛した女性ナンシーと10年ぶりに再会する。ナンシーはクレイター博士の妻になっていたのだ。もうちょっとましな女優さんは使えなかったのだろうか。
博士の診察をしていると、外でナンシーの悲鳴が。スポックとマッコイがそこへ駆けつけると、外で待機していた乗組員が、顔に不気味な赤い斑点を残して死んでいた。
ちなみにこの映画、音声はトルコ語で英語字幕も何もついていない。それなのになぜこんなに筋がよくわかるかというと、ストーリーがTOS本国版第1話「惑星M113の吸血獣」そのまんまなのだ。このエピソード、本来はマッコイの最後の決断が胸を打つ哀切な物語なのだが……。
さてここでいきなり登場するのがツリスト・オメル。どういうシチュエーションなのかよくわからないのだが、トルコの田舎町で、なんか拳銃突きつけられて結婚を迫られていたりする。オメル絶体絶命のピンチ。そのときクレイター博士が何やら機械を操作したところ、オメルはぱっと消えて遺跡の惑星へと飛ばされてしまう。
オメルが途方に暮れていると、なんか半裸のマッチョな男が現れてオメルを遺跡の中へと連れて行く。どうも、この半裸の男は博士の操るアンドロイドらしい。どういう趣味をしてるんだ、博士。
場もわきまえず陽気に騒ぐオメル。とうとうスポックのヴァルカンつかみで気絶させられ、エンタープライズ号へ連行されてしまう。
一方、もうひとりの乗組員も殺したナンシー(実は塩を栄養分にしていて、姿形を変える能力のある宇宙生物)は、殺した乗組員に姿を変え、エンタープライズへと転送されていた。
催眠術で相手を無抵抗にして、次々と乗組員を殺していく宇宙生物。それをいちはやく知ったオメルはどうするかというと……逃げるのだ。実はオメルだけは宇宙生物の催眠術にかからないのだが、その優位性を逃げることにしか使わないオメルである。
長くなったので以下は次回に。
ちなみにこの映画、宇宙船のセットなどはちゃちなのだけど、オリジナル版より優れた点がひとつだけある。本物の遺跡で撮影しているらしく、遺跡の風景が実にリアルなのだ。さすがはトルコだ。
2005-10-26 [Wed]
▼ トルコのスター・トレック(承前)
昨日の続き。トルコ製スター・トレック映画の紹介であります。
惑星上、エンタープライズ号で相次ぐ怪死事件。この事件の謎はクレイター博士が知っているに違いない。カーク、スポック、マッコイ、オメルの4人は再び惑星へと降り立つ。なんでオメルが入っているのかは謎。あと、マッコイに化けているのは実は宇宙生物。本物のマッコイは催眠術で眠らされている。
なんかよくわからない怪物が襲ってきたのでフェイザーで倒しました。
宇宙生物はここぞとばかりにカークたちを誘惑しはじめる。まず、ラムちゃんビキニの美女に化けてオメルに催眠術をかけようとするが、オメルは催眠術にはかからない。
仕方ないので今度はスポックを狙う宇宙生物。
スポックはいとも簡単に催眠術にかかり、カークに襲いかかる。
でも催眠術はなぜか簡単に解けてしまう。続いてカークたちに襲いかかったのは、半裸マッチョアンドロイド!
フェイザーで撃退したら、今度は半裸男の軍団が! カークとスポックが襲われている間に例によって逃げ出すオメル。役に立たん。
でもたまたま逃げた先に制御装置があったので、オメルはアンドロイドを操りカークたちの危機を救う。なんか行き当たりばったりだな。
カークたちは博士の元に行き、ナンシーの正体を聞き出す。
さて、ようやく宇宙生物の催眠術から醒め、惑星に降り立ったマッコイ(本物)。「レナード!」とマッコイにかけよるナンシー。そのナンシーにフェイザーを向けるカーク。マッコイは血相を変えてナンシーをかばう。
マッコイがカークのフェイザーを奪うと、ナンシーは怪物に姿を変えてカークに襲いかかった。思わずフェイザーを撃つマッコイ。怪物は再びナンシーの姿になってマッコイに命乞いをする。かつての恋人の姿をした怪物に、マッコイはフェイザーを向けて引き金を引く……。
このへんはオリジナル版そのまま。オリジナルでは哀しいラストの名エピソードなのだが、トルコ版では、息絶えた怪物をマッコイが呆然と見下ろしているところにいきなりオメルがやってきて、派手に騒いだり大げさに驚いて見せたりして余韻を台無しにしてしまう。
で、エンタープライズに戻ったオメルとカークたち。オメルは3人となれなれしく抱擁してから、転送機で地球へ。えーと、オメルは時間を超えてやってきたんじゃないんですか、転送で帰れるの? とかそういうツッコミすらすでにむなしい。
もとの結婚式会場に戻ったオメルだったが、なぜかスポックみたいにでかくてとがった耳になっちゃったよ。なんで?
