まちあぐみては
島田清次郎

陽がおちる
今日も亦誰れも来ない
希みを失つた夕靄が
重い足取りでしのびより
私の上におほひかぶさる
長い夜が復讐と脱走の計画に胸をおどらせ
夢が追はれるみじめな自分をおびやかす
はかない想ひで明日を待ち
待ちあぐみては僅かに眠る私である。
底本:「悪い仲間」昭和3年3月号

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