書斎に対する希望と用意
島田清次郎

 西洋室と日本室と二室つづきの書斎がほしいと思ひます。私の少ない経験では、読書や事務的な書き物はゆつくり椅子にこしかけた方がよく、長い原稿は、やはり、日本式の机がよいやうです。周囲はやはり静かで眺望のきくところ。家は小高い山の上にあつて、窓から狭い平原と広い海が見えれば理想的でせう。光線のとり工合、部屋の広さ、道具調度等、すべて明るくて、重厚で貧弱でないのを喜びます。
底本:「文章倶楽部」大正10年5月号

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