おとといは狸を見たわ。きのうは豚。今日はあなた(特に意味はない)。
最近体調が悪くて妙に疲れる。ご多分にもれず『ハンニバル』を読んでいるのだがこれも全然進まない。積ん読本は増えるばかり。ダメだなあ、これじゃ。
こんな夢を見た。
なんだか体がだるいので午睡をむさぼっていたときのこと。目を覚ました私は起きて居間に向かうのだけど、なんだか周りは妙に暗くてぼんやりしている。ふと電話を見ると、留守電のランプが点滅している。寝ている間に電話がかかってきたのか、全然気づかなかったなあ、と思って電話の方に向かおうと思い、ふと気がつくと布団に横になっている自分に気づく。
ああ夢だったのか、と思い、また起き上がって居間に向かうと、今度は留守電は点滅していない。さてインターネットでもするか、と思い、ふと気がつくとまた横になっている。
ああ夢だったのか、と思い、また……以下延々と続く。
もちろん最後には本当に起きたのだけど、しばらくはまだ夢の続きのような気がしていた。
こういう夢と現実の区別がつかなくなる夢、疲れているときによく見るんだよなあ。
妻の熱は下がって、夜になると『遥かなる時空の彼方へ』をやっている。妻は明日も明後日も休みだとか。ゆっくり休むように。
サンデージャングルのプロ野球特集で、話題騒然だった中居正広の君が代を初めて聴く。凄い。真に衝撃的。
新宿でSFセミナーの最終打ち合わせ。
今年の出演者は角川春樹、小中千昭、巽孝之、藤崎慎吾、三雲岳斗、森青花(敬称略)……とかなり充実した顔ぶれ。会場も広くしてお待ちしていますので、ぜひご来場ください。昼の部はまだ充分余裕あり。
その打ち合わせを途中で抜けて向かったのは浅暮三文さんの家。今度はセミナー夜の企画「浅暮三文改造講座」の打ち合わせである。都内某所にある浅暮邸に集まったのは、私たち夫婦のほか、小浜徹也、三村美衣夫妻、福井健太さん、林哲矢さん、ジョニイ高橋さんといったメンバー。
最初は浅暮三文はどうしたら売れる作家になるか、という話だったはずが、いつのまにか三村さんや福井さんが浅暮さんにキャラ萌えとは何かについて教える展開に。どうしてそうなったんだ。
なんでも昨夜は小浜邸にちはらともきさんとダイジマンさんが訪れ、朝までファンジン企画の打ち合わせをしていたそうで、小浜さんは途中で爆睡。しかし三村さんのテンションは最後まで衰えず。さすがである。
打ち合わせ、というか雑談は深夜まで続き、帰ってきたのは12時過ぎのこと。
さて、帰るとすぐに、妻は「寒い」と震えながら、ベッドに倒れこむように横になってしまった。体温をはかってみると、なんと39.0℃の高熱である。たぶん、打ち合わせの間からかなり調子が悪かったのだろう。今日はかなりつらかったはずだ。あわてて、病院でもらってきてあった風邪薬と解熱剤をのませ、タオルで巻いたアイスノンを頭にあてる。考えてみれば、妻がこんなに熱を出したのは結婚以来初めてだ。明日には熱が下がっていればいいのだけど。
今日もまた子猫はついてきた。今日は妻ひとりだったのだけどやっぱり草むらから家までついてきて、玄関口で名残惜しそうに妻を見つめていたそうな。しかし、こんなに私たちになついているようなのに、この猫、手を出すと怖がって後ずさりしてしまい、全然なでたりさわったりできない。ちょっとくらいさわらせてくれてもいいのに、減るもんじゃなし。
もう少しエサをやって仲良くならないとなでさせてくれないのかな。いや、その前に猫に名前をつけるイベントをクリアしないと<それは『シェンムー』。
横浜の小学2年生誘拐で、容疑者の家から推理小説の文庫本が出てきたので、それを犯行の参考にした可能性もある、とasahi.comに出ていた。気になるその本のタイトルは、西村京太郎の『華麗なる誘拐』だったそうな。むう、これって、確か日本国民全員を誘拐する、という話じゃなかったっけ。こんなのをどうやって参考にするんですか。身代金の受け取り方を参考にしたのではないか、と書いてあったのだけど、それにしてもねえ。どうせなら『99%の誘拐』を参考にしました、とかいう犯人はでてこないものだろうか。
