2007-04-09 [Mon]
▼ 幻のロシア宇宙計画ドキュメンタリー
非英語圏SF映画シリーズ、今日はちょっと趣向を変えて、ドキュメンタリー映画を紹介しよう。1930年代のソビエト連邦で極秘裏に進められていた幻の宇宙開発計画を描いた映画である。タイトルは"Первые на луне"(First on the Moon)。2005年に作られた作品で、第62回ヴェネツィア国際映画祭ホライゾン部門ドキュメンタリー賞を受賞している。
このドキュメンタリーで明らかにされるのは、ソビエト連邦では1930年代にすでに宇宙開発計画が進められており、しかも人間を月に送り込んでいたという驚くべき事実! にわかには信じがたいことだが、映画は当時のドキュメンタリーフィルムや生存者のインタビューを用いて、これまで秘密にされてきた幻の宇宙開発計画の全容を明らかにしていくのである。
映画はまず、古代中国に始まるロケットの歴史から語り起こされる。
そして1936年のロシアへ。
当時のニュースフィルム。
当時の宇宙計画で飛行士として選ばれたのは、女性1名、体重の軽い小人1名を含む4名だった。いちばん右の太った禿の人物が計画の責任者であるようだ。
これが建造されたロケット。機関車で引っ張っているのがわかる。
そしてこれが月着陸船である。
結局、ロケットには男性飛行士一名が乗り込むことになった。敬礼で送られる飛行士。
その後宇宙開発計画がどうなったか、一切記録には残っていない。ただ、1938年3月、各国の新聞は一斉に、チリに謎の火の玉が落ちたというニュースを報じている。近年の調査で、この火の玉はソビエトの宇宙船であることがわかったという。
さらに時代は下り、1940年代のシベリア。
日本人捕虜を捉えた映像の中に、髭だらけの奇妙な人物が映ったものがある。
ほとんど言葉をしゃべることもままならなくなっていたその男から、長い時間をかけて話をきいてみたところ、彼はロシア人であり、南米から太平洋を渡り、中国、モンゴルを超えてソビエトへと戻ってきたのだという。
この男はKGBに捕まり、その後精神病院に収容された。
果たして男は宇宙飛行士だったのだろうか? 事実は明らかにはされない。さらに、モスクワのフィルム倉庫には、奇妙なフィルムの断片が残っていた。このフィルムの意味するものは?
なんと、アポロ計画よりも30年も前の1930年代に、ロシア人が最初に月に降り立っていた!
という驚くべき事実を明らかにしたドキュメンタリー映画なのだが、これはもちろん全部嘘。この映画、実はドキュメンタリー形式による歴史改変SF映画なのだった。ただし、ヴェネチア映画祭でドキュメンタリー賞を獲ったのは本当。審査員もなかなか懐が深い。
残念なことにこの映画のDVD、ナレーションは全部ロシア語で英語字幕すらない。
言っていることがわかればさらに面白そうなのでぜひ日本でも公開してほしい作品である。







はじめまして。これは素晴らしすぎる作品ですね。36年という時代設定も絶妙で、おそらく計画のスタッフは翌年の大粛清で軒並み処刑されてしまったのでしょう。観たいなぁ……。
はじめまして。というか、日記は昔から拝見しております。映画見ながら、これは速水さんが好きそうな作品だと思ってました(笑)。SFセミナー合宿で一部上映予定なのでおひまでしたらどうぞ。
機関車で引くロケットかっこいい!イカスー。