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11月30日(金)

保阪正康『医学部残酷物語』(中公新書ラクレ)(→【bk1】)読了。いまだに医学部はこんなに封建的だし、研修医はこんなに悲惨な目にあってるんですよ、そろそろなんとかしたほうがいいんじゃないの、という本。まあ、著者の書きっぷりは少し大げさだけど、実際そのとおりなので何も言うことはありません。言われてみれば、社会人になったあとも何かにつけて大学と関わりを持つ職業ってのは、医者以外あまりないわけで、確かに奇妙な職業ではありますね。そして、医学部にまつわる諸々のどろどろも、その辺から来ていることは間違いない。
 ただ、精神科の研修医ってのは、仕事量という点においてはほかの科に比べて段違いに楽だし(その分、精神科独特の考え方を身につけないといけないのだけど)、私は出身医局がぶっつぶれた関係もあって、あんまり大学とは関わらずふらふらとやってるので、私自身としては学閥? 権力構造? といった感じで、そんなに実感できる内容ではなかったのだけど。
 それに、医者のタイプをあんまり単純に分けすぎるのにも違和感があるなあ。医師志望者は、「病から人類を解放したい」というヒューマニズムから医師を選んだタイプと、「医師という職業は社会的、経済的特権階級である」という功利的な考えをもとに医師を選んだタイプに分けられるというのだけれど、この分類だと、研究欲とか知的好奇心とかといったものがすっぱり抜け落ちてしまってますね。
 また、この本には、ヒューマニズムから医者を選んだ人の動機として「病から人類を解放したい」という文句が随所に出てくるのだけれど、今どきそんなこと考えている医者がいるのかなあ。これは伝染病時代の古い疾病観のように思えるのだけど。慢性疾患だって多いし、文明化によって新しく登場した病気だって多いんだから、「病から人類を解放」なんて、当分はできそうにないと思うんだけど。「病とうまくつきあいつつまったりと生きる」ことを手助けしている、というのが私の仕事かな。

▼Itsukiたんの日記によれば、彼女の住む街の29日の気温は-25℃だったそうな。さすがはシベリア。
 これから冬になるとどんどん寒くなっていき、1月の平均気温は-18℃前後、今年の1月は寒波に襲われてなんと-50℃まで下がったという。想像を絶する寒さである。ちなみに日本の最低気温記録は、1902年1月25日に北海道の旭川で観測された-41.0℃。
 極寒のシベリアでアニソンを歌ったりFF9をプレイしたり「萌え萌えですぅ〜」と言ったりしている娘がいると思うと、なんとも不思議な気がしますね。

11月29日(木)

▼昨日の「数学脳テスト」について、掲示板やメールで「ピストン輸送すれば1台でもいいじゃん」というご意見を頂きました。確かに。
 元の問題にはなんかほかにも条件がついていたのかなあ、と思って今日また立ち読みしてきたところ(こんなにネタにするんなら買えよ)、元の問題もだいたい私が書いたとおり。「1台」という答えを排除するようにはできていないのですね。ううむ。もちろん運転手のことについても何も書かれていない。
 この問題、かなり不備があるんじゃないかなあ。

こないだの日記でデ・ジ・キャラットのコスプレ写真にリンクした、ロシアのコスプレサイトからメールが来ました。内容はたったひとこと。
Hi!^_^
 こわいよう。私があの写真にリンクを張ったことをどう思ったんだろう。
 差出人のハンドルは"Kei-Sagano"。なんじゃこの名前と思って検索してみたら、こだか和麻の『絆 -KIZUNA-』というボーイズラブコミックのキャラクターの名であるらしい。漢字で書けば「佐賀野佳」。そんなもんまで読んでるんですか。ロシア人おそるべし。ちなみに、Akiba Itsukiの名前の元ネタは、桂正和の『I's』のキャラクター「秋葉いつき」。ロシアのオタク界では、日本マンガのキャラの名前をハンドルにするのが流行っていますか。
 まあ、ロシアにはやおいサイトまであるのだから、『絆』が知られていても不思議はないのかもしれないが。

▼おお、こちらの掲示板には、iTさんという方による、Itsukiたんのロシア語日記の翻訳が! もっとやって!