すっかりヴァルカン人化したオメル。ヴァルカンつかみで最初に拳銃を突きつけていた奴らをばったばったとなぎ倒し、そして天に向かって両手を広げ、何か叫ぶのだった。どういうオチなんだかさっぱりわからんよ。
というわけで、マッコイの過去をめぐる哀切なストーリーとコメディを強引につなぎ合わせたのは、さすがに無理があったのではないかと思われる。もうちょっと別のお気楽なエピソードを選べばよかったのに。トリブル騒動とか。
ちなみに、きのうの日記のポスターに描かれている火を吹く怪獣はこの映画には出てこない。今日の2枚目の写真にある変な着ぐるみが一応火を吹いていたのだけど……。
2005-10-27 [Thu]
▼ 世界の変なSF映画
いろいろ探してみて、見てみたいと思ったものをメモ。
"Lastikman"。フィリピンの特撮ヒーローもの。もともとコミックのヒーローで、身体がゴムみたいに伸び縮みするキャラらしい。映画の公式サイトで予告編が見られる。『ファンタスティック・フォー』のミスター・ファンタスティックみたいなものか。
"Captain Barbell"。これもフィリピン映画。キャプテン・マーベルならぬキャプテン・バーベル。黄金のバーベルを持ち上げると変身するって何ですかその安易な設定は。
"Darna"。フィリピンの大人気コミックキャラクター。フィリピン版ワンダーウーマンみたいなものだけど、妙にコスチュームの露出度が高い。映画版とかテレビ版とかたくさんある。テレビ版のサイトでは動画が見られるけど、テレ東の深夜あたりに放送してそうな感じ。テレビ版はフィリピンでは今も放送中で、なんと最高52.1%の視聴率を記録したとか。
"Koi...Mil Gaya"。インドの本格SF映画。インド版『未知との遭遇』?
"Badi: Turkish E.T."。『E.T.』のトルコ版リメイク。
"Three Supermen in Tokyo"。イタリアで作られたThree Supermenシリーズの1作。ホントに東京でロケしてるのかどうか不明。
ちょっと興味を惹かれただけなので、本当に見るかどうかはわかりません。
2005-10-29 [Sat]
▼ Badi
世界の変なSF映画を見ようシリーズその7。
これまでの変なSF映画シリーズは『G.O.R.A.』(トルコ)、トルコのスター・ウォーズ(トルコ)、『Ukkabat』(タイ)、『Unhuman』(タイ)、『Cloning』(タイ)、トルコのスター・トレック(前編・後編)の6本。
今回の"Badi"は、1983年トルコの作品。またトルコです。
この"Badi"、アメリカのサイトなどでは"Turkish E.T."と呼ばれている。とはいっても、「トルコのスター・ウォーズ」みたいなフィルムを流用しただけの作品でも、「トルコのスター・トレック」みたいなパロディでもなく、これが『E.T.』の正統的なリメイク(もちろん断りなし)。
子供たちが宇宙からやってきたE.T.(この映画ではバディと呼ばれている)と出会い、E.T.を捕まえようとする大人たちを出し抜いて宇宙へと帰すというストーリーはそのまま。子供たちの表情も豊かで、ファミリー向け映画として普通によくできているのだけど、ひとつだけ問題が。本家『E.T.』に比べて、バディの造形が、あまりにも、あまりにもちゃちで不格好なのだ。
宇宙船の中からバディ登場。この場面では逆光でまだどんな姿かよくわからない。
主人公の男の子の家にかくまわれるバディ。バディの中にはたぶん小人の役者か子供が入っている。
主人公とバディ。もちろん表情なんて動きません。目はいつでも見開いたまま。着ぐるみですから。
バディの全身像。腕のあたりがぶらんとしている。なんだか初登場シーンとプロポーションが違うような気がするのだが。動きもひどくぎこちなくて、着ぐるみのあちこちがしわになっている。
当然このシーンがなくちゃ。ただし、トルコ版では自転車じゃなくて大八車だ。
さよならバディ。
こういう民間療法があるとは聞いていたが、主人公の少年が足を捻挫した場面で、お母さんが平然と生肉をあてていたのにはびっくりした(谷亮子や白鵬は今でも行っているらしい)。
『E.T.』の世界公開が1982年。その翌年に臆面もなくこんな作品を作ってしまったトルコ映画界に乾杯。
2005-10-30 [Sun]
▼ NASAのバレリーナ
まずはこちらの動画を見ていただきたい。動き回る巨大な棒のまわりで踊るバレリーナ。なにやら淫靡なものを連想させなくもない映像である。これはいったい何をしているところだと思いますか? 考えたら、今度はアドレスを見てほしい。"www.nasa.gov"。さてNASAとバレリーナにいったいどんな関係があるのか。
実はこれ、ウラジミール・ルメルスキーという、NASAのロボット科学者が開発した「ロボット・スキン」のお披露目映像。ロボットのアームには1000個の赤外線センサを備えた「皮膚」があり、人間が近づくとそれを感知して衝突を避ける機能を持っている。確かにロボットと宇宙飛行士が協力して活動していくためには絶対に必要な技術である。「宇宙飛行士は、たとえ背を向けていても、ロボットがダンスのパートナーのように適切な動きをすることを予想できなければならない」というルメルスキーの考えから、こうしたデモンストレーション映像が作られたようなのだけれど、どうやらルメルスキーさんは真面目な人だったらしく、ロボットのアームが巨大なペニスに見えることには考えが及ばなかったらしい。
(The Worst Jobs in Scienceより。ほかの記事もおもしろいです)
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