「独り立ち」の努力(本年発表せる新作に就いて)
島田清次郎

一、地上第二部「地に叛くもの」
一、評論、感想集「早春」
一、戯曲、短篇小説集「大望」
 本年は右、三冊の著書を公刊した。何れも、読んでほしいものである。
 本年は私にとつては、独り立ちをするための努力の年であつた、と云へば最も簡単で最も分り易からう。私は、一人の男児であり、天下の私であつて、何者からも使はれる人形ではないことの基礎をすえやうと努力した年であつたと云へばよからう。したがつて、さまざまな世評はもとより覚悟のことであつた。
 来るべき新年の元旦には、第三部「静かなる暴風」が公刊されるであらう。
底本:「新潮」大正9年12月号

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