▼「競技離婚」というものを考えた。賭け事としての麻雀に対する競技麻雀のように、どろどろしたイメージの強い離婚を競技として洗練させたものである。発祥の地はフランス。いや、なんとなくフランスっぽい気がするので。
 種目は、あとくされのない美しさを競うフィギュア離婚と、離婚までの速さを競うスピード離婚に分かれる。

11月28日(水)

▼本屋で立ち読みをした『なぜ数学が「得意な人」と「苦手な人」がいるのか』(主婦の友社)という本の巻末に「数学脳テスト」なる問題が載っていた。たいがいは、ちょっと考えれば簡単な計算方法がある問題(240×70と230×80のどっちが大きいか、とか、1から100まで足すといくつか、とか)ばかりなのだけれど、その中でひとつ気になる問題があった。
563人の兵士をキャンプAからBまで、定員40人のバスで運びます。バスは何台必要でしょう。
 うろ覚えなのだけれど、だいたいこんな感じだ。この問題に対して、14.075と答えた人は0点、14台と答えた人も0点、15台と答えた人だけが2点を得られるのだそうだ。
 これを見て私は目を疑った。なぜなら私は「14台」と答えたからである。
 いや、確かに563÷40は14で余り3だから15台必要、という出題意図は分かる。でも、余りの3人くらい、14台あるバスのどこかに突っ込めばいいではないか。そりゃ余りが30人とかになるのなら、15台必要だという答えになるだろう。しかし、3人くらいどうとでもなるのではないだろうか。「定員」というのはそんなに絶対的なものなのか。
 「14台」という答えを0点にしてしまう解答には、「数学脳」より「杓子定規で融通の利かない脳」の方が問題じゃないのか、と言いたくなってしまうのである。

▼驚くべき事実を発見してしまった。日本発で世界的にヒットしたゲームのタイトルには、ある共通点があるのだ。
1980年 パックマン
1995年 ポケモン
2001年 ピクミン
 子音だけみれば全部同じ、P.K.M.Nというパターンなのだ(パックマンの綴りは"PACMAN"だけど、発音は同じだ)。
 そう考えると、次にヒットするゲームのタイトルもおのずから見えてくるというものだ。
 次に全世界でヒットするゲームのタイトルはズバリこれだ!
ペケメン
プカムン
 「ペケメン」はたぶん、特殊能力を持ったヒーローの集団を操って敵をぼこぼこにするゲーム。
 「プカムン」はたぶん、月がぷかぷか浮かぶような癒し系ゲーム(ってどんなだ)。
 これで大ヒット間違いなし!
 あ、タイトル使用料はいりませんよ。なんて太っ腹な私。

▼若菜薫『エイリアン 恐怖のエクリチュール』(鳥影社)(→【bk1】)、保阪正康『医学部残酷物語』(中公新書ラクレ)(→【bk1】)購入。

▼昨日からさらにウィルスメールは増え続け、昨日の2通も含め、24時間で計10通。なんでまたこんなに。

11月27日(火)