オリバー・サックス『レナードの朝』(ハヤカワ文庫NF)、ジェイ・イングラム『天に梯子を架ける方法』(紀伊國屋書店)購入。
サム・ライミ監督の『死霊のはらわたII』を見る。いやこれはおもしろい。一応真面目にホラーしていた1作目とは全然性格が違い、これはもうアクションありコメディありのノンジャンル・エンタテインメントである。しかも、ミニチュア、モデルアニメ、コマ撮り、特殊なカメラワークと、ありとあらゆる特撮技法の博覧会みたいな映画。まさにサム・ライミの真骨頂。
映画の内容の変化にともない、主役のブルース・キャンベルも1作目の学生風とはうってかわって、すっかりアクションヒーローになっている。切り落とした右手にチェーンソーを装備し、背中には銃身を切り落としたショットガンを挿した姿はまさに無敵のヒーロー。相変わらず顔は変だけど。
しかし、こんなにおもしろい映画を見逃していたとは。今までホラー映画は食わず嫌いをしていて損をしていたよ(★★★★☆)。
羽生生純『恋の門 1』(エンターブレイン)、羽生生純『羽生生純の1ページでわかるゲーム業界』(エンターブレイン)購入。
帰り道の途中でよく子猫を見かける。
いつも草むらの中にいることが多いので、今日も妻と家に帰る途中に奥をのぞきこんでみたら、みゃーおと鳴きながら出てきた。そして、あとからも似たような猫がもう1匹。なんだかとても仲がよさそうである。兄弟か夫婦かも。2匹とも首輪も何もついていないところをみると、野良猫なのかもしれない。
野良猫にしては妙に警戒心のない猫で、私たちに近づいてきたかと思うと、上目遣いに私たちを見て、みゃおみゃおと鳴く。あまりのかわいさに我慢できず、妻がしゃがんで手を出すと、逃げるどころかミッキー・ロークのごとき猫パンチを繰り出すではないか。かわいい。
しばらく猫と戯れてから、それじゃ、と手を振ってその場所を離れると、なぜか2匹とも少し距離を置いてついてくるではないか。公園の脇、坂道としばらく歩いても、見え隠れしながらもまだ後をついてくる。無関心な猫は多いが、こんなに人間になついてくる猫を見たのは初めてである。
そんなふうに猫と一緒に歩いてきたのだが、途中でふいに2匹とも同じように体を固くして耳を澄ませたかと思うとさっと散開してしまった。どうしたのかと思うと、しばらくすると向こうから犬を散歩させている人が歩いてきた。なるほど、犬が怖かったのだね。
これで今日はもう猫とはお別れか、と思っていたのだが、犬が行ってしまうとまた出てきたではないか。結局、2匹の猫は私たちの家の近くまでついてきた。2〜300メートルは歩いてきたことになるな。なんとも警戒心の薄い猫である。それとも、私たちがなんかくれると思っていたのかな。
まあ、食べ物目当てにしろ私たちを気に入ってくれたにしろ、そんなことは別にどうでもいい。私たちと一緒にここまで来てくれたごほうびに、妻が家から持ってきたカステラを、小さくちぎってあげた。2匹ともむさぼるように食べていた。やっぱりおなかがすいていたのか。
子猫に癒された夜。
体調悪いっす。胸が痛くて息苦しい。胸が痛いってのはもしかするとやばいかも。試験勉強の悪い影響で、縁起の悪い病名ばっかり浮かんでくる。狭心症とか肺塞栓とか。胸痛ってのは重篤な病気が多いんだよなあ。
なんだか不安になってきたので内科の先生に頼んで採血してもらい、ついでにレントゲンと心電図もとってもらった。結果:太りすぎ以外は異常なし。
もしかしたら、精神的なものなのかも。しかし、精神科医が神経性の疼痛を訴えるというのもみっともない気がする。ともかく、原因は不明だが苦しいことにはかわりない。早々に帰って寝る。
北川歩実『猿の証言』(新潮文庫)と、ピート・ハウトマン『時の扉をあけて』(創元SF文庫)を購入。『時に架ける橋』+『世界の秘密の扉』みたいなタイトルもなんだかイヤだけど、「感動のタイムトラベル・ファンタジー」っていう帯の惹句がイヤすぎます。それに、(たぶん)初紹介の作家なのに、解説に書誌的な情報が全然ないのも困る。
今さらながら三雲岳斗『M.G.H.』(徳間書店SF Japan所収)読了。SFミステリではあるのだけど、SFとして壮大なヴィジョンが感じられるわけでもなし、ミステリとして驚愕の展開があるわけでもない。あんまり新人賞受賞作らしくはじけた部分は感じられない作品である。まあ、作者はすでにプロ作家なので仕方ないのかも。無口な男とそこに押しかけてくる美少女という構図もありがちでちょっと食傷気味。
こういう小さくまとまった作品には、私としてはどうしても点が辛くなってしまうのだけれど、小説の骨格はきちんと整っていて、安心して読める作品ではあります。ただ、私が読みたいSFとはやはりどこか違っているのです。
細かいところだと、舞衣が医師なのか医学生なのかどうもよくわからないところ(医師免許を持っているのなら医学生ではないはず。大学院生ということなんだろうか)と、登場人物が上司を「博士!」と呼ぶところはどうかと思うんだけど。ふつう、研究所では人を「博士」と呼んだりはしないものです。そうですよね>野田博士。
DVDで『B計劃』を見る。今年のゆうばりファンタで上映されたらしいが、まだ日本では一般公開されていない香港映画である。
東京の地下鉄でサリン事件を起こしたカルト教団「聖衆の道」。その教祖吉永(中田圭)は香港に逃れたが、香港警察によって身柄を拘束された。「聖衆の道」の武闘派メンバーは香港に潜入、テレビ局を占拠して24時間以内の教祖釈放を要求する。要求が受け入れられなければ香港にサリンをばらまくというのだ。
彼らに部下を殺された警視庁特殊部隊隊長・鷹見(澤田謙也)と香港警察の刑事・チェン(チェン・チー・ラム)の2人は手を組み「聖衆の道」に立ち向かう。
というわけで、もろにオウム真理教をモデルにした香港アクション映画。しかし映像にはそれほど香港らしさは感じられず、ハリウッドのコピーのような感じ。まあ、ハリウッドと比べると今一つちゃちなことは否めないが、ハリウッド映画より凄いところがひとつ。「聖衆の道」の殺戮の描写である。女も子供も仲間の信者も、メインキャラすらも、まさに虫けらのごとくあっけなく殺されていく。テレビ局のスタッフなどは十把一からげ。屋上の柵の上に並べて座らせて、順番に撃ち殺していくありさま。さすがは香港映画。容赦がない。
おまけに、主人公たちも人質の安全なんか全然考えていない。犯人と人質がいるスタジオに、正面から銃をぶっぱなしながら突入するのである。もちろん人質は大量に死亡。だけど主人公たちはまったく気にする様子もない。おいおい、それでいいのか。
香港映画ではあるものの、3分の1くらいは日本語。外国映画にしては珍しく日本人の描写がちゃんとしているのは、主演で共同プロデューサーでもある澤田謙也ほか、日本人スタッフが何人も関わっているからだろう。また、高嶋政伸が冒頭にちょっとだけ登場しているほか、三船敏郎の息子と孫も出演している。ほかに出演はスー・チー、テレサ・リーなど。
大傑作、とはいいがたいが、アクション映画ファンなら見て損はない作品。早く一般公開されないかなあ(★★★☆)
ワーナーマイカルみなとみらいまで出かけて話題の『アイアン・ジャイアント』。劇場は全席指定でゆったりしていていい感じ。岸川靖制作の絵本みたいなハードカバーのパンフレットもなかなかいい(中身は本当に絵本なのだ!)。
映画はとってもストレートで、展開はすべて予想の範囲内なのだけど、これがなぜか泣けてしまう。ここまでてらいなく正攻法で攻めたロボットアニメはひさしぶりである。あまりに複雑になりすぎた日本のロボットアニメには決して描けない、シンプルでわかりやすいテーマ。これが日本の業界人にうけたのは、やっぱりこの単純さが衝撃的だったからだろうねえ。これから見る人は、純真な子供の心で見るように。「E.T.と同じじゃん」とか「ラストは鉄腕アトムみたい」とかひねた心で見るとダメかも。
ジャイアントのデザインをしたのは『ロケッティア』『遠い空の向こうに』の監督ジョー・ジョンストン。心底こういうのが好きなんだろうな。
でも、ジャイアントの設定は『宇宙家族カールビンソン』のおとうさんそっくりな気も(★★★★☆)。
家ではビデオで『バッフィ ザ・バンパイア・キラー』(1992年米)。原題は"Buffy the Vampire Slayer"。サラ・ミシェル・ゲラー主演の人気TVドラマのもとになった映画である。前からいちど見たいと思っていたのだ。