町井登志夫『今池電波聖ゴミマリア』(角川春樹事務所)読了。第2回小松左京賞受賞作です。いやー、これはおもしろい。根本敬か村崎百郎か、といったおどろおどろしいタイトルだけど、実はこれが芯はまっとうな青春小説。タイトルで引いてしまう人もいるかもしれないけど、それだけで読まないのは損というもの。
 なんといっても圧倒的なのは、この作品で描かれる近未来日本のリアルな手触り。ふくれあがった借金により国家財政は破綻して、ゴミの街と化した近未来の日本。極端な少子高齢化により年金制度は崩壊、老人はホームレスとなって街にあふれている。少子化を食い止めるために制定された「中絶禁止法」の施行により、ヤミで殺された胎児は悪徳医師に売られ、望まれずに産まれてきた幼児たちは虐待されて死んでいく。パタイとかマラキンとか、おそらくはタガログ語交じりの日本語でしゃべる高校生たち。未来などとうてい信じられない彼らは金と暴力だけを信じて互いに殺しあう。これはまさに現代日本の延長上にあるリアルなディストピアだ。
 ストーリーの方はというと、ちょっと偶然にたよりすぎた展開が気になるし、結末で示される世界像が台詞による暗示だけで終わっているのが少し物足りないけれど、テンポのよい展開はリーダビリティ抜群。第1回受賞作の『エリ・エリ』とはだいぶタイプが違うけれど、これもまた、小松左京賞にふさわしい作品である。それにしてもタイトルはちょっと奇をてらいすぎだと思います。

▼武田雅哉、林久之『中国科学幻想文学館』(大修館書店)(上→【bk1】、下→【bk1】)、ローレン・アイズリー『星投げびと』(工作舎)(→【bk1】)購入。

BADTRANS.Bが2件来訪。いやーんな感じ。

11月26日(月)

▼ロシアのネットアイドルItsukiたんは各方面に衝撃をもたらしている様子。そうだよなあ、私も最初に彼女の歌を聴いたときには驚愕したもの。
 Itsukiたん本人の方も突然のアクセス数急増に驚いているようで、今日は日記の英語版を作ってくれたり、なんと日本語によるメッセージ!まで書いてくれたり。なんていい娘なんだろう。ますます萌え萌え。その一生懸命さをみているとなんだか申し訳ないほど。
 その初めての英語日記では「ふだんは140ヒットくらいなのに、今日は2500ヒットもあって、うれしいけどちょっと怖い」と書いてますね。そうだよなあ。ある日突然日本で有名になってしまったんだもんなあ。その原因を作ってしまった者としては、本当に彼女のことを発掘してしまってよかったんだろうか、そっと見守っていた方がよかったんじゃないか、と少し気に病んでます。
 逆に、こうして注目されたことがItsukiたんにとっていい方向につながればいいんだけど。
 Itsukiたんのアカペラによる"Voices"(MACROSS PLUS)を聴きながら。

SFサイトチャート。年齢以外の軸が「硬軟」だけというのは基準として不備があるような気がするなあ。「硬軟」に垂直な「濃淡」という軸をつくるべきでは。もちろん(いろんな意味で)「濃い」かどうかを基準にするのである。
 そうすれば、kashibaさんは「濃」ではあるが「硬軟」軸ではゼロあたり、タニグチさんは「濃」の「軟」あたりにくるのではないか。

▼旅歌さんのGood Day To Dieで知った情報。新宿古書センター年内で閉店。がーん。

11月25日()

▼結局、一日かけてロシアのアニメファンItsuki嬢20歳の歌うMP3ファイルを、40曲以上落としてしまった私です<バカ?
 お薦めは、"Love Destiny"(ロシア語・日本語)、"ムーンライト伝説"(ロシア語)、"Catch You Catch Me"(日本語)、"夢の中へ"(日本語)、"Dearest"(日本語)、"晴れときどき晴れ"(日本語)、"Be my Angel"(日本語)などなど。どうやら林原めぐみファンらしく、林原めぐみの曲が多いようです。最近は倉木麻衣がお気に入りのようで、日記のページから"Love,Day After Tomorrow"、"Stay by my side"、"Reach for the Sky"などもダウンロードできました。
 しかし、この方の日本語の発音のうまさは驚異的。聴いただけでは歌っているのがロシア人だとは絶対わからないはず。サイトの中には、"I's"(「Akiba Itsuki」の名前はこのマンガから取ったもののよう)のマンガの台詞を日本語で読んでいるファイルもありまして、これはさすがに日本語のアクセントがちょっとヘンだったけど、声はみごとに声優声になっていました。
 おお、Itsukiちゃん萌え萌え、とかなんとか思っていたら、なんと、早速ロシアのItsuki嬢本人から掲示板に書き込みが。本当に、ネットの世界は狭い。
gomen ne, kanji de kakenai desu ga...^^"

watashi no peji ni tsuite kaketara, nihon de mo idol ni naru kamoshirenai ne? ^_^ joudan da yo. tonikaku, ima, nihonjin wa peji wo shitteiru ne? ^_^

moshikashite, nihongo no version wo suru ne ;)

mou ichido, doumo arigatou gozaimasu. ^_^

itsuka, real kashuu ni naru yo! ^__^
 すごい。日本語もちゃんと書けている(まあ日本語の歌をロシア語に訳しているくらいだから当然だが)。
 ロシア語、英語、日本語の3ヶ国語を操る、林原めぐみと倉木麻衣が大好きなロシアの金髪の女の子(20歳)、しかもアニメファンで声優志望。こんな女の子、どう考えても実在しそうにないのだけど、本当に実在してしまっているとは驚き。今日、また写真コーナーに新しい写真がアップロードされているけれど、これがまたかわいい。思わず壁紙にしたくなってしまったくらいである。
 本当にreal kashuになってくれるといいなあ(でも、声優っぽい歌い方ってのは、ロシアでは評価されるんだろうか。それにロシアでは声優の仕事があるのか?)。
 当サイトは、Akiba Itsuki嬢を強力に応援します。

11月24日(土)

▼気になること。映画 復讐 精神 腕 障害で検索してきた方、何を探していたのですか。そんな映画あったかなあ。『メメント』は「腕」が関係なさそうだし、『逃亡者』にしては「精神」がわからない。何なんだろう。

▼たまたま見つけたサイト。kawaii.otaku.ru。URLを見れば一目瞭然、ロシアのオタク系サイトである。
 英語ページの自己紹介によれば、ペンネームAkiba Itsuki、本名Jenya。1981年3月22日生まれ。夢は声優(か歌手)になること。趣味は食べること、寝ること、歌うこと。アニメなら、ゲートキーパーズ(特に浮矢くん)とアイドルプロジェクトとデ・ジ・キャラットとフリクリとカレカノが好き。ゲームも好きで、FF7をプレイ中。口ぐせは「にょ」
 ウェブ日記も書いているし、エヴァネタのショートストーリーなどもあるが、どちらもロシア語なのでよくわからない。
 最初は、作者はたぶんロシア在住の日本人男性なのではないか、と思ったのだが、フォトページ写真を見ると、正真正銘ロシア人の女の子のようだ。でじこのコスプレ写真もあったりする。
 おまけに、本人が歌うアニソンのコーナー(MP3)まであって、日本語の歌や、自分で翻訳したロシア語版の曲などを歌っている!(しかもこれがやたらとうまくて、ちょっと聴くと日本人の歌手が歌っているかと思うほど。声優っぽい歌い方を完璧にマスターしている。さすが歌手志望だけのことはあります)
 ロシアのむちゃくちゃ濃い女性アニメファン(20歳)。ちょっと萌えました。この人、ロシアのネットアイドルなのかもしれない。

▼おまけ。ロシアのコスプレサイトで見つけたでじこのコスプレ。その1その2

11月23日(金)

▼東山ファンの妻に連れられ、青山劇場で東山紀之・黒木瞳主演のミュージカル『クリスマス・ボックス』(略称"Xbox"(嘘))を見てきました。
 ううむ、黒木瞳の演技はうまいんだけど、物語の出来自体は今ひとつ。第1部の幸せな話が、第2部でいきなり地獄のような展開になるのには驚いたけれど、突然黒人の罪を着て裁判にかけられたりと、むやみに唐突なところが多かったような。物語全体のテーマであるはずの「箱」にしても、焦点がぼけてしまっていて印象が薄かったし。結末も、もっと怒涛のような感動を期待していたのに、なんだかあっさりと終わってしまった。結局、「子どもはいつ死ぬか分からんから大事にしとけ」という話ですかね。

▼都心ノ百貨店ニテ猿ヲ見タルコト。
 渋谷の東急本店でのことである。1階のブルガリの店の前を通りかかったら、小柄な女性がうずくまっていた。フードをかぶった赤ん坊を抱いている。
 そのまま通り過ぎようとしたのだが、何か違和感を感じた。
 もう一度よく見る。
 赤ん坊ではない。
 猿だ。
 女性が抱きかかえていたのは、猿だったのだ。猿は、よく子供が着ているようなペンギン柄のフードをかぶっていた。そして、自分によく似た小さな猿の人形を持っていた。嘘ではない。この眼で見たのだ。
 ペンギンの皮をかぶった猿だ。私は思った。
 なにやら毛並みがよく尻尾が長い、見たこともない猿である(ちょっと調べてみたが、写真を見る限り、パタスモンキーに近いようだ)。猿はよく慣れていて、別にいやがる様子もなく、おとなしく抱かれている。
 女性の前を通る人を見ていると、何人かは猿に気づいてじっと見つめたり振り向いたりするが、ほとんどの人は何も気づかずに通り過ぎていく。女性は、注目されても一向に気にせず、平然と座っている。
 なぜ、女性はこんなところで猿を抱えていたのか。誰かを待っていたのか。そもそも、デパートに動物を持ち込んでもいいのか。
 謎は深い(屋上のペットショップから何らかの理由で連れてきた、というのがいちばんありそうな答えかなあ)。

▼続いて、『アメリ』か『メメント』を観ようと思ったのだけれど、どちらも恐ろしいほどの混みようで観られず。あー、単館上映は嫌いだよ。
 仕方ないので、またもや妻の要望で、パルコPART3でやっていたフレディ・マーキュリー写真展を見る。今年で没後10年なんですね。フレディ・マーキュリーはアフリカのザンジバル島生まれのペルシャ系インド人で、ゾロアスター教徒だったそうな。
 「フレディ」といわれて何を思い出すかで人間は4通りに分類できるような気がする。
1.クイーン
2.エルム街
3.葉っぱ
4.さだまさし
 妻はもちろん1、私は実は4だったりする。

▼まんがの森にて、須藤真澄『あゆみ』、桜玉吉『幽玄漫玉日記(5)』、羽生生純『恋の門(4)』(エンターブレイン)、永野のりこ『STAND BYみ〜ちぇ!!(3)』(講談社)購入。

11月22日(木)

▼毎年なぜか発表され、なぜかニュースになり、そして一瞬の後に忘れ去られる変わりびな。いったいどこがこんなヒマなことを、と思ったら、真多呂人形が1946年の「リンゴの唄雛」以来毎年発表しているのだそうな。なんでまた「今年の世相」とやらを別にマスコミでもなんでもない一企業が勝手に決め、そしてそれがニュースになるのか。考えてみれば不思議な話である。
 人形は、真多呂人形会館や都内のデパートで公開されるそうだが、私は一度も見たことはないし、「変わりびなを見に行こう」という人も聞いたことがない。家庭や職場で今年の変わりびなが話題になったことも一度としてない。そういえば新聞やニュースでもなんだかおざなりな埋め草扱いだ。
 しかし、見方を変えてみれば、この力の抜けた「どうでもよさ」こそが、変わりびなの魅力といえないだろうか。流行語大賞はときどき予想したりする人がいるが、変わりびなを予想しようという人は誰もいない。発表されるまで誰も思い出さないし、一瞬後には忘れ去られる運命を自ら持っている(ちょっと『びっくり日本新記録』風表現)のに、淡々と、1年に1度制作される変わりびな。21世紀の今となってみれば、「庶民の視点から世相をチクリと諷刺」といった時代錯誤ぶりすらなかなかいい感じではないか。
 1946年以来の歴代変わりびなリストがどこかにないか、と思って探してみたが、どこにも見つからず。真多呂人形のサイトにもない。ダメじゃないか、ちゃんと記録を残しておかなきゃ。
 ちなみに、去年の変わりびなは、「Qちゃんびな」(高橋尚子と小出監督)、「ヤワラちゃんびな」(田村亮子と野村忠宏)、「失言びな」(森首相と誰か)のほか、IT革命や食品の異物混入などをテーマにした人形もあったそうな。どんなだ。
 1999年は、「自自公ごり押しびな」(自民、自由、公明の三党首)、「美白vsガングロびな」(鈴木その子とガングロ男)、「ヒカル・だんごびな」、「老人介護びな」、「石原新都知事びな」。
 ああ、いっそ見事なまでのどうでもよさ。男女ペアにしなければならないがゆえの苦しさもまたよし。変わりびなラブ。

▼病院帰りに、高島平でやっていた第1回新東京古本まつりに行く。奥の方に行くと、ハヤカワの絶版文庫がけっこうたくさん並んでいる。収穫は、エドガー・ライス・バロウズ『ターザンと失われた帝国』『ターザンと黄金都市』『ターザンとライオン・マン』、ノーマン・スピンラッド『星々からの歌』(以上、ハヤカワ文庫SF)、スーザン・ヒル『ぼくはお城の王様だ』(角川書店)。
 スーザン・ヒルは、ジャンル小説読者にはモダンホラー・セレクションの『黒衣の女』で知られてますね。『ぼくはお城の王様だ』も、あらすじを読む限り、なんだか怖そうな話である。巻末の広告に載っているジョイス・キャロル・オーツ『かれら』も面白そう。
 ミステリやホラーの分野でもよく名前を見かけるジョイス・キャロル・オーツについてちょっと調べてみたところ、驚いたことに臨川書店から、ジョイス・キャロル・オーツ作品選集全12冊なんてものが出ているではないか。「現代アメリカ文学界を代表する女性作家の神髄にふれる本邦初の作品選集」だそうな。ただし翻訳ではなく英文。いや、確かに本邦初なんだろうけど……。

東京23区古書店分布図。うーん、うちの近くにもまだまだ知らない古本屋があるようだ。

11月21日(水)

ハリー・ポッターのタイトルがアメリカ版だけ違う理由。本来のタイトルは"Harry Potter and the Philosopher's Stone"なのだけど、アメリカでは"Harry Potter and the Sorcerer's Stone"というタイトルらしい。なぜなら、ほとんどのアメリカンは"Philosopher"の意味がわからないから。……ほ、本当か。アメリカ人て、そんなにおバカさんなのですか。
 別のページには、「アメリカじゃ"Philosopher"なんていう単語がタイトルについている本は売れないから、出版社が"Sorcerer"に変えてしまった」と書いてあって、こちらは最初の理由よりはもっともらしい。確かに児童書に"Philosopher"では売れないと思われても無理はないかも。でも、"Philosopher's Stone"でひとつの言葉なんだから、"Philosopher"じゃなきゃ意味が通らないのだけど。
 また、ここによれば、映画では"philosopher's stone"という台詞のあるシーンは、すべてアメリカ版用に"sorcerer's stone"で撮り直しているのだとか。大変ですね。さて、日本に来るのは英米どちら版だろうか。

▼キャサリン・アサロ『目覚めよ、女王戦士の翼!』(ハヤカワ文庫SF)(上→【bk1】、下→【bk1】)、東浩紀『動物化するポストモダン』(講談社現代新書)購入。遊佐未森『HONOKA』、遊佐未森『still life』購入。後者はエピック時代のベスト盤。
 あと、『月刊井川遥スペシャル』(新潮社)(→【bk1】)も購入。どっかで見たことのあるプールが写ってるなあ、と思ったら、こないだバリに旅行したときに泊まったウブドのチェディ・ホテルでした。ベランダやベッドもチェディのものですね。あー、ホテルのベッドを濡らしちゃだめじゃないか(ここのページと写真集を見比べれば、プールやベッドがチェディのものだとわかるはず)。
 妻は、井川遥は歯茎の色が悪い、とか妙に細かいところを気にしてます。


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