映画版でバッフィを演じるのはクリスティ・スワンソン。正直言ってあんまりかわいくありません。しかも頭が悪くて軽薄なキャラクターで全然萌えられない。アクションにも切れがなく、画面もどうしようもなく安っぽい。まあ軽薄な女子高生が吸血鬼を倒すというミスマッチを狙ったのだろうけど、あまり成功しているとは思えません。当然ながら、公開時にもそれほど当たらなかったらしい。それなのに、この映画をTVドラマにしようという企画が通って、しかもそれが大人気になってしまうのだから、世の中わからないものである。
ただし、脇役陣は無駄に豪華で、バッフィの導師を演じるのはドナルド・サザーランド。宿敵である吸血鬼のボスはルトガー・ハウアー(!)。その部下の吸血鬼として出演しているのはピーウィー・ハーマンことポール・ルーベンスではないか。この映画が制作されたのは『バットマン・リターンズ』と同じ年。スキャンダルでほされていたピーウィーの復帰作は『バットマン・リターンズ』だと思っていたが、実はこっちの映画の方が先だったのかも。あと、ベン・アフレックがちょい役で出ているらしいのだけど、全然わからず。エンド・クレジットにも出てなかったし、どこに出てたの?(★☆)。
ビデオで『血を吸うカメラ』を見る。こんな邦題だが別に岸田森は出てこない。原題は"Peeping Tom"。『赤い靴』や『ホフマン物語』で知られるマイケル・パウエル監督が1960年に撮ったサイコスリラーの先駆的な作品である。
主人公はカメラにとりつかれた青年マーク。彼は自らそのカメラで撮影しながら女性を殺し、自宅でもその場面を繰り返し見ている。映画は一貫してこの青年の視点で描かれる。犯人に追われる側が主人公のサスペンスは多いけど、殺す側の心理をここまで丹念に描いた作品は今でも珍しいんじゃないかなあ。
やがてマークは階下に住むヘレンと知り合う。彼の正体を知らないヘレンは彼を愛するようになり、マークの方もだんだんと心を開きはじめる。それでも、彼の心は完全に満たされず、彼はさらにカメラにつき動かされるようにして殺人を続けていくのである。
殺人犯を恐ろしい怪物として描くのではなく、充分共感できる人物として描く描き方は、今見ても決して古くなってはいない。ヘレンを愛しながらも殺人を続けざるをえないマークの心がせつない。結局主人公は幼い頃から、偉大な心理学者だった父親の実験台にされており、カメラに執着するようになったのもその影響だということがわかるのだけど、具体的な殺人の動機についてはそれほどはっきりと描かれているわけではない。でも、逆にそのおかげでいろいろな想像をめぐらす余地ができて、物語は奥深いものになっている。
たとえば、映画の中では父親と息子の関係がおもに描かれているけど、ほとんど登場しない母親の存在もけっこう重要ですね。たぶん、マークにとってカメラってのは母親そのものなのだ。そして殺人は母への捧げもの。そう考えると、この映画は『サイコ』(奇しくも同じ年の公開)や『サンタ・サングレ』と同テーマの作品ともいえる。
なお、主演のカール=ハインツ・ベームは名指揮者カール・ベームの息子。と考えると、映画の主人公像になんとなく重ねてみたくなるような……(★★★★☆)。
フィリップ・ナットマン『ウェットワーク』(文春文庫)読了。スプラッタパンクの本格的紹介は初めてなので期待して読んだのだが、なんのことはない、これはゾンビ映画そのまんまでは。最初から最後までひたすらスプラッタ描写が延々と続き、ストーリーはきわめて薄っぺら。いくらなんでもこれじゃ小説として芸がなさすぎる。スプラッタパンクってこんなもんなの? 邦題は『ウェットワーク』なんていうカタカナより『死霊の屠殺場』とかもっと思いっきり悪趣味なタイトルにした方がよかったのでは。
アーサー・C・クラーク『失われた宇宙の旅2001』(ハヤカワ文庫SF)、中井英夫『薔薇幻視』(創元ライブラリ)購入。この薄さで1900円ですか!